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Googleの携帯陣取りゲームで石巻の復興を支援!まちの記憶をたどるツアー「Ingress Meetup」

コロカルニュース

posted:2014.5.18   from:宮城県石巻市  genre:活性化と創生 / エンタメ・お楽しみ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Akiko Saito

齋藤あきこ

さいとう・あきこ●宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。

いまも大きく残る、東日本大震災の爪あとの復興。
宮城県石巻市は、津波による4000人の犠牲者と、
最大の浸水被害面積という甚大な被害を受けた土地。
かつて人口16万人だったまちは、震災以降人口が1万人が減り、
2万人がいまも仮設住宅に暮らすという課題を抱えているんです。

先週、2014年5月10日(土)、11 日(日) の二日間にわたり、
宮城県石巻市にて、これまでになかった復興支援イベント
Ingress Meetup in Ishinomaki」が開催されました。
これは、IT企業のGoogleと旅行会社のJTB、
地元石巻の復興プロジェクト「ISHINOMAKI2.0」、「イトナブ石巻」の
協力のもと実現したプロジェクト。
Google本社のラボ「Niantic Labs(ナイアンティックラボ)」が開発した
ゲーム「Ingress」(イングレス)を使って、石巻のまちを歩いたり、
地元の人と触れ合ってもらいたいというこころみです。

■位置情報を使ったゲームでまちを散策

イングレスのゲーム画面。実際の景色のうえにバーチャルな景色がオーバーラップする。

「イングレス」は、スマートフォン向けの位置情報ゲーム。
ゲームを立ち上げると、まちの地図がレーダー風の画面になり、
実際の建物をつかった「ポータル」と呼ばれるチェックポイントが表示されます。
プレイヤーは緑(エンライテンド)・青(レジスタンス)のどちらかを
選んで、敵よりも多く自分たちの陣地を増やすのが目的。
GPSなどで取得した位置情報を利用してチェックインするので、
屋内のパソコンで遊んでいた従来のオンラインゲームとは違って、
実際の現実世界がゲームの舞台になるんです。
ゲームのヒントを仲間と一緒に探しに行くのは、まるで
RPGゲームをリアルに体験しているみたい。
全世界で約300万人のユーザーがいる人気のゲームなんです。

チェックポイントをのぞむプレイヤー

このツアーにおいては、「イノベーション東北」を組織し、
大震災の発生時から復興支援をしてきたGoogleと、
ボランティアツアーなどを行ってきたJTB、そして石巻を拠点として
地元から復興する「ISHINOMAKI2.0」、「イトナブ石巻」の協力のもと
プログラムが組まれました。
このイベントのために地域住民の方からヒアリングして作られた、
石巻ならではのチェックポイントは120箇所!
震災で流されてしまった場所などもチェックポイントのひとつになり、
スマホを向けると、震災以前の風景が浮かび上がるような仕掛けも。
チェックポイントを探して石巻のまちをあるくことで、震災前後の様子を
知ることができます。

さて一泊二日のこのツアー、
料金は東京駅発着で交通費、宿泊費も込みで34,000円。
当日集まった参加者は、日本国内からオーストラリアや香港まで
世界じゅうからなんと80名もの方々!
初めて会う方でも、同じゲームのプレーヤーなので話も弾みます。
終始和やかな雰囲気でツアーが進行しました。
それでは当日の模様をお届けします!

ツアーのスタートは、石巻の門脇地区にある復興のモニュメント「がんばろう石巻」から。かつてここで水道屋さんを営業していた黒澤健一さんが震災直後に建てたものです。

「がんばろう石巻」の周辺は、かつては商店街だったところ。いまは更地に。たくさんの鯉のぼりが揺れていました。

挨拶を行なう、Niantic Labsの川島優志さん(左)と、コーディネーターをつとめたイトナブ石巻の古山さん(右)。

イベントの始まりは、参加者全員がお線香をあげて黙祷を行いました。Google Earthの開発者であり、ナイアンティックラボ創始者/Google副社長のジョン・ハンケ氏もこのイベントのために来日。

青チームと緑チームに分かれバスに搭乗。バスの中ではゲームの仲間どうし、情報を交換しあったりアツい作戦会議が繰り広げられました。ゲームの世界に浸れるのが楽しいところ。

石巻市の日和山公園にて行われるオープニングセレモニーのために移動。日和山公園は石巻市街にある小高い丘で、石巻市を襲う津波の様子を捉えた映像が撮影されたところ。

日和山公園からの、現在の景色。

この方は開発者も驚く驚愕の高レベルを保持する伝説のプレイヤー!

ゲームの登場人物である女性キャラクターのクルー(Klue)が来日!ゲームの中の人が石巻に!

参加者に渡された、ゲーム開発サイドから用意されたグッズ。中にはファン垂涎のイングレスグッズと、ミニゲームのヒントが。

グループに分かれてミニゲームに挑みます。

石巻の方が作ったチェックポイントのヒントをじっくり検討。イベント時には、まちかどに立っている地元の人が、参加者にゲームのヒントを与えるイベントも。

石巻のまちはゲーム内だとこんな風に見えます。

石巻のまちには石ノ森章太郎さんのキャラクターがそこかしこにいるのでお散歩も楽しい。

「石巻のひとたちのために何かができる機会ということで、今日のイベントは僕達もすごく楽しみにしていて、本当に力を入れていました」と川島優志さん。

これまではお家にこもってプレイするものだったオンラインゲームが
外で仲間と一緒に遊べるものになり、それが震災復興やまちおこしのために
使われていることに、すごく可能性を感じました。
2014年7月に開催される「石巻STAND UP WEEK 2014」でもまた
イングレスのプロジェクトが行われる予定なのだとか。
テクノロジーを使った新しい試み、
気になる方はぜひ石巻へ!

Ingress Meetup in Ishinomaki

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