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posted:2019.8.6 from:青森県弘前市 genre:ものづくり
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writer profile
Haruna Sato
佐藤春菜
さとう・はるな●北海道出身。国内外の旅行ガイドブックを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より夫の仕事で拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。暮らしを豊かにしてくれる、旅やものづくりについて勉強の日々です。
2019年9月1日(日)、青森県弘前市の弘前市民会館で
〈こぎんの学校2019〉が開催されます。
こぎんの刺し手であればふれてみたい、長年津軽で刺し伝えられてきた本物のこぎんに触れ、
歴史や技術を学ぶことのできる貴重な機会です。
江戸時代、倹約のため麻物しか着ることの許されなかった津軽の農民たちが、
保温や補強のため、麻布に麻糸や綿糸で刺し子を施すようになり
生まれた「津軽こぎん刺し」。
木綿の着物が手に入るようになり一度廃れたものの、民藝運動で注目をされ、
今では趣味手芸のひとつとして、多くの人に親しまれています。
こぎんの学校は、こぎん刺し作家の作品等を販売する弘前市の〈津軽工房社〉と、
こぎん刺しの魅力を地元女性ライターの視点で紹介する雑誌『そらとぶこぎん』が
昨年共同ではじめた事業です。
『そらとぶこぎん』の編集長は、
地元紙で長く取材を続けて来た鈴木真枝さん(青森県弘前市出身、青森市在住)。
趣味としてこぎん刺しを楽しむ人が増えたことで、
図案や小物の作り方を紹介する「手芸本」は多くあるものの、こぎんを刺し伝え、
現代に残すことに貢献した「つくり手」についてまとめた文献がないことに気がつきます。
「こぎんは津軽の宝。子どもたちの代にも津軽の女性たちの歴史とともに残していきたい」
と考え、発刊に至りました。
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こぎんの学校では、『そらとぶこぎん』第3号でも特集された
工藤得子さんの教え子のひとり、福田カヨ子さん(青森県青森市出身・在住)から
指導を受けることができます。
工藤得子さんは青森市出身の刺し手。教師だったこともあり、
こぎん刺しを青森市の青森高校で授業に導入、東京で個展や教室を開くなど、
家庭の中で受け継がれていた技術を外へ広め、今に伝えることに貢献しました。
藍染された麻布に白の木綿糸が一般的だったこぎん刺しに色を取り入れ、
伝統を守りながらも、こぎんを今の生活に馴染む身近なものにした
第一人者ともいわれています。
趣味でこぎんを刺す人の多くは独学。
作品を間近で見られることはもちろん、刺してきた経験や、
「糸こき」と呼ばれる糸のなじませ方、糸始末の仕方など細かなことも質問できるチャンスです。
こぎん刺しの伝統的な基礎模様は「モドコ」と呼ばれ、40種類ほど存在します。
モチーフになっているものは、植物や動物など、
こぎん刺しを生んだ農家の女性たちの身の回りにあったもの。
暮らしの中で創られたことが想像できます。
モドコやモドコを組み合わせた模様を、つくり手やコレクターを取材し、
データベース化しているのが、こぎん情報を発信するウェブマガジン『koginbank』です。
モドコの組み合わせによって、模様が無限に広がるのもこぎんのおもしろさのひとつ。
こぎんの学校では、
『koginbank』の編集長・石井勝恵さん(弘前市出身、東京都在住)による、
モドコデータベースのものづくりへの活用方法や、
データベースを製作しながら気がついたモドコのおもしろさを教えてくれる授業もあります。
本来は手芸ではなく、厳しい暮らしを補い、彩る知恵として生まれたこぎん刺し。
その背景やつくり手を知った上で、今の生活に合わせて刺し、使い、伝えていってほしい。
そんな思いも込められたこぎんの学校。
参加は、事前の申し込みが必要です。
持ち物や申し込み方法など、詳しくは津軽工房社まで。
information
こぎんの学校2019
日時:2019年9月1日(日)10:30-15:45
会場:弘前市民会館大会議室
住所:弘前市下白銀町1-6
料金:4000円
定員:80名(先着順)
◇問い合わせ・申し込み先:津軽工房社
TEL: 080-1675-3753
メールアドレス:tugarukoubousya@yahoo.co.jp
※メールに名前、住所、電話番号を記入の上、申込。返信メールにて振込先が案内されます。
facebook:https://www.facebook.com/tugarukoubousya/
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