連載
posted:2016.5.31 from:長野県安曇野市 genre:食・グルメ
sponsored by KIRIN
〈 この連載・企画は… 〉
その土地ならではの風土や気質、食文化など、地域の魅力を生かし
地元の人たちと一緒につくった特別なビール〈47都道府県の一番搾り〉。
コロカルでは、そのビールをおいしく飲める47都道府県のスポットをリサーチしました。
ビールを片手に、しあわせな時間! さあ、ビールのある旅はいかがですか?
writer profile
Hiromi Shimada
島田浩美
しまだ・ひろみ●編集者/ライター/書店員。長野県出身、在住。大学時代に読んだ沢木耕太郎著『深夜特急』にわかりやすく影響を受け、卒業後2年間の放浪生活を送る。帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店〈ch.books〉をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。
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撮影:阿部宣彦
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47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
長野でコロカルが向かったのは、北アルプスのふもと、
安曇野市にある〈大王わさび農場〉。
安曇野市一帯は、北アルプスの雪解け水が伏流水となり、
1日70万トンの水が至るところで湧き出しています。
この清らかな水は真夏でも水温が15度を超えることはありません。
こうした豊富な湧水と冷涼な気候を生かして
安曇野市で約100年前から栽培されているのがわさびです。
実は、長野県はわさびの生産量が全国1位ですが、その9割を占めるのが安曇野産。
市内の穂高地区には100を超えるわさび田がありますが、
なかでも群を抜いて大きいのが、4万5000坪(15ヘクタール)という広さを誇る
〈大王わさび農場〉です。
「農場」と名がつくものの、こちらはいわゆる観光農園で、
安曇野の自然を多くの人に体験してほしいという思いから入場は無料。
情緒あふれる水車小屋やのどかな遊歩道など、安曇野を満喫できる憩いの地です。
年間入場者数は、なんと約120万人。
いまや安曇野を代表する一大観光地となっています。
わさび田がなぜそんなに人気に……? と侮ることなかれ。
その理由は、ここを訪れてこそわかります。
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農場内を進むと見えてくるのは、澄んだ水が悠々と流れる蓼川にかけられた三連の水車。
ここは1989年に黒澤明監督の映画『夢』のロケ地で、
まさに安曇野の原風景ともいえる場所です。
この景色を眺めているだけで心が洗われる気分になり、まるでパワースポットのよう。
そして、敷地全体に広がるのが60万株ものわさびが栽培されている
広大なわさび田です。田の地下からは、何千とも何万ともいえる場所から
日量12万トンもの水が湧き出しているのだとか。
確かにわさび田をよく見てみると、あちこちの水面に
ポコポコと湧水から発生した泡が見られます。
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「北アルプスの雪解け水は山中で落ち葉や枯れ枝をくぐって地下にしみ込み、
じっくりと養分をとり込んで、長い場合は20~30年かかって地上に湧き出すんです。
だから、ここのわさびは森がつくる栄養で育っているんですよ」
こう教えてくれたのは、大王わさび農場の広報室室長である濱 重俊さん。
1917年に開拓を始めた農場の100周年を記念して、
2015年に開館した〈大王わさび農場百年記念館〉の館長でもあります。
全国初のわさび専門の資料館では、わさびの歴史や辛さの秘密なども紹介されています。
濱さんによると、明治のはじめから大正時代の中頃まで、
この一帯はナシの栽培地だったそうです。
ところがこの地は犀川や穂高川、高瀬川、万水川の合流地点の湿地帯で、
たびたび犀川が氾濫したことから、川に向かって堤防を築くかたちで
土砂を掘って積み上げ、次々と湧き出る地下水を利用してわさび田をつくったのだとか。
その労働力は近隣の農閑期の農民たちで、のべ40万人によって
およそ20年かけて開拓したそうです。
ここで栽培されるわさびは、およそ2年の歳月をかけて出荷されます。
年間生産量は130トン。この量は日本の本わさびの総生産量(1299トン)の
約1割にあたりますが、なんとそのほとんどは、
敷地内のレストランや売店での販売などで消費されるのだとか。
それだけ、ここには豊富なわさびメニューが揃っています。
そんなわさびメニューのなかでも、生わさびの魅力をとことん堪能できるのが、
〈レストラン大王〉で提供している〈本わさび丼〉。
わさびの茎と芋を漬けた〈ほろっこ漬〉の刻みを混ぜたご飯の上に
カツオ節と海苔をのせ、そこに自分ですりおろした生わさびをトッピングするという
なんともシンプルな料理ですが、これが実にうまい!
香り高いわさびそのもののおいしさと独特の辛みを実感できます。
値段も720円とお手頃です。
また、農場内の売店ではいつでも生わさびを買うことができます。
濱さんによると、わさびは多年草でいつでも収穫ができますが、
おいしさが凝縮するのは成長速度が遅い冬場だそう。
そこで、手に持ったときにずっしりと重みがあり、
目が詰まった感じのものを選ぶのがポイントとのこと。
なお、大王わさび農場では、わさび田からの排水を利用して
ニジマスの飼育も行われています。
このような活用ができるのも、わさび栽培には一切農薬などを使っていないから。
こうした水の美しさから、安曇野のわさび田湧水群は
環境省の〈名水百選〉に認定されていますが、
今年2~3月に同省がインターネット上で行った〈名水百選〉の人気投票で
最多得票を獲得し、全国の並みいる名水のなかでも日本一と評価されました。
自然のすばらしさと郷土を愛する古の人々の努力を伝える
この〈大王わさび農場〉を通じて、信州の魅力を感じながら、
おいしいわさびをつまみにビールに舌鼓なんていかがですか。
広大な農場散策のあとに開けるビールの味わいは格別です。
※一番搾り 信州づくりは、長野の誇りを込めてつくった、長野だけの味わいです。
問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00~17:00土日祝除く)
ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。
information
大王わさび農場
住所:長野県安曇野市穂高3640
TEL:0263-82-2118
営業時間:3月~10月 9:00~17:20、11月~2月 9:00~16:30
定休日:なし
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