80年代生まれの3職人がコラボ 長崎・波佐見に誕生した 茅葺き屋根の花屋〈花 西海〉
創業50年目の節目に
日本屈指のやきもののまち・波佐見。
ここで1972年に創業した〈西海園芸〉は、2022年、創業50年目を迎えました。
その節目のプロジェクトとして、庭師の山口陽介さんが考えたのが、
自社で運営する花屋の店舗を改装し、会社のシンボルスポットとして蘇らせること。
そして構想から約2年、何度も試行錯誤を繰り返しながら、
波佐見の風土やくらしに根付いた工法を取り入れた
「茅葺き屋根」の花屋〈花 西海〉が誕生しました。

茅葺き屋根には、地元産の小麦藁を1町(1ha=3000坪)分使用
地元の素材でつくり、地元に還っていくものを
このプロジェクトを進めるにあたり、山口さんが声を掛けたのが、
神戸出身の茅葺き職人・相良育弥さんと、東京出身の左官・都倉達弥さん。
2016年に日本在住の米国人フォトジャーナリスト、エバレット・ブラウン氏が
「日本の面影」と題した湿板写真展を開催した際、
その被写体に選ばれたことがきっかけで出会った3人。
共に80年代生まれの職人という共通点もあり、すぐに意気投合、
以来、親交を深めてきました。

左から山口さん、相良さん、都倉さん。2022年には3人でドイツへ。工科大学でワークショップを再開予定。
そんな3人の技を随所に生かした、茅葺き屋根の建物。
茅葺きには、小麦の収穫後に残る小麦藁を使用。
採集は、地域の方々の協力にも支えられました。
「作業しながら、大先輩たちが『昔の波佐見を思い出す』と、
さまざまな話を聞かせてくれたのも、いい思い出です」と山口さん。
さらに岩や土、植物も全て地元で調達。
外壁には波佐見の土、店内の壁にはやきものを作る際に使う石膏を配合し、
「地元の素材で作り、地元に還す」「循環させていく」
というテーマをかたちにすることができました。

散策しながら、四季折々の表情を感じて。

時間によって、変化を見せる佇まい。
波佐見という土地の魅力を発信する場として
オープン後は、花屋〈花 西海〉として、日常の花から、ハレの日の花までを幅広く紹介。
一角には、波佐見焼きと草花を合わせた提案も行います。
椅子でのんびりくつろいだり、庭を散策したり。
買い物+αの楽しみ方ができるのも魅力です。
「海外からの方にも楽しんでいただける場所に」と山口さん。
茅葺き屋根、塗り壁や床、季節を写す庭に、
日本の、そして波佐見の美しさを集結させた場所。
「今後は日本各地で、その土地に合った場づくりを手がけてみたい」。
職人としての手応えを感じられたという今回のプロジェクトを経て、
3人の思いもさらに高まっているようです。

花と波佐見焼きのコラボレーションにも注目。

立ち寄るたびに、新しい発見がありそう。

建物の一角には、趣のあるフリースペースも。影の美しさも魅力。
information
有限会社西海園芸〈花 西海〉
