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posted:2022.5.6 from:奈良県 genre:旅行
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writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。
重要文化財や遺跡、神社仏閣が多く存在する奈良県・田原本町。
そんな田原本町で唯一の宿泊施設〈NIPPONIA 田原本 マルト醤油〉は、一風変わった宿。
なんと醤油蔵が宿になっているんです。
1689年(元禄2年)創業、奈良県最古の醤油蔵であるマルト醤油。
70年前に原材料調達難になり閉業していましたが、2020年に復活。
その際、築130〜140年の蔵の一部が宿泊棟に改修されました。
室内は、奈良固有の「大和棟造り」の名残りあるつくりです。
客室には、かつての醤油蔵元の使われ方に着想を得た家具や装飾が。
古文書が保管されていた部屋を「府庫」、原材料を貯蔵していた蔵を「糀」「碓」と、
部屋の名前も醤油づくりや蔵の歴史にちなんだものとなっています。
食事は、最上のお客さんを迎えてきた空間にて。
七福神の飾り瓦や春日灯篭、330年間祈りを捧げてきた社などのある庭を眺めながら、
澄んだ空気と静謐な空間で食事を楽しむことができます。
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地元原材料と天然醸造製法にこだわったマルト醤油のお醤油は、
一般に提供できるまで約2年かけてじっくりと熟成させます。
今年の3月1日に、ようやくこの醸造されたお醤油が発売。
名前を新たに〈大和一雫(やまとひとしずく)〉とし、店頭に並び始めました。
そんなマルト醤油を使った宿のメニューは、
地域の食材の良さを活かした、体をいたわるようなやさしいラインナップです。
「田原本は“日本のはじまり”と言える地域で、日本人が自然に対する敬意・畏怖を抱きながら、
2000年間、この大和の原風景を守り継いできました。
私たちはそこに神の存在を感じ、食の大切さを学んで、ここまで歩んできました。
醤油の醸造もまた、発酵する光景に『神を見る』と言い、私もそれを感じながらつくっています。
現代に生きる私たちが感じることができなくなっている感覚が、
古代にはあったのかもしれません」
と、18代目当主の木村浩幸さんは話します。
田原本町で丁寧に紡がれてきたマルト醤油の歴史。
その琴線に触れる贅沢な宿はきっと学びと癒しをもたらしてくれるでしょう。
information
NIPPONIA 田原本 マルト醤油
*価格はすべて税込です。
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