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posted:2020.5.29 from:新潟県三条市 genre:ものづくり
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
毎年、新潟県・燕三条地域にて開催される〈燕三条 工場の祭典〉。
毎年、多くの来場者が訪れる
ものづくりの現場を見学・体験できるイベントですが、
2020年は新型コロナウイルスの影響下、
来場者および関係者の健康・安全を鑑み、
中止となることが発表されました。
〈燕三条 工場の祭典〉実行委員会は、
「Stay safe 生きろ、KOUBA」というキャッチフレーズとともに、
次のようなステートメントを発信しています。
「いまKOUBAの火が消えても、職人の手に、心に、灯る火は消えやしない。
まずは安全を第一に力を蓄えよう。
人々は日常へ戻る日を渇望している。
その日常を道具で支えるのが職人の仕事だ」
〈燕三条 工場の祭典〉2013年にスタートしたものづくりの現場を見学・体験できるイベント。金属加工の産地、新潟県燕三条地域とその周辺地域のKOUBA(製品をうみだすKOUBA “工場”、農業に取り組むKOUBA “耕場”、地元の産品に触れ購入できるKOUBA “購場”)が一斉に工場を開放する。
燕三条エリアでは、100を超える参加団体が
「Stay Safe 生きろ、KOUBA」と書かれたポスターを貼ることで
今年度の開催中止を表明するとともに、
ゴールデンウィークを念頭においた不要不急の外出自粛と
安全の確保を呼びかけました。
また、燕三条では、新型コロナウイルス感染症に対し、
様々な取り組みを行っています。
そのひとつが、帰省を自粛している学生へ向けた、燕市からの“応援物資”。
新潟県外に住む燕市出身の学生さん宅へ
「燕市産のコシヒカリ5キロ」「みそ」「漬物」
「キュウリ」「手作り布マスク」を送りました。
市内有志の厚意と寄付によって実現したこの企画。
学生さんたちは心温まる贈り物に勇気付けられたようです。
また、応援物資の第2弾には、燕市民のソウルフードである「背脂ラーメン」を、
第3弾にはお菓子の詰め合わせを送りました。
一方三条市では、タクシーを活用したプロジェクト〈さんタクイートサービス〉を開始。
これは〈三条タクシー〉が、出前を行なっていない飲食店の料理を、
配達料500円で届けるというもの(市内の対象エリア限定)。
タクシーの運転手さんも営業を自粛している今、
これは新たな活路となるかもしれません。
また、体育文化会館では〈#三条エール飯 お弁当販売プロジェクト〉を実施。
市内の飲食事業者を応援するため、
また、市民が気軽に食事を購入できるよう、
市内飲食店等のお弁当を販売しました。
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日本で最も長い信濃川流域にある燕三条エリア。
肥沃な土地に恵まれたこのエリアは、もともと農業が盛んな地でした。
しかし江戸時代の頃、信濃川とその支流である
五十嵐川が合流する三条周辺に暮らす農民は、
度重なる洪水に苦しめられていました。
その当時、大官所が副業として推奨したのが和釘づくり。
お百姓さんたちが和釘づくりの技を身につけ、それが根づいたことが
燕三条の転機になったといわれています。
やがて越後で新田開発が盛んになると、開墾用農機具の製造を始め、
さらには、大工道具や包丁などの刃物鍛冶へと発展していきました。
一方、江戸時代に鎚起銅器の製法が伝えられた燕は、
早くから和釘鍛冶は銅器などの加工業へと移行。
大正時代には洋食器の生産が盛んになり、
現在につながる金属加工の一大生産地へと発展しました。
明治初期の頃、海運が栄えた新潟は
日本一人口が多いまちだったそうです。
その地で発展した燕三条の金属製品は、
やがて日本中へ知れ渡っていきました。
工業化が進んだいまも、両市には鍛冶や鎚起をはじめとする
伝統的な技法を受け継ぐ職人が多く活躍しています。
燕三条エリアには、数々の荒波を乗り越えてきた
職人の誇りと技術が根づいているのかもしれません。
燕三条 工場の祭典の新たな取組も、
今回の困難を乗り越える一助となることを目指しています。
最新情報は公式ホームページやSNSをチェックしてみてください。
information
燕三条 工場の祭典
問い合わせ先:〈燕三条 工場の祭典〉実行委員会
住所:新潟県三条市須頃1-17
電話:0256-35-7811
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