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まつどやさしい暮らしラボ

Local Action
vol.048

posted:2015.3.4   from:千葉県松戸市  genre:暮らしと移住 / 活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。

editor’s profile

Yu Ebihara

海老原 悠

えびはら・ゆう●コロカル編集部エディター。生まれも育ちも埼玉県。今回、2年ぶりの松戸市訪問でした。気になる松戸のスポットは「戸定邸」。

松戸市民とコロカルがコラボレーション!

小雨降り、特に冷え込む日となった2月7日。松戸市役所にて男女10名の市民が集まった。
彼らは「まつどやさしい暮らしラボ」の市民ライター。
松戸が誇れるひと・モノ・こと、おいしい場所、イベントなど、
あらゆる情報を取材し、発信している“特命記者”だ。
ラボという名の通り、松戸を研究し、「やさしい暮らし」について考えるという
ユニークな試み。2014年の秋から本格始動し、
松戸にまつわるモノ・ひと・ことを取材や撮影、記事にして、
「まつどやさしい暮らしラボ」のサイト内で発信している。

20代〜70代と年代も違えば、バックグラウンドも経験もそれぞれ違うけれど、
自分の住んでいるまちを心から愛する、やさしいメンバーだ。

きっかけは「まつどやさしい暮らしラボ」から、
コロカルに一件の依頼があったことにある。
『ウェブライティングとカメラ撮影のコツを教えてください!』
編集部一同びっくりしつつも、なんともありがたい依頼!
いいですね! ぜひやりましょう! とふたつ返事で決まった今回の企画。
「コロカルニュース」を中心に、数多くの
(なんとコロカルだけで1000本近くの!)記事を手がけている
ライター・斎藤あきこと、
連載「美味しいアルバム」など、
料理写真や地域住民の笑顔と魅力あふれる人物写真に定評がある、
カメラマンの津留崎徹花が講師役を拝命。
かくして、「コロカル編集部による、ウェブライティング&カメラ講座」のはじまりはじまり。

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光を活かせ! 今日から使えるカメラ撮影のコツ

カメラマン津留崎は、座学と実践をうまく交えた講座に。
参加者には、自分の持っているカメラを持参してもらった。
スマートフォン、コンパクトデジタル、ミラーレス一眼、
デジタル一眼など機種はさまざま。ゆえに、カメラの悩みもそれぞれ異なる。
ミラーレス一眼やデジタル一眼を使っている受講者から聞かれた
「夜の撮影のブレが気になる」という意見。
また、全体を通して聞かれた「料理がおいしそうