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posted:2021.10.22 from:全国 genre:食・グルメ
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
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writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。
日本人の食卓に欠かすことのできない調味料、醤油。
かつて日本各地には6000以上も醤油蔵があり、
その数以上にさまざまな醤油が出回っていたのはご存知でしょうか。
醤油は、各地域の気候や歴史、その蔵に住み着く菌の性質、
そして諸味(もろみ)の育み方によって、がらっと味が変わります。
それは「職人の性格が、醤油の性格に出る」と言われたほど。
しかし、近年の「醤油=万能調味料」「どんな料理にもこれ一本」という擦り込みによって、
現在は1000近くにまで醤油蔵が減少し、その多様性は失われつつあるようです。
そんな、縮小しつつある醤油文化に一石を投じようと
〈醤3(ショウスリー)〉という、「醤油を使い分ける文化」を広める
ユニークなプロジェクトが発足しました。
醤油を使い分けると料理はおいしくなることを、
多くの人に知って欲しいという想いから、
広告会社に勤務する小泉和信さんを中心とした醤油好きメンバーが、
職人醤油の代表・高橋万太郎さんに提案したことで発足した同プロジェクト。
全国の醤油メーカーをはじめ、さまざまな協力のもと、
「醤油の使い分け」の浸透をめざし、活動しています。
現在は、〈キッコーマン〉や〈ヤマサ醤油〉をはじめ、
106社(2021年9月30日時点)の醤油メーカーが参画。
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この度、飲食店や家庭で使われる
醤油皿を三口(さんくち)にした〈三口醤油皿〉を開発しました。
現在、クラウドファンディングサイト〈Makuake〉にて、サポーターも募集中。
波佐見焼の艶やかで美しい見た目のこちら。
醤油のつけやすさ、食卓を邪魔しない大きさ、スタッキング(収納)のしやすさなど、
あらゆる視点から30回以上の試作を重ねて制作されました。
醤油を注ぐくぼみの内側に曲率を変えた“角”をつけ、つけすぎを防ぐ工夫や、
つけやすさを維持しつつ、醤油の色の違いを美しく魅せる平面レイアウトを追究。
飲食店での使用も考慮し、持ちやすさと指あたりの良さ、
スタッキング性にも丁寧に配慮したデザインになっています。
〈醤3〉が目指すのは、つくる人、使う人、食べる人、全員が幸せになる関係性。
醤油の使い分けが普及することで、
一般の人には、料理がおいしく、食が楽しくなるきっかけを、
飲食店には、各銘柄の特徴を生かした新メニューの開発を、
醤油メーカーには、用途を特化させた個性的な醤油の開発を、
促したいといいます。
焼肉のタレなどは、塩ダレ、醤油ダレなどタレの使い分けが一般的。
それに比べて、こんなに豊かな醤油文化がある日本で、
醤油の使い道が単一化されてしまうのは、非常にもったいないですよね。
クラウドファウンディングは、残り30日ほどありますが、
目標金額の倍近くの金額が集まっている模様。やはり、注目度は高いようです。
〈醤3〉をきっかけに、醤油の多様性が復活し、
より日本食文化が豊かになる日を待ちわびて。
三口醤油皿、ぜひ使ってみましょう。
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