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連載

関美工堂

ものづくりの現場
vol.001

posted:2012.1.11  from:福島県会津若松市  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  伝統の技術と美しいデザインによる日本のものづくり。
若手プロダクト作家や地域の産業を支える作り手たちの現場とフィロソフィー。

editor profile

Ichico Enomoto
榎本市子

えのもと・いちこ●エディター/ライター。生まれも育ちも東京郊外。得意分野は映画、美術などカルチャー全般。でもいちばん熱くなるのはサッカー観戦。

credit

撮影(ポートレート除く):ただ(ゆかい)

新しい会津塗のブランド「BITOWA」を担う漆の老舗

400年以上の歴史を誇る会津塗。
その伝統を継承しながら、洗練されたデザインで新しい会津塗を打ち出し、
2006年に誕生したブランドが「BITOWA」だ。
職人が生み出す繊細な美しさをたたえながら、
現代のライフスタイルにもなじみやすい製品を発表し続け、国内外で高く評価されている。
漆器組合の青年部から誕生したBITOWAは、
現在は漆器を扱う4社によって組織されている。
各社の代表たちは、かつては東京で音楽業界や、宇宙開発事業、金融業など、
漆器産業とは関係ない世界で成功していたUターン組。
そんな彼らのアイデアや戦略、そして何より情熱がこのブランドを育ててきたのだろう。

BITOWAのメンバーである関美工堂の関昌邦さんは
「会津漆器はピーク時の4分の1になってしまっています。
現代では漆器の代わりになるものはいくらでもあるし、
漆器でないといけない必然性もなくなってきている。
でも先祖たちが残してきたものを守りながら、いまの生活で使ってもらうためには、
どういうアイデアで誰に向けた商品を作っていくのかという、
販売戦略に基づいたものづくりが必要になってきます」と話す。

関美工堂は、もともとは表彰記念品のノベルティなどを製造販売する会社だが、
デザインや素材にこだわったさまざまなアイテムを扱うセレクトショップ
「b Prese(ビープレゼ)」も経営する。
そこではBITOWAだけでなく、
会津の職人の手作業で作られたマグカップ「ノダテマグ」や、
陣羽織の柄をデザインモチーフにし、漆塗りに金やプラチナの蒔絵を施した
iPhoneカバー「cavre」など、関さんがプロデュースした商品も扱っている。

会津塗の職人は、木地をつくる木地師、漆を塗る塗り師、絵をつける蒔絵師というように
分業制になっており、それぞれの適性やコスト、スケジュールを見極めて、
職人たちに仕事を振っていくのも関さんの大事な仕事。
現場をよく理解し、多くの職人たちとつながりを持っているからこそできることだ。
実際の作業現場を見学させてもらうため、
塗り師の大森弘さんの工房に案内してもらった。
ここでは関美工堂で扱っている記念品などの箱やiPhoneカバーなど、
おもに板物を塗る。
塗るときに埃が舞うと、塗ったばかりの漆についた埃をとらなくてはならないので、
塗り師は息をひそめて手際よく塗り、部屋は静寂に包まれる。
下塗りをして乾かし、また上塗りをするという作業を繰り返していく。
現代的な発想やデザインから生まれた製品でも、それをしっかり支えているのは伝統の技。
関さんは「伝統を踏まえたうえで、新しい商品づくりをしていきたい。
続けてきたことで結果は出てきています」と目を輝かせていた。

秀吉の陣羽織がデザインされたiPhoneカバー。金とプラチナの蒔絵で加飾。

大森さんの息子の康弘さんも塗り師。刷毛には女性の髪の毛が使われている。

漆は65~85%の湿度の乾燥室で乾かしたあと磨かれる。朱は信長バージョン。

Profile

MASAKUNI SEKI
関 昌邦

せき・まさくに●1967年、福島県会津若松市生まれ。宇宙開発事業団を経て2003年に株式会社関美工堂に入社、2007年より代表取締役社長。会津塗ブランド「BITOWA」の立ち上げに携わり、現在もさまざまな商品のプロデュースを手がける。

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