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連載

原料から育てる五箇山和紙とのコラボレーション 後編

NANTO CITY × REBIRTH PROJECT
vol.003

posted:2014.4.17  from:富山県南砺市  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  世界遺産もあり伝統工芸も盛んな富山県南砺市と、
リバース・プロジェクトが組んだプロダクトの共同開発やエコビレッジ構想が始まった。
地域にまたひとつ新しい種がまかれる、その実践をレポート。

editor's profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

五箇山和紙を使った商品開発ストーリー。

リバース・プロジェクトが富山県南砺市の伝統産業である五箇山和紙の素晴らしさを
若い世代にも広めていくために、3つの工房と組んで商品を生み出した。

ひとつは東中江和紙加工生産組合の組合長、
宮本友信さんの「悠久紙」を使った和紙ハット。

「使うほどに白くなるという話を聞いて、
陽の光をあびる商品をつくれば、特徴を活かせると思いました。
しかも日常的に使うものということでハットを思いつきました」と語るのは、
プロダクトデザインを担当したリバース・プロジェクトのデザイナー、加藤弥生さん。

おそろいのハットできめた宮本友信さんと加藤弥生さん。

使い込むと、白くなり、レザーのような質感にもなってくるから不思議だ。黒とピンクの2色展開。

もうひとつは「五箇山和紙の里」の石本 泉(せん)さんと共作した
エッセンシャルオイル和紙。
これを考えついたきっかけは、南砺市特有の土徳の文化が背景にある。
加藤さんは言う。

「大福寺の太田浩史住職に、
”人間を人間たらしめているのは、祈りの時間があるから。
生活のなかで、自分の心に向き合う時間や空間がないとつかれてしまう”という、
南砺に息づく”土徳”の話を聞きました。
現代でそういう時間や空間は何かな? と考えたときに、
女性なら、お風呂やスパ、エステなどで
同じような効果を得ているのではないかと思ったんです」

こうしたアイデアから生まれたのが、こんなにかわいい製品。
花びらモチーフの五箇山和紙に、
ティーツリーのエッセンシャルオイルを垂らして使う。
クローゼットやバッグの中、枕元などに置いてもいいが、
お風呂に浮かべるのがおすすめの使い方。
水と紙というギャップのある組み合わせがおもしろい。

贈り物にも最適なエッセンシャルオイル和紙。

このカラフルな和紙は、再生和紙からできている。
障子紙をつくる際に切り落とした耳の部分をもう一度煮て、再生和紙にしている。
これには色がつけたあった。

「その色が淡くて、かわいくて。
五箇山の山奥にこんなかわいい紙が並んでいる!(笑)」と、
女性目線を発揮した加藤さん。

加藤さんの感性に共感し、
こんなにも現代的かつポップなプロダクトとして応えられたのは、
石本さんという理解者がいたからかもしれない。
石本さんは美術大学出身で、東京から五箇山へ移住し、和紙づくりに携わっている。
昨年、独自のブランド「FIVE」をデザイナーのminnaと協力して立ち上げた。
カードケース、ブックカバー、メモロール、コースターなど、
発色のいいカラーリングが目を惹くプロダクトだ。
和紙のイメージからかなり飛躍している。
都会的な感性をもって、商品づくりに取り組んでいる。

五箇山の和紙製品を発信する石本泉さん。そのフィールドはすでに世界へと広がっている。

そもそも美術大学時代に和紙に興味を持ち、学生時代に何度か五箇山を訪れ、
勉強していた。大学を卒業後すぐに五箇山に移住し6年が経つ。
ほかにも和紙の産地はいくつかあるが、五箇山が気に入った理由をこう話す。

「五箇山は原料からつくっているんです。そんな畑仕事にも惹かれました。
土いじりは落ち着くし、おもしろい。
木から紙になっていく、その工程すべてに携われる」と石本さんがいうように、
その作業や1年のライフサイクルは、ほとんど農家のようなもの。

原料の楮を春から栽培し始め、草取りなど毎日のように手をかけて育て、
秋に収穫する。現在では通年で紙すきは行われているが、
かつては冬にしか行われないものだった。

“すき舟”ですく作業を見せてくれた「五箇山和紙の里」館長の東 秀幸さん。ここでは紙すきができる伝統工芸士は3人。

五箇山の和紙職人は、みんな原料から育てている。
しかし、楮が無駄に残っている現状もあった。
商品が売れなくては、せっかくつくっても意味がないし、
次代に残っていかない。
石本さんは、プロダクトを使って広く市場に呼びかける役割を積極的に担う。

五箇山和紙の、伝統と革新。
若いクリエイターが積極的に動ける雰囲気づくりをしたり、
リバース・プロジェクトと共同で現代にフィットする商品を生みだせば、
どんどん全国、全世界へと広まっていくはずである。

リバースプロジェクトが手がけたもうひとつの商品がこの「五箇山和紙粘土 デコレーションキャット」。真っ白のものを自由に塗ることができる。(写真は伝統工芸士の前崎真也さんほかクリエイターが絵付けした作品)

information


map

五箇山和紙の里

住所 富山県南砺市東中江215
TEL 0763-66-2223
http://gokayama-washinosato.com/

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「NANTO CITY × REBIRTH PROJECT」
http://shop.rebirth-project.jp/user_data/special/no025/index.php

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