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親子で一緒に!
岩手の〈鹿踊(ししおどり)〉。
継承への願いを込めたイベントを開催

コロカルニュース

posted:2021.8.10   from:岩手県  genre:活性化と創生 / エンタメ・お楽しみ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Yu Ebihara

海老原 悠

えびはら・ゆう●コロカルエディター/ライター。生まれも育ちも埼玉県。地域でユニークな活動をしている人や、暮らしを楽しんでいる人に会いに行ってきます。人との出会いと美味しいものにいざなわれ、西へ東へ全国行脚。

自粛で踊る機会が失われた〈鹿踊〉を取り戻す!

岩手県内に広く多数伝わる〈鹿踊(ししおどり)〉。
大地を跳ね、踏みしめて地の悪魔・疫病を祓い、清浄にし、
生きる糧の豊穣を祈り願う郷土芸能です。
岩手県全域で踊られていますが、地域ごとに衣装や踊りも異なり、
郷土の誇りと特色を感じさせます。

独特な衣装の鹿踊。上半身を覆う「前幕」は、上下二枚を縫い目(ステッチ)で結び合わせて一枚の幕に仕立て、紋様を染め抜いているのが特徴。写真は行山流舞川鹿子躍。

独特な衣装の鹿踊。上半身を覆う「前幕」は、上下二枚を縫い目(ステッチ)で結び合わせて一枚の幕に仕立て、紋様を染め抜いているのが特徴。写真は行山流舞川鹿子躍。

ところが、昨今の自粛制限によって、各地の祭りや催事が延期・中止になり、
鹿踊を披露する機会も減少。
団体によっては集まることができないために練習もできない、
継承のモチベーションがあがらないなどの理由によって継承が難しくなったり、
収入減によって活動の維持が困難になるなど、
現状が長期化すればするほど活動継続を断念せざるを得ない状況となっています。

そこで、東北の地域文化の活動支援をする〈縦糸横糸合同会社〉と
一関市で染め物や祭り衣装などのプロダクトを手がける
〈京屋染物店〉が立ち上がり、
鹿踊の衣装に込められた色や形をもとにデザイン・制作した
手拭いを販売開始しました。
手拭いの売上金の半分は、鹿踊団体の活動資金に充てられます。

鹿踊の伝承が込められる縫い目(ステッチ)と、鹿踊の幕のスタンダード柄である九曜紋、不浄を吹き清める意味の扇をつないだデザイン。

鹿踊の伝承が込められる縫い目(ステッチ)と、鹿踊の幕のスタンダード柄である九曜紋、不浄を吹き清める意味の扇をつないだデザイン。

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さらに、この手拭いは“チケット”に。
手拭いの購入者限定で、鹿踊を見て、踊って、より深く楽しめるイベントを、
2021年10月31日(日)に開催します。

そして現在、この手拭いの購入者を対象に、
イベント当日に行われる〈シシオドリワークショップ〉の体験キットを販売中。
シシガシラキット、段ボール太鼓キット、九曜紋柄マスクがセットになっていて、
大人も子どもも楽しめる3サイズ展開です。

シシガシラ(鹿頭)は、宮城県仙台市のパッケージ会社〈有限会社スマッシュ〉によるもの。

シシガシラ(鹿頭)は、宮城県仙台市のパッケージ会社〈有限会社スマッシュ〉によるもの。

太鼓は、岩手県一関市室根町で郷土芸能の太鼓をつくり続ける〈小山太鼓店〉との共同開発。

太鼓は、岩手県一関市室根町で郷土芸能の太鼓をつくり続ける〈小山太鼓店〉との共同開発。

和装にも似合いそうな九曜紋入りのマスク。サイズはキッズと大人も楽しめるM、Lサイズを用意。

和装にも似合いそうな九曜紋入りのマスク。サイズはキッズと大人も楽しめるM、Lサイズを用意。

オリジナルシシガシラ(鹿頭/カシラ)を組み立て、自由にペイントして、
イベント当日に持ち寄り、
みんなで踊りの練習をしたあと、カシラと太鼓を身につけて
中世から変わらない農村風景の骨寺村荘園を練り歩き、
みんなで踊り、鹿になる。
鹿踊をつくる人、踊る人、鹿踊が生まれた理由に思いを馳せながら、
大自然のなかで踊るのです。
見るだけでなく、大人も子どもも体験することで、
より鹿踊の真髄に触れられる日となりそうです。

できあがりはこんなイメージ。

できあがりはこんなイメージ。

奇しくも、イベント当日の10月31日はハロウィンの日。
鹿のマスクをかぶり、太鼓で大きな音を出すことで、悪い霊や悪魔を追いはらう鹿踊は、
和製ハロウィンとも言えそうです。
開催地の骨寺村という地名も、ハロウィンにうってつけ。
骨寺村荘園遺跡は、かつて世界遺産・中尊寺に年貢米を納めていた田園で、
900 年もの間変わらぬ姿で残っている場所。
そんな骨寺村の田園風景の中、シシに化けてみんなで踊る、
新しいハロウィンのかたちが岩手から始まります。

自由にペイントして、オリジナルのカシラを自宅でつくってイベント本番に備えましょう。

自由にペイントして、オリジナルのカシラを自宅でつくってイベント本番に備えましょう。

この鹿頭には、神さまがおりてくると言われています。
神さまが入った鹿頭をつけて踊ることで、
古くより山の恵みへの感謝や豊作、地域の平和をお願いしてきました。
今回制作した鹿頭も、当日、本物の鹿踊によってお祈りをし清めます。
お家に帰っても家族の笑顔を見守る魔除けのお守りとして、
大切に飾ってみてはいかがでしょうか。
きっと鹿踊の意味と余韻を家族と共有できるはずです。

information

map

手拭-TENUGUI- 購入者イベント

日時:2021年10月31日(日) 10:00〜16:00(予定)

場所:骨寺村荘園交流施設(岩手県一関市厳美町若神子241-2)

※雨天時:旧本寺中学校(予定)

 

内容:

鹿踊り鑑賞と踊り体験ワークショップの2部構成。

①10:00〜14:30(予定) 鹿踊団体(4〜5団体)の芸能披露

②14:30〜16:00(予定) シシオドリワークショップ

 

イベント参加方法:

手拭いがイベントの入場チケットになります。

ワークショップ参加ご希望の方は、別途シシオドリワークショップ体験用キットのご購入をお願いいたします。

 

手拭いの価格:2420円

サイズ:W 350mm × H 1000mm

Web:購入はこちら

 

シシオドリワークショップ体験キット

価格:3300円

Web:購入はこちら

*価格はすべて税込です。

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