連載
posted:2017.3.1 from:京都府福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町 genre:暮らしと移住 / 活性化と創生
PR 京都府北部地域連携都市圏形成推進協議会
〈 この連載・企画は… 〉
ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。
credit
text:Mo-Green
photo:山崎智世
京都府北部地域の福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町。
これらの7市町が広域連携し、
2016年に移住・定住促進プロジェクト「たんたんターン」が始まった。
このプロジェクトをサポートしているのが、
地域社会のブランディングを支援する「ロコブラ」などを手がける博報堂、
移住定住を推進するメディア『雛形』を運営するオズマピーアール、
そしてコロカル編集部が連携した「地域エディットブランディング」チームだ。
京都府北部にはどんな魅力や暮らしのスタイル、働き方があるのか。
移住者はどんな暮らしを営んでいるのか。
半年をかけてそれを探り、新しい価値を見つける活動を自治体とともに行ってきた。
ここには、想像以上に多種多様な移住のかたちがあり、
それを受け入れる地域のふところの深さがあった。
日本海沿いにある京丹後市、伊根町、宮津市、舞鶴市。
緑豊かな田園風景が広がる与謝野町、福知山市、綾部市。
これらの7市町までは、京都市内から車で1時間30分〜2時間程度。
“いわゆる京都”のちょっと先の場所に位置している。
この地域には今もなお、なつかしい里山の景色が残り、
ゆったりとしたリズムで穏やかな時間が流れている。
海とともに暮らすまちにある壮大な景色。水がきれいで、心地よい浜風を浴びながら、
自由気ままなライフスタイルを過ごせる。
釣りはもちろん、サーフィンなどのアクティビティも充実。
また、海沿いにある公園は、夜になればきれいな星空の下、
友人たちと語らいの場としても使われることも。
山には穏やかな空気が流れ、棚田や笹葺き屋根の家屋からは日本特有の情緒が漂う。
歴史文化も7市町に内在するキーワード。
景観、家のつくり、集落など、レトロでなつかしいまち並みが残り、
後世へと受け継がれている。
農業をしながら自給自足の生活を営む人もなかにはいて、
生きる工夫が生活の豊かさにつながっていく。
人それぞれ、十人十色の暮らし方がここにはある。
海の幸、山の幸ともに充実し、旬の魚、野菜、果物をたらふく食べることができる。
今朝あがったばかりの魚、収穫したばかりの野菜や果物などを使った
贅沢なごちそうを常日頃から味わえる。水がきれいだからお米もおいしい。
そして、おいしいごちそうを一緒に食べる仲間に囲まれて、
楽しい団欒のひと時もこの地域の魅力のひとつ。
2015年には、京都府北部地域と京都市内をつなぐ自動車専用道路が開通された。
市内からさほど遠くなく、簡単に遊びに行けるため、住民たちの行き来も多くなっている。
なかでも、綾部市は京都市内へ通勤圏内という場所でもある。
適度にアクセスがよく、自然だけでなく伝統文化や食文化、
レジャーなど豊富な地域資源を使った楽しみもあるため、最近では観光業が発展してきている。
なにより人同士のつながりが強い京都府北部地域。
この地域のこれらの魅力に惹かれて、移住を決めた人たちがいる。
彼らがどういった経緯で移住を決心して、現在はどんな暮らしを送っているのか?
