連載
posted:2016.6.1 from:島根県松江市 genre:食・グルメ
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〈 この連載・企画は… 〉
その土地ならではの風土や気質、食文化など、地域の魅力を生かし
地元の人たちと一緒につくった特別なビール〈47都道府県の一番搾り〉。
コロカルでは、そのビールをおいしく飲める47都道府県のスポットをリサーチしました。
ビールを片手に、しあわせな時間! さあ、ビールのある旅はいかがですか?
writer profile
Kaori Ezawa
江澤香織
えざわ・かおり●神奈川県生まれ、フリーライター。食、旅、クラフトなどを通じて、日本文化とものづくりを応援。著書『山陰旅行 クラフト+食めぐり』『酔い子の旅のしおり』(マイナビ)、『青森・函館めぐり』(ダイヤモンド・ビッグ社)など。
photographer profile
Kazue Kawase
川瀬一絵
かわせ・かずえ●島根県出雲市生まれ。2007年より池田晶紀が主宰する写真事務所〈ゆかい〉に所属。作品制作を軸に、書籍、雑誌、Webなど各種メディアで撮影を行っている。
http://yukaistudio.com/
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47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
島根でコロカルが向かったのは、松江の宍道湖とその周辺。
松江に住む人々の憩いの場所といえば、宍道湖です。
全国で7番目に大きな湖で、東西約17キロ、南北約6キロ、周囲は約47キロ。
淡水と海水が入り交じる汽水湖のため、淡水魚と海水魚が共存し、魚種が豊富。
スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、シジミ、コイ、シラウオは、
「宍道湖七珍」と呼ばれ、郷土料理として観光客にも人気です。
そのなかでも、一番有名で親しみ深いのは、ヤマトシジミ。
シジミの味噌汁は島根人のソウルフードともいえます。
朝早く宍道湖沿いを散歩すると、たくさんの小さな船がぷかぷかと浮かんでいて、
シジミ漁をしている様子を見ることができます。
湖畔を散歩するのは本当に気持よく、観光客も地元の人も気ままにくつろいでいます。
マラソンをする人、犬の散歩をする人、子どもたちと一緒に遊ぶ家族もいれば、
結婚式の記念写真を撮っている新郎新婦まで!
のどかな風景があちこちで見られます。
さて、その宍道湖畔、宍道湖大橋からもほど近いところに、
ぽつりと一軒、お肉屋さんがあります。
お店を見ているとひっきりなしに、お客さんが出たり入ったり。
〈ミートショップきたがき〉は、〈しまね和牛〉を中心に肉を販売していますが、
ここには大変な人気のオリジナル〈手造りビーフコロッケ〉があります。
和牛の上質な素材をふんだんに使い、
ジャガイモよりお肉のほうが少し多い、ベストバランスな配合。
砂糖は一切使っていないのに、肉の甘みと旨みがじゅわっと口の中にしみわたり、
何もつけずに食べても十分な味わいの深さです。
しまね和牛は肉のきめが細かく、濃厚な味わいが特徴だそうです。
いまでは、多い日にはコロッケだけで1日2000個売れることもあるそうですが、
発売当初は15個つくっても10個余る、というくらい人気がなかったそう。
そこで、あちこちでコロッケを食べ比べしたり、料理の本を買って研究したり。
つくり方を何度も試行錯誤して、やっといまのおいしさにたどり着いたとか。
500個売れたときはうれしくて、ショートケーキを買ってお祝いしたそうです。
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ミートショップきたがきは、社長の北垣隆さんと奥様の二人三脚。
ふたりの出身地は松江市のお隣の安来市だそうですが、
コロッケのおいしさの秘密のひとつは、ふたりの故郷にありました。
子どもの頃から親しんでいた、地元の醤油を調味料に使っているそうです。
ミンチした牛肉と玉ねぎを炒めたあと、醤油で少し煮込んでいます。
素材にしっかり味がつき、おいしいコロッケのベースになります。
あとはじゃがいもと混ぜて寝かせ、衣をつけて、カラリと揚げれば、
もうさっそくビールが飲みたくなってきました。
揚げたては、熱々のホクホク。サクっとした衣の中は
ジューシーでしっとりやわらかく、脂そのものにコクがあります。
肉の分量が多いので、旨みがしっかり際立っているのです。
ああ、おいしい。
地元の人にここのコロッケの話をすると、みんな、ちょっとうっとりしながら、
「ああぁ~」とため息を漏らします。
「もう、いま食べたくなっちゃうじゃない!」とうれしそうに怒る人もいます。
週に2、3回は買いに行く、という人もいます。
店の近くを通るといつも、コロッケを揚げるときのなんともいえない、
香ばしい匂いが鼻先をくすぐり、どうしても素通りすることができません。
そうやって、つい引き寄せられてしまう人が大勢いて、
「コロッケ渋滞」ができることもあるくらいです。
松江の人にとって、このコロッケは、もはやなくてはならない存在かもしれません。
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さて、島根といえば、民藝。
宍道湖大橋を渡った反対側のたもとには、明治10年より開窯した、袖師窯があります。
築100年を超える木造の日本家屋が味わい深く、ハッと目を引きます。
1877年に開窯し、3代目の尾野敏郎氏は、民藝運動のリーダーだった柳宗悦や
陶芸家の河井寛次郎、バーナード・リーチなどから指導を受け、
その器は「用の美」を伴った民藝の器として親しまれてきました。
現在は5代目の尾野友彦さんが中心となって、伝統的技法を継承しつつ、
新しい試みも行われています。
尾野さん自身もビールが大好き、とのことで、
大小、色や形もさまざまなマグがありました。
どれもおいしくビールが飲めそうです。
すべて手づくりなので、ひとつひとつに独特の表情があります。
電動のロクロが多いなかで、袖師窯の工房では、蹴(け)ロクロという、
足でトーン、トーンと蹴りながら回す、昔ながらのロクロも使われています。
自ら野外に出かけて採取し、自然の素材から釉薬をつくることもあるそうです。
聞けば聞くほど、丁寧で惜しみない手間がかかっていることがわかります。
どの器にしようか、ますます迷ってしまいますが、
ぜひ、自分だけのお気に入りを見つけてください。
宍道湖に戻り、夕暮れが近づくと、じわじわと人が集まってきます。
宍道湖の夕日は、「日本夕陽百選」にも選ばれている絶景。
天気のいい日に当たれば、息をのむような美しい夕日に出会えます。
いい夕日が見られそうなときは、地元の人でさえ、
宍道湖でしばらく立ち止まって眺めてしまう、というほど。
島根県立美術館には、日没時間が毎日掲示されています。
湖畔に浮かぶ小さな島〈嫁が島〉と一緒に撮影したいなら、
専用の撮影スポット〈夕日テラス〉があります。
また、宍道湖沿いの遊歩道を歩いていると、
ときどき地面にカメラマークが表示されていて、
「○月×日はここ!」と、夕日と嫁が島がちょうど重なって見える、
撮影おすすめスポットを教えてくれます。
この日は薄曇りで、残念ながら夕日を見ることはできませんでしたが、
天気がよかったら見られたかもしれない、絶景の夕日写真をご紹介します。
※一番搾り 島根づくりは、島根の誇りを込めてつくった、島根だけの味わいです。
問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00~17:00土日祝除く)
ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。
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ミートショップきたがき
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袖師窯
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