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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
2017年3月、島根県出雲市にある民藝の窯元〈出西窯〉が
暮らしにまつわるさまざまなアイディアを発信する
新しい空間〈出西くらしのvillage〉をスタートさせました。
そして2018年5月、同敷地内にベーカリーカフェ
〈ル コションドール出西〉がオープン。早くも人気を集めているようです。
1947(昭和22)年、柳宗悦さんをはじめとする
民藝運動のメンバーに指導を仰ぎながら、
5人の若者の志によって始まった出西窯。
出西窯/出西くらしのヴィレッジ代表の多々納真さんが
「うつわを中心に生活文化全体を提案していくようなことができたら」
と構想を抱き始めたのは、いまから10年ほど前のこと。
出西窯の良さをより多くの人に伝えるために、試行錯誤を重ねていた頃でした。
それから数年後、多々納さんは鳥取市内にある〈ル コションドール〉という
ベーカリーを営む倉益孝行さんと出会います。
「お土産でいただいたル コションドールのパンがあまりにもおいしくて、
一度現場にいって買ってみようと、店を訪ねました。
そこで初めてジャムおじさんのような倉益君と出会い、
気持ちのいい青年だったし、何よりもそのおいしさに感動しました」(多々納さん)
以来、互いに行き来するようになった多々納さんと倉益さん。
数年後には出雲で暮らしを彩るうつわと
地元の素材をたっぷり使ったパン、そして料理を
提供する場所をつくる計画が動き始めました。
その構想の背景には、出西窯の先代の師匠であった
民藝プロデューサー、吉田璋也さんの影響がありました。
医師でもあった吉田さんは、鳥取で開業医を務めながら
民藝の職人たちを支援するため、彼らの手がけたものを販売する〈たくみ工藝店〉と
それらのうつわを用いて郷土料理を提供する〈たくみ割烹〉を営んでいました。
出西窯の先代は、かつて吉田さんに
自分たちがつくったうつわと食事を一緒に提供することを
薦められたことがあったといいます。
多々納さんはその話を思いだし、現代ならベーカリーとカフェという形で
そのアイデアを実現できるのではと考えたのだそうです。
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ソムリエの資格をもっている両親の元に生まれ、
子どもの頃から舌が鍛えられていたという
ル コションドール出西・シェフの倉益孝行さん。
パン職人になったのも、両親が神戸で買ってきた
パンのおいしさに感動したことがきっかけでした。
そんな倉益さんは、もともとパンというものを
食事やワインに合わせる「生活のなかのパン」と捉えていたといいます。
出西くらしのvillageでは、自分たちが欲しいと思ううつわも、
陶工さんにすぐ試作してもらえるのがありがたいのだとか。
ル コションドール出西では奥出雲産の豆腐を入れたフォカッチャや、
出雲蕎麦からイメージしたそば粉のルヴァンなど、
出雲の恵みたっぷりのパンが楽しめます。
カフェには、サンドイッチはもちろん、
地元産のお米を使ったカレーライスなども。
夏は細めのうどんに肉味噌やきゅうり、錦糸卵を乗せ、
ポン酢で味つけしたジャージャー麺が人気です。
これは吉田璋也さんが薦めていたメニューなのだそう!
また、パンを入れる籠に出西窯創業者のひとり、
多々納弘光さんのコレクションだったものを使っていたりと、
お店のあちこちにストーリーのあるものを発見できるのも楽しいです。
出西くらしのvillageを始めるにあたって、
多々納さんは次のように語られていました。
「民藝の根っこにある生活文化ということを考えていけば、
食に関わるうつわ屋として、うつわとパン、
それからパンに付属するものを扱えるということはうれしいこと。
大きな期待とワクワク感を感じてします」
いまの暮らしとともにある民藝に出会える、出西くらしのvillage。
ぜひ一度いってみたいですね!
information
出西くらしのvillage
住所:島根県出雲市斐川町出西3368
くらしの陶・無自性館(展示販売所):9:30〜18:00 毎週火曜定休
ル コションドール出西:9:30〜18:00 毎週火曜、第2・4水曜定休
駐車場:80台
電話:出西窯 0853-72-0239/ル コションドール出西 0853-27-9123
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