「地域エディットブランディング」チームが、7人のキーパーソンの移住スタイルを追った。
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笹葺き屋根の日本家屋が並ぶ上世屋集落で暮らすふたつの家族。自給自足の暮らしを営む小山愛生さん、有美恵さん夫妻は、赴任をきっかけに上世屋を知り、集落の人々のたくましい生命力に惹かれ移住を決めた。子育てをしながら、世屋暮らしのあたり前から新しい生業づくりを目指す〈セヤノコ〉の活動を通して次世代へ上世屋の魅力を伝えている。和紙作家として活動する奥さまの歩さんと、醸造所で働く旦那さまの聡さんの山田さん夫妻。地域の居心地のよさと集落に暮らすおばあさんに憧れ移住を決めた。2家族とも、昔ながらの村のルールを尊重しつつ、自分たちなりに工夫しながら豊かな毎日を過ごしている。
まちを楽しむための場所づくりを行う〈KOKIN〉を主宰する大滝さんは、東京からUターンで舞鶴市に戻ってきた。一度、地元の舞鶴を離れ、あらためて戻ってくると「レトロなまち並みが残り、おもしろいまちだと思った」と大滝さんは言う。KOKINは職場と家以外のサードプレイスをつくる活動をしているチーム。壁塗りなどの場づくりの工程でワークショップを開催し、まちの人を巻き込みながらカフェやゲストハウスをつくっている。
中学卒業後、漁師になるためひとりで伊根町へ移住してきた15歳。家族のように温かく見守ってくれる仕事の先輩やまちの人々に支えられ、初めてのひとり暮らしも仕事も少しずつ慣れてきた。きれいな日本海を一望できる一軒家でのんびり暮らしながら、仕事と趣味を両立させた自分らしい暮らしのリズムを築いている。「不安も多かったけど、伊根の人はみんな優しくて、困ったときに僕を助けてくれます」。いっぱしの漁師に1日でも早くなれるように、日々奮闘中だ。
綾部市でゲストハウス〈クチュール〉を運営する工忠さん夫妻。移住の始まりは自身の世界一周旅行から。「世界各地を旅して、壮大な自然が残り人同士のつながりが強い田舎町の魅力に惹かれました。地域特有の自然が残り、そのまちの人々と交流できる場所でゲストハウスを始めてみたかったんです」。〈クチュール〉は宿泊客にまちの見どころを紹介するツアーに近いサービスも提供している。2016年には旅行会社を立ち上げた。今後は地域に人を呼び込むため、活動の幅をより広げていく。
Uターンで家業の織物屋〈柴田織物〉を継いだ柴田さん。柴田織物はすべて分業の丹後ちりめんの工程のうち、色糸で柄を織りあげる縫取ちりめんという織りを手がけている。柴田さんは体調を崩した先代を手伝うため、27歳のときに電機メーカーの仕事を辞めて与謝野町に戻ってきた。先代が他界した後、売上が半減するなど苦難も多かったが、どこにもない新しいデザインを考案し、なんとか乗り越えた。それを転機に新しい生産スタイルを確立。丹後ちりめんの魅力や技術を次の代まで伝えていくため、今も前進を続けている。
人同士のつながりの強さに魅力を感じ、思い切って京丹後市への移住を決めた小林さん。現在は、移住者、移住検討者のサポートをする移住支援員として働いている。彼女の周りには「なにかおもしろいことをしたい!」と主体的に行動できる人たちが集まり、年齢、職種を問わない幅広い人々でコミュニティがつくられていた。「暮らしやすいまちとは、人同士がしっかりつながっているかどうか。それが大切です」と言う小林さんは、今あるコミュニティの輪を少しずつ広げている。
結婚をきっかけに福知山市で暮らすようになった美術家・イラストレーターのイシワタさんは、アート活動と子育てを両立している。近所の人たちのやさしさに触れ、人間くささを知り、つながり合う美学を福知山市で発見した。現在は、地域の暮らしに密着したクリエイティブ活動として、近所の情報を載せた『このあたりのしんぶん』の発行や公民館でのワークショップを開催している。環境の変化に戸惑いながらも、子育てとアート活動を通して、自分らしいスタイルを確立した。
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7人の移住スタイルを掲載したドキュメント冊子。
彼らの移住の経緯や現在の生活スタイルに迫ることで見えてきた、
京都北部地域ならではの“ひとつ先”のライフスタイルを紹介している。
また、7市町の魅力的な景色や食べ物、ユニークな人なども取り上げている。
人々の暮らしのスタイルや7市町の美しい風景を紹介する映像。
この地域の魅力は一体どこにあるのか?
地域ごとに異なる景色の彩りを印象的に描いた映像を眺めていれば、その理由が見えてくる。
まちの景色を眺めながら、音に耳を澄まし、この地域のリズムを体感してみよう!
地方にはどんな仕事があって、実際みんなはどんな風に暮らしているのか?
そんな疑問を、経験を通じて解消できる体験型のプログラムもあります。
未知の場所へ何も知らないまま飛び込むより、
一度体験してからじっくり考えたいという人におすすめ。
“暮らす”ことを前提とした田舎留学のツアー。
大人の田舎留学はこちらから。
京都府の北部地域は、自然に寄り添いながら、自分たちらしい暮らしを考え、
つくることができる場所。この地で、都心にあるような便利という価値に勝る
新しい生きがいや、やりがいを探して営みを続ける人々。
それぞれが自分らしいリズムで生き、多種多様な移住スタイルが存在するエリア。
ここは京都の奥というより、ひとつ先の京都といったほうがしっくりくるのかもしれない。
「たんたんターン」プロジェクトは今後も、
京都府北部地域の魅力づくりや発信を行っていく予定だ。興味のある方は、ウェブサイトへ。
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