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こんな新潟があったのか!
『新潟コメジルシプロジェクト』を
制作・運営して知る新潟のリアル

コロカルニュース

posted:2023.3.20   from:新潟県  genre:旅行 / 活性化と創生

PR 新潟県

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Yu Ebihara

海老原 悠

えびはら・ゆう●コロカルエディター/ライター。生まれも育ちも埼玉県。地域でユニークな活動をしている人や、暮らしを楽しんでいる人に会いに行ってきます。人との出会いと美味しいものにいざなわれ、西へ東へ全国行脚。

地域の魅力を地元の人が発信するメディアは、そのまちの暮らしぶりや産業が知れ、
旅行や移住検討の際の貴重な情報源にもなります。

自分のまちの良さをより多くの人に届けたい。そのためにはメディアが必要ですし、
コンテンツをつくる人、運営する人、デザインする人など、
多くの人材を必要とします。
きっと『コロカル』の読者のなかにも、
こうした「ローカルメディア」の立ち上げに携わった経験のある方もいるでしょう。

今回はそんなローカルメディアのひとつの事例として、
新潟県が運営する『新潟コメジルシプロジェクト』を紹介します。

実際に『新潟コメジルシプロジェクト』のコンテンツ制作に携わる
コメジルシ編集部の3名に、制作にまつわるエピソードを聞きました。

県民の数だけある“魅力の回収”がおもしろい

新潟在住のコメジルシ編集部中心メンバーは、
金澤李花子さん、齋藤華さん、小日山隼輔さん。
この体制になったのは、2022年春のことでした。

主力企画である「#新潟のコメジルシ」にて、
県民の方々のお気に入りの場所やモノ、暮らしぶりなど、
「だから新潟がいい!」というエピソードを、テキストと写真で紹介。
こうしたコンテンツ化をこの3名が担っています。

それぞれの役割については、
新潟市古町の複合施設〈上古町の百年長屋SAN〉で副館長を務めている
金澤さんが統括編集し、
新潟市内のデザインコンサルの企業に勤める齋藤さんと、
人材系サービスの企業でディレクターを務めている小日山さんが
インタビュー・執筆業務にあたっているといいます。
県民それぞれの「新潟愛」を記事というかたちにする
「影武者のような存在です」と、金澤さん。

皆、本業を持っているものの、「時間の融通がきく仕事」というのは
3人の共通点でもあります。
その本業の合間を縫って週に2回ほど
『新潟コメジルシプロジェクト』のコンテンツ制作業務に携わっているのです。

東京からUターン移住を果たし、『新潟コメジルシプロジェクト』には2020年から携わる金澤李花子さん(写真右)。齋藤華さんは、群馬県出身、新卒で新潟市内の印刷会社に入社した際に新潟のグルメなどを紹介するオウンドメディアでコンテンツ制作の経験を持つ(写真左)。小日山隼輔さんは、以前は新潟の産直品が買えるサイト〈新潟直送計画〉に従事していました(写真中央)。

東京からUターン移住を果たし、『新潟コメジルシプロジェクト』には2020年から携わる金澤李花子さん(写真右)。齋藤華さんは、群馬県出身、新卒で新潟市内の印刷会社に入社した際に新潟のグルメなどを紹介するオウンドメディアでコンテンツ制作の経験を持つ(写真左)。小日山隼輔さんは、以前は新潟の産直品が買えるサイト〈新潟直送計画〉に従事していました(写真中央)。

基本的には県民へのインタビューはリモートで実施。
「新潟県は縦長で、面積が広いのでインタビューして回るのは難しい」と金澤さん。
リモート会議ツールや電話を駆使しています。

「大体ひとり1時間くらいインタビューに要していると思います。
特に電話は顔を合わせていない分、リズムを掴むのが難しいですね」(小日山さん)
「話し始めると地元愛が止まらない。
それを聞いて私たちもうれしい気持ちになりました」(齋藤さん)

