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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
2018年9月、書籍『日本ワインと手仕事の旅』が出版されました。
これは、静岡県沼津市にあるセレクトショップ〈hal〉店主の後藤由紀子さんと
ワインスタイリストの大野明日香さんが日本各地を旅して、
お薦めのワイナリーと手仕事を紹介する本。
旅のきっかけは大野さんが
「一度一緒にワイナリーに行ってみませんか?」と後藤さんを誘ったこと。
大野さんの「日本ワインをもっと身近に気軽に、
暮らしを作る手仕事の雑貨のように楽しんでほしい」という
思いが後藤さんに伝わり、ふたりの旅が始まったといいます。
大野さんがセレクトしたワイナリーはdomaine tetta(岡山)、
CAVE D’OCCI WINERY、胎内高原ワイナリー(新潟)、金井醸造場、
勝沼醸造、シャトージュン(山梨)、ドメーヌ タカヒコ(北海道)など。
そして手仕事は、後藤さんがセレクト。
一陽窯(岡山)、ジョンブル(岡山)、安部太一さん(島根)、
F/style(新潟)、大泉物産(新潟)、evam eva(山梨)、
辻有希さん、SAVON de SIESTA(北海道)などが登場します。
山々に囲まれた岡山県新見市哲多町。
ワイナリー〈ドメーヌテッタ〉はそんな自然豊かなまちのぶどう畑のなかにあります。
これがワイナリーなの? と見まごう外観の建物は〈Wonderwall〉の
片山正道さんが手がけたのだそう。
こちらでは、石灰岩の土壌でぶどうを育てるところからワインづくりに取り組んでいます。
また、エチケットにパンダのイラストが描かれたシャルドネは、
ドメーヌテッタの代表銘柄のひとつ。
大野さんに、ドメーヌテッタをお薦めする理由を聞いてみました。
「ドメーヌテッタの取材では、ワイナリーが“デザインが人を集める”という
コンセプトを持っていたことに、日本ワインが新しいステージにきたことを感じました。
さまざまなイベントも開催しているので、
ワイナリー巡りの旅のきっかけにしていただけるような場所です」(大野さん)
新潟県胎内市にある〈胎内高原ワイナリー〉は、日本でも珍しい市営のワイナリー。
「胎内高原ワイナリーは市営のワイナリーという面白さと、
醸造家の佐藤さんの静かな情熱が印象に残っています。
古い映画のような静けさと実直さがあるワインです」と、大野さん。
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日本ワインにこだわる理由は、何といっても生産地に行きやすいこと。
ぶどうが育った土地で、生産者さんの顔を見て
ワインを味わうことができるというのが日本ワインの大きな魅力なのだとか。
また、大野さんたちは日本ワインがただの流行ではなく、
もっと身近になり、私たちのカルチャーをかたちづくっていくものになれば——
そんな思いから日本ワインを紹介しているといいます。
作家の辻有希さん、石鹸屋さんの〈SAVON de SIESTA〉など、手仕事のつくり手たちも魅力的。
新潟にある〈F/style〉は、五十嵐恵美さんと星野若菜さんが営むお店。
デザイン提案から販路の開拓まで一貫して請け負い、素敵なプロダクト紹介しています。
「大学時代の同級生のお二人がつくる、静かだけれど熱いものがある作品は、
愛あるものばかりで大好きです」と、後藤さん。
最後に、本を上梓したばかりのおふたりからメッセージをいただきました。
「どんなジャンルでも、好きなことをテーマに出かけてみるのは、
ドキドキワクワクして日々の平凡な暮らしが彩られるものです。
忙しい毎日のなかであっという間に1か月、3か月、半年が過ぎ去りますが、
エイヤっと重い腰を上げて旅に出たり、旅に向けての積み立てを始めるのは、
とても良いことだと思います」(後藤さん)
「デジタルな時代だからこそ、実際に会いに
行かなきゃわからないものがたくさんある。
旅に出ると、自分の感覚に近い人を見つけられると思います。
そして人は結局人に会い、人のつくったものを食べ、
生きてるんだなあと実感しますね」(大野さん)
今回後藤さんと大野さんは、信念とストーリーのあるつくり手を
セレクトしたのだとか。もちろん、ワインのお味はお墨つき!
ワイン好き、クラフト好きな方はぜひチェックを。
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書籍『日本ワインと手仕事の旅』
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