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Yasuko Urayama
浦山 寧子
うらやま・やすこ●ライター&編集。生まれも育ちも広島県呉市。雑誌や新聞の記者として多数のメディアで執筆。紙からデジタル化へ移行しつつ、地域の情報を発信するWEBサイト「KUREP」やSNSアカウントを運営
全国で秋祭りが開催される季節になりましたが、広島県呉市の秋祭りは熱い!
何が熱いのかといえば、呉市民の秋祭りにかける情熱と、
独特の風貌で大暴れする「やぶ」。
通称「やぶ」は、呉特有の呼び方で、いわゆる様々な鬼の面をつけ、
黄色や赤、緑など派手な衣装つけて秋祭りに登場する鬼たちです。
竹の棒を持って祭りの時に現れ、神様の警護と道案内をし、
神様に奉納される米の出来具合の確認する役割を担っていると言われています。
呉の祭りに「やぶ」は欠かせない存在です。
が、この「やぶ」が怖いのなんの~!
呉市民ではトラウマになっている人がたくさんいます。
小さい頃から竹の棒を振り回しながら追いかけ回され、
赤ちゃんは「元気に育つ」と抱っこされる。
お祭りになると、あちこちで子供たちの泣き叫ぶ声が聞こえます(笑)
もちろん、筆者も小さいころは「やぶ」が怖くて怖くて、
お祭りが大嫌いになる程トラウマでした……。
こうして呉市民は、異形の面をつけた「やぶ」がお祭りごとに練り歩き、
走り回り、暴れて喧嘩する姿を見て育つのです。
呉には約30ほどの神社があり、9月下旬~11月上旬にかけて、
毎週どこかの神社(お宮さん)で小祭りが開催され、
神社ごとにやぶの面や衣装などが異なります。
やぶは、鬼の面をかぶり、注連縄を背負い、竹の棒を持っています。
やぶの役割は、神様の警護役であり
持っている竹の棒で、新米のつまった米俵を突くことで
俵を揉んで変な米を奉納しようとしていないかをチェックしているのです。
神社の周辺や商店街をうろつき、子供たちを驚かせいていますが
けして脅しているわけではありません。
竹の棒を持っているのにもきちんとした理由があったんですね。
また、竹の棒で俵を突つき回すことで
籾殻が取れて中のお米が精米されて美味しくなるとも言われます。
全国各地のお祭りに鬼が登場しますが、呉地方のやぶも鬼の面を被っています。
しかし、そのほかのそれとやぶが異なるのは、神様と敵対する鬼ではなく
やぶは神様の遣い、神様の警護役としてお供え物のチェックをしたり、
お神輿の道案内や、お社のSP的な存在なんですね。
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何と言っても、祭りの見どころは、俵神輿を氏子が神社に奉納する時。
これがお祭りのクライマックスです!
「やぶ」が神社に待ちかまえ、俵神輿が入っていくのを全力で止めます。
やぶと俵神輿を担いだ氏子がぶつかり合い、
何度も激しい攻防を繰り返す「俵もみ」をします。
転倒したり、時には熱い大げんかになったり、と俵もみをするほうも見るほうも、
次第に高揚し、熱気と怒号に包まれながら最高潮の瞬間を迎えるのです。
しかし、恐ろしかった「やぶ」も大人になると格好いい事ったら~。
立ち回る姿は、迫力満点。
神社ごとに、やぶの面、やぶの数や衣装違うので、
その違いをチェックしに行くのも楽しみの一つです。
そんなやぶの魅力に取り憑かれた人もたくさんいます!
あちこちの神社でやぶを撮影する「呉のやぶ」さん。やぶの研究もしています。
やぶに魅せられ、ついにオリジナルグッズを制作する「ヤブ女」さん。
とにかく、呉の「やぶ」は最高にクール!
これからの季節はどこかの神社でやぶに会えますので、是非会いに来てくださいね。
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