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posted:2015.2.20 from:熊本県八代市 genre:食・グルメ
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writer profile
Akiko Saito
齋藤あきこ
さいとう・あきこ●宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。
無農薬・無化学肥料栽培・在来種である薬草を使って
おいしいお茶を作るプロジェクト、「{tabel}(タベル)」。
代表をつとめるのは、食卓研究家の新田理恵さん。
もともと管理栄養士であり、国際中医薬膳調理師である新田さんは、
東西の栄養学の両方を知る方。
新田さんは薬膳料理や薬膳茶を作っていくうちに、
その材料のほとんどが輸入品だということに気づきます。
輸入品だと、情報が少ないので、育てられた産地や流通の経路がわからない。
安心できる材料を使いたいと、国産の薬草を調べていくうちに、
九州や四国・近畿地方などに産地があることに気が付いたんです。
新田さんは現地に飛び込んで薬草の産地や、薬草茶の工場、
薬草で町おこしをしている町などを訪ね、「{tabel}」につながる
生産者さんたちと出会います。
例えば楊貴妃も美容茶として愛飲したと言われる蓮の葉茶。
熊本県八代地方では、30年以上前から農薬を使わずに
自然由来の肥料で栽培をされている蓮根農家さんに出会うことができました。
ほかにも、霧島の枇杷の葉茶、伊吹山の蕎麦茶。
収穫は難しいが栄養価も高い、希少な日本の在来種たちが
たくさんあることがわかってきました。
さらに熊本では薬草茶によって、医療費を数億円単位で
削減することができた実績もあったそう。
おいしくて身体にも良い国産薬草茶を届けられれば、
心身の不調や病気に悩む人をきっと幸せにできるはず。
そんな思いから、「{tabel}(タベル)」が作られたんです。
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新田さんに、八代の日本古来のはすの葉茶と、
霧島のカキドオシとハトムギ茶を販売にこぎつけた現在の
お話をお伺いしました。
ーー商品を販売してみて、お客様の反応はいかがですか?
「実際に商品を作ってみると、「こんなお茶がほしかった!」と、
国産の無農薬のお茶やノンカフェインの飲み物を探していた方に
たくさん出会います。そして、渋いイメージだった薬草が、おもしろい、
たのしいものに変わっていくのが、とても嬉しいです。
薬草文化が生活に残っている九州から2品(霧島のカキドオシとハトムギ茶、
八代の日本古来のはすの葉茶)の発売が始まったので、
九州にゆかりのある方から喜んで声をかけていただいたり、
「うちの地域にはこんなお茶があったよ」と、
懐かしみながら話してくださる方もいらっしゃいました。
ーー活動を通して、なにか感じたことはありますか?
「ローカルでは雑草のように生えているものが商品になると、
地域の魅力に改めて気付く驚きの声にもなっています。
健康やおいしさだけではなく、地域を愛でる視点の一つに
薬草があるような気がします」
ーー今後はどんな展開をされる予定ですか?
「日本の植物は、味や香り、効能など本当に個性的で楽しい。
しかし、薬草文化は戦後の世代にあまり知られていないことがもったいないんです。
地域のおじいちゃん、おばあちゃんから学びながら、お茶会イベントにして共有しながら、
知りたい人と教えたい人がきちんとつながる商品と場作りをしていこうと思います。
九州以外の地域からも、新しい薬草茶を準備していますので、今後もどうぞお楽しみに!」
食べる人の健康と、環境への優しさを心から願って育てられた
特別な材料を、丁寧に乾燥と焙煎にかけたお茶たち。
きちんとした価格での販売・流通のしくみをつくれば、
地域に経済や仕事を生み出し、薬草茶を活用した健康づくりは、
地域や国の医療費削減にも貢献できる。
「{tabel}」にはそんな、複数の社会課題にアプローチする狙いもあります。
いろいろな思いが込められたおいしいお茶。
現在は東京、大阪をはじめ、金沢や茨城などの店舗•レストランで販売されており、
webショップでも購入ができます。
ぜひ味わってみて下さい。
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