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沖縄県那覇市

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4 Worldwide eisa fes. 多くの移民たちも参加し、踊り、感動を与えた世界エイサー大会

祖国で練習したエイサーを全身で伝え、
観客にわき起こった感動と拍手。

011年10月14日、15日と2日間にわたって、
予選、本選が競われる予定だった
「世界エイサー大会2011」。
だが、生憎の大雨で、初日が中止、
2日目の開催も危ぶまれるという事態だった。
大会事務局の熱心な対応で、
運動公園内の武道館に急遽、会場を設営。
なんとか、踊りの場所は確保された。

出場チームは36。その中に、
ハワイチーム、ロスアンゼルスチーム、
そしてブラジルチームと
3つの海外から里帰りしたウチナーンチュの団体が
参加していた。
ブラジルは「レキオス芸能同好会」。
サンパウロに暮らす大嶺初枝さんが指導する、
沖縄移民の3世が中心となったチームだ。

彼らは、まだ行ったことのない沖縄の文化を、
ブラジルの地で、学び、感じ、練習を重ね、
そして、沖縄を訪れた。
「De volta para casa」
チームの中心メンバーである、
レオナルド 正(タダシ) 仲宗根(ナカソネ)くんが、
語ったこの言葉。
「初めて来た沖縄に、帰ってきた」。
自分のおうち、という感覚だ。と語った言葉が印象的。

3世ともなると、
自分がブラジル人か、ウチナーンチュか、
というアイデンティティの揺れもなく、
両方の素晴らしさを享受し、受け入れ、誇りに思う。
そして彼らの隔世遺伝的な先祖帰りは、
沖縄文化に興味のなかった
父母の世代までも逆にまきこんでゆく。

彼らの演技は、
派手な演出や今風のビートのきいた
沖縄現地や国内のエイサーチームと比べ、
最もオーソドックスで、沖縄エイサーらしかった。
演舞のキレも鋭く、
半端な取り組み方でないことは誰の目にも明らかだ。
演技のあと、惜しみない拍手喝采をあび、
彼らが光っていたのは、
滴り落ちる汗のせいだけではない。

なみいる強豪をおさえて特別賞を受賞。
実質の3位入賞である。おめでとう!
海を遥かに越えた土地で、
血のなかに、遺伝子の中に生きている
ウチナーンチュの種が、花を咲かせた瞬間だった。

大会は、次々と登場するチームに、皆が拍手し、
歓声を上げ、踊りの情熱を共有し、感動するという、
まさに沖縄らしい一日となった。
この「熱」こそ、沖縄の人々をつなぐ、
また、帰国する世界のウチナーンチュを
故郷へとつなぎ続ける、美しい記憶になるのだろう。