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posted:2019.5.10 from:山形県東根市 genre:ものづくり
〈 コロカルニュース&この企画は… 〉
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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
世界中のレコード針が東北の小さなまちで
つくられているということをご存知ですか?
長さ1ミリ、直径0.25ミリの接合針は、
チタンにダイヤモンドを載せ、銀蝋(ぎんろう)で接合し研磨するという、
じつに繊細な工程を経てつくられます。
その技術に磨きをかけてきたのが、
山形県東根市にあるメーカー〈ナガオカ〉。
1947年よりレコード針の生産に着手し、
いまではレコード針の世界シェア9割を占めます。
2019年4月、ナガオカのものづくりを
東北の風景とともに伝えるドキュメンタリー
『Nagaoka : The Documentary』が公開されました。
そのなかで描かれているのは、
音楽の視聴環境がアナログからデジタルへ移り、
レコードの生産量が減少していくなか、
なぜナガオカがレコード針をつくり続けてきたかということ。
そこには、「世界中に何十億枚とあるレコードを捨てて良いのか?
時代遅れという理由だけで」という現状にあらがう気持ちと、
レコード文化に対する感謝の念がありました。
その思いの中身は、ぜひ本編でご覧になってみてください。
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本映像の監督は、映像ディレクターの高平大輔さん。
福島県出身の高平さんは、震災を機に東北に主眼をおくディレクターに転身。
〈BEAMS fennica〉と〈手とてとテ〉の共同プロジェクト
〈BEAMS EYE Sendai, Miyagi〉のクリエイティブディレクションや
ビジュアルデザインスタジオ〈WOW〉が
東北の伝統芸能をテーマに開催した「ハレとケ展」など
東北に関わる数々のプロジェクトに参加してきました。
「東北から世界中のブランドにナガオカの針が提供されていること。
そしてレコードが風前の灯火だった時代でも、
赤字覚悟でレコード針を生産し、
試行錯誤をしながら会社を存続させてきたこと……。
どんな時代もレコードを愛してきたナガオカの思い、
世界的に再熱しているレコードカルチャーを
静かに支えてきたのが東北の小さなまちの工場だったことを
たくさんの方に知ってもらえたらと思っています」(高平さん)
また、このドキュメンタリーはすべて
東北のスタッフによって制作されています。
音楽は、岩手出身で現在は仙台を拠点に活動する
トラックメーカー/DJ“MITSU THE BEATS”(ミツ・ザ・ビーツ)と、
宮城出身で同じく仙台を拠点とする
若手音楽家“nami sato”(ナミ サトウ)による共作。
ふたりとも東北を拠点とするクリエイターであり、
ドキュメンタリーのテーマに共感したことから、
今回のコラボレーションが実現したのだそう。
まさにレコードで聴きたくなるような、心と体に響く音色です。
なお、この映像には英語版もあります。
レコードが好きな方や海外の方にシェアしてみてはいかがでしょうか?
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