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MAD City vol.6:
オフィスビルを住まいにDIY、
手に入れたのは居心地のよい空間

リノベのススメ
vol.022

posted:2014.3.14   from:千葉県松戸市  genre:活性化と創生 / アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  地方都市には数多く、使われなくなった家や店があって、
そうした建物をカスタマイズして、なにかを始める人々がいます。
日本各地から、物件を手がけたその人自身が綴る、リノベーションの可能性。

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MAD City

マッドシティ

千葉県・松戸駅周辺エリアにて、まちづくりプロジェクト「MADCityプロジェクト」を推進中。クリエイターなどを誘致する不動産サービス事業「MAD City不動産」、新旧住民のコミュニティを創出するまちづくり事業に取り組み、創造的なエリアづくりを目指しています。

MAD City vol.6
快適な住まいから人の輪を広げる

今回はMAD Cityの座敷童子こと、小川綾子のお話をしたいと思います。
私たちは普段、「おが」と呼んでいます。

おがです。

おがは建築・内装の仕事を軸足に日々活動的に過ごしています。
なぜ座敷童子なのかというと、おがは、出没率が高いからです。
誰よりもMAD Cityで開催されるイベントに遊びに来てくれて、
とくに何もない普段のときでも気付くとMAD Cityにいる。
お昼を外で食べてオフィスに戻ってくると私の席におがが座っている。
ふと気付いたらちんまりとそこにいる存在感。
私たちも知らないところで、MAD City関係者から声をかけられて仕事をしていたり、
もう全員友だちみたいな顔の広さ。
とにかくエネルギッシュでパワフルで、ひとつの目的に向かって一直線。
なんというか、おがのことを一言で形容しようとしたとき
「座敷童子」という言葉しか思い付かなかったんですよね。

2013年の春に開催した、おがの切り絵個展の様子。

そんなおが、内装補修の仕事をしていた経験があり、二級建築士の資格も持っています。
つまり建物やリノベーションのことに関してはプロだと言っていいでしょう。
実際MAD Cityの入居者でおがに改装を手伝ってもらったり
アドバイスを受けたりした人もたくさんいます。
そう聞くと、おがの自宅だってさぞかしバリバリとリノベーションしているんだろうな……
とお思いかもしれませんが、 実はそうでもなかったんです。

私たちがおがに初めて会ったのは2年半くらい前。
彼女がそのころ住んでいた木造アパートは改装を自由にすることができない物件でした。
MAD City不動産が改装可能な物件をいろいろ紹介していくなかで、
おがもちょこちょこと改装可能物件に引っ越したいなあ、と口にしていました。
何回か物件の見学にも来てくれたのですが、それでもおがは引っ越しをしなかったんです。

どうしてか。それは単純に条件に見合う物件がなかったからだそうです。
広すぎず、狭すぎず、南向きで明るくて、水回りが古すぎないところ。
「物件自体は古くてもかまわないけれどこの条件だけは譲れない!」
と、物件探しをしていると、案外いいところが見つからなかったのです。

そんなおがが今の部屋に出会ったのは去年の夏のこと。
見学に来たおががひと言、「嫌なところがひとつもない!」と。
そのまま申し込んでくれ、改装が始まりました。

嫌なところがひとつもなかったお部屋がこちら。

もとはオフィス仕様だったこのお部屋。生活できる設備は揃っているものの、
エアコンをつけてみたらむせかえるほどのたばこ臭、壁もヤニで黄ばんでいるし、
床材も張り替えたいし……

写真に写っているロッカーや机はおがの入居前に撤去しました。

嫌なところがひとつもないと言ったって、新居はエレベーターなしの5階建て最上階。
毎日退勤した後階段にもめげず資材を運び込み、夜中まで改装していたというおが。
2年越しの「改装したい!」を詰めこんだ結果を見ていただきましょう。

ロッカーがあった場所にはもともと窓がありました。

2013年の9月に引っ越してきてから約5か月、お部屋はこんな風に生まれ変わりました。

キッチンには木目調のシートを貼り、小さなキッチンカウンターを設置。

床は総無垢材で張りました。より明るい印象を受けるのはたぶんそのせい。

地元の方から古い建具をもらってきて自分で取り付けました。よく見ると切り絵模様が。

この部屋、実は両脇が道路になっている、いわゆるペンシルビルなのです。
5階はひと部屋のみ、つまりおがしか住んでいません。
両側が壁なのでとにかく窓が多い。窓は多いけれどもビルの5階、
もちろん外から覗くことなんてできませんからセキュリティ面でも安心です。

玄関前は床材に切り替えを入れてタイルを貼りました。これももちろん自分で。

みんなが来てくれるような空間にしようと思ったというおが。

これはおがの家で行われた「編み部」の活動風景。少人数で集まるのにいい感じです。

MAD Cityプロジェクトに関わっていくうちに、
「自分の居場所が自宅だけでなくていろいろなところにあるといいし、
同じように自分の家もほかの誰かの居場所になればいい」
と思うようになったそうです。

MAD Cityで出会った仲間を手伝って房総で小屋づくりを実施中(建てるのはこれから)。これも居場所をつくる取り組みのひとつ。

「いつかはこの部屋も出て行くことになるから、
そのときに次の人に喜んでもらえるように。
それまでの間も、来た人が居心地がいいなと思ってくれて、
自分の家を改装するときのヒントやアイデアを見つけられる
モデルルームみたいになるように」とおがは言っていました。

この照明も手づくりです。お客様が来ると灯すそう。

切り絵に並ぶおがの十八番、消しゴムはんこでつくったコースターでおもてなし。

収納が少ないので棚もいくつか取り付けました。トイレの中もかわいらしくなっています。

場所をつくる。そしてその場所が人の輪をつないで、
単なる場所ではなくて居場所になっていくっていうのは素敵なやり方だと思いました。
これからもいろんな場所に居場所をつくっていって、
そこで座敷童子の名に恥じず、人の輪の真ん中にいてほしいなと思っています。

information


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MAD City(株式会社まちづクリエイティブ)

住所 千葉県松戸市本町6-8
電話 047-710-5861
http://madcity.jp/

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