colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧

連載

〈アトリエデフ〉
家づくりは暮らしづくり

木のある暮らし
ーLife with Woodー
vol.075|Page 1

posted:2015.9.8  from:長野県諏訪郡原村  genre:ものづくり / アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  日本の面積のうち、約7割が森林。そのうちの4割は、林業家が育てたスギやヒノキなどの森です。
とはいえ、木材輸入の増加にともない、林業や木工業、日本の伝統工芸がサスティナブルでなくなっているのも事実。
いま日本の「木を使う」時かもしれません。日本の森から、実はさまざまなグッドデザインが生まれています。
Life with Wood。コロカルが考える、日本の森と、木のある暮らし。

editor profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

credit

撮影:阿部宣彦

家は、小さな地球である

20年前に創業した長野県上田市に本社を構える工務店〈アトリエデフ〉は、
自然素材にこだわった家づくりを推進している。
代表取締役社長の大井明弘さんはかつて別の工務店に勤めていた。
新建材を使った自邸を建てたところ、家族にアトピーなどの健康障害が出てしまった。
そこで「自然素材の家を建てたい」と提案したが、
「無垢材なんてとんでもない」と強く否定されてしまった。
それならばと、やりたいことのために独立し、アトリエデフを立ち上げた。
しかし、時代が早かった。

「20年前は自然素材といっても理解はされないし、需要もありませんでした。
国産材を探そうとしても、どの製材屋さんも外材ばかり。
たまに国産材があったとしても、どこのものかもわからない状態だったんです」

代表取締役社長の大井明弘さん。毎朝4時に起きて、畑作業と薪割りが日課。

キッチンなどの水回りは、ヒバやヒノキを使用。

その後、時代が徐々に追いついてきて、
2010年に建てられたのが〈循環の家〉と名づけられたモデルハウスだ。
建物自体はもちろん自然素材にこだわっているが、
それ以上に驚かされるのが、循環型の暮らしの提案。

「この土地内ですべて循環する“小さな地球”であってほしいという
コンセプトで建てました。なるべく外部のエネルギーに頼らず、
遠くからエネルギーを買うのではなく、循環のなかで、
自然の恵みを生かして自分たちでつくる。そして還す。
そこに人が暮らすことで、より豊かになるような暮らしをつくりたい」

その哲学はすでに家づくりというものを超越している。

「私たちがやっていること、特にこの循環の家で提示したいことは、
家づくりではなく、暮らしづくりなんです。家は暮らしの一部に過ぎません。
家が良ければすべて良しというわけではなく、暮らしを変えていかないと、
大量生産/大量消費も、環境問題も変わっていきません」

エネルギーや水の循環など、取り組んでいる人たちはたくさんいるが、
それを最初から家に組み込んでしまっているコンセプトは思い切っている。

コンパクトに見えるのは、すべてを循環させることで余計なものを必要としない証拠だ。

Recommend