news
posted:2020.5.14 from:沖縄県石垣市 genre:ものづくり
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。
writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
2020年5月、新型コロナウイルスの影響により、
消毒用エタノールが全国的に不足していますが、
沖縄県・石垣島のスーパーマーケットでは、
消毒に使用できるアルコール度数77度の泡盛〈請福77〉が販売されています。
製造を手がけているのは、石垣市宮良にある酒造会社〈請福酒造〉。
1949年の創業当初より、職人による伝統製法を守り、泡盛をつくり続けています。
こちらの商品、構想を思いついてから8日後に発売されたのだとか。
代表の漢那憲隆さんに、発売までの経緯について聞かせていただきました。
漢那さんが消毒に使用できる泡盛の構想を抱いたのは、4月6日のこと。
市役所を訪れた際に、職員の方から消毒用のアルコールが足りていないという話を聞き、
同じ日に、島内の医師からも「泡盛のアルコール度数を高めることはできないのか」と
問い合わせを受けたといいます。
それから会社に戻り、製造を担当している従業員に相談すると、
現在の施設でも製造できることがわかり、製造に着手。
設備の改修を行い、アルコール度数77度の泡盛を開発し、
4月14日には発売にこぎつけました。
当初は混雑を避けるためにスーパーマーケットでの販売は行わず、
工場にて直接販売を行っていましたが、客足が落ち着いた頃を見計らい卸売りを開始。
現在では、島内のスーパーマーケットで購入することができます。
発売当初の石垣島には新型コロナウイルスに対応できる
病床が3床しかありませんでしたが(現在は6床)、
先月13日に感染者が3名いることが明らかになり、島内は騒然としていたといいます。
漢那さんは次のように語って下さいました。
「あの時にできることがあってよかったですね。
社員も世の中に貢献できる仕事に携われて嬉しかったと思います。
泡盛は昔、刀傷の消毒に使われていたそうです。
江戸時代に琉球王朝を通じて江戸幕府へ献上されていたという文献があるんですよ」
島の人たちからの反響も大きく、みなさん口々に
「ありがとう」と言って購入していかれたということでした。
Page 2
請福77の発売に関して、石垣市よりコメントをいただきました。
「今回の請福酒造様の商品開発につきまして、市内で消毒アルコールが不足し、
市民の中に不安が広がっていたところ、請福酒造の漢那社長から
70度を超える泡盛の製造について提案がありました。
市としても可能であれば是非お願いしたいと要請し、
市消防の立会いで消防法などの基準と照らし合わせ、
工場の問題点を指摘し改善を求めました。
請福酒造様も突貫工事で改修を行った結果、提案から約3日で
基準に適合する400リットル以下の条件を付し、許可を下ろし製造を開始しました。
沖縄県内では古くから庶民に親しまれ飲用されている泡盛で、
一部に花酒と呼ばれ、主に祭祀に用いる60度のお酒はあったが、
今回製造を始めた77度の泡盛は特別に高濃度の泡盛となっています。
新型コロナウイルスの感染症拡大を受け、活動、旅行等の
自粛をしていただいておりますみなさまのご理解、ご協力に心より感謝申し上げます。
終息し、気兼ねなく旅行出来るような状況になりましたら、
また石垣島と八重山の島々へお越しください。
一日も早い終息を心よりお祈りしております」
沖縄県では請福酒造を皮切りに、
アルコール度数の高い泡盛が続々と発売されています。
なお〈請福77〉は設備の規模の問題から大量生産できず、
消防法の基準により航空便で送ることも不可能なため、
当面の間、八重山島内の人たちのために製造されるとのことです。
また、石垣島の感染者数はその後増えていないとのこと(2020年5月14日現在)。
感染者の方が一刻も早く回復し、事態が終息することを願うばかりです。
information
請福酒造
Feature 特集記事&おすすめ記事