インタビューを重ねるうちに、自分たちも知らなかった新潟の姿を発見することは多く、
「新潟のリアルを知れたのはよかった」と小日山さんは言います。
たとえば、佐渡島に古くから伝わる伝統芸能「鬼太鼓」。
観光協会のサイトなどでは「おんでこ」という表記だったため、
インタビューの際も編集部メンバーはそう読むのだと思っていたそうですが、
取材した佐渡の地域振興事業に携わる上之山博文さんや一部地域では
昔から「おにだいこ」と呼んでいたそうです。

佐渡市で地域振興事業に携わる上之山博文さんの「鬼太鼓」にまつわるお話。

佐渡市で地域振興事業に携わる上之山博文さんの「鬼太鼓」にまつわるお話。

「小学校の時も『おんでこ』と習ったので、そんな読み方があったとは」(小日山さん)
「地域や世代によって神事も読み方が異なるということを
初めて知りました」(金澤さん)
「このインタビューがなかったら、
ずっと知らないままだったかもしれません」(齋藤さん)

※記事はこちら。

こうした県民主体のメディアを運用するおもしろさについて、金澤さんはこう話します。

「“新潟の魅力”が大きなテーマですが、
ひとりひとりに聞いていっても同じ内容になることがない。
たとえば『米について教えてください』と聞いても、話が被らないような気がします。
『あなたの地域のことを教えてください』というテーマは
全県民に聞けるテーマだと思うので、自分たちで新潟の良さを考えるよりも、
人に聞いて回りたいです。人から言われて私もまた魅力を知る。
その“魅力の回収”を、私はおもしろいと感じています。
そして、そういうプロジェクトをやっている新潟県も
また魅力的な県だと感じています」

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編集会議で地元誌の知見を吸収する

「#新潟のコメジルシ」企画では、約60名の県民の記事を掲載しています。
そのなかには、県内5つのメディア
『月刊にいがた』『新潟Komachi』『Flags Niigata』『セナポン』『I’ll』のメンバーに
書いてもらう記事があるのも特徴です。

『新潟Komachi』の編集長・佐藤亜弥子さんによる、「私流ズワイガニと日本酒の楽しみ方」。

『新潟Komachi』の編集長・佐藤亜弥子さんによる、「私流ズワイガニと日本酒の楽しみ方」。

記事の提供だけでなく、コンテンツづくりの強力なパートナーでもある5つのメディア。
2022年8月〜12月には、5回にわたって
「新潟コメジルシプロジェクト」編集会議を開催。
各回にそれぞれの編集部を迎え、新潟愛に溢れるネタ出し会議が行われました。

第4回の様子はこちら。

「東京のアニメーションスタジオからアニメーターが2名柏崎市へ移住。
今後柏崎が“アニメーションのまち”になるかも!?」
という、今後の取材対象者になりそうな方の情報や、
「村上市は鮭文化だけでなく、若い人にも受けやすいお茶文化がある。
最近は古民家カフェも人気」
といった魅力的なスポットなど、
日頃からつぶさに情報をキャッチしているメディアの皆さんだからこそ知り得る、
有益な情報が次々と飛び出してきたのだそうです。

もし、立ち上げ企画で地元の有名人を起用していたら……?

こうした、県民が発信するメディアをやりたいと考える
コロカル読者の方もいるかと思います。
『新潟コメジルシプロジェクト』に初期から携わってきた金澤さんは、
最初のあり方が大事だといいます。

「いざメディアをやるとなったときに
“地元の有名人”を起用したいと思いがちかもしれませんが、
立ち上げでたいそうな企画をやっていたら続かなかったんだろうな、と(笑)。
こうして県民ひとりひとりに焦点を当てたコンテンツをつくるというかたちに
したからこそ、今日までやれているのかなと思います」

小日山さんと齋藤さんからは、同じく地域で魅力発信をしている方、
したい方へアドバイスとエールを!

「どれだけ地域に入っていけるかということと、
対象の方に寄り添った取材ができるかがカギになるのかなと思います」(小日山さん)
「地域だからこそ、そこで出会ったことをきっかけに
生まれていくつながりもあると思います。
地域は新たな出会いから新しいコトが起こりやすいのかなと思うので。
一度つながった絆は深くなるということを、
取材を通して私自身感じています。
そういったことを楽しみながらやっていけたらいいのではないでしょうか」(齋藤さん)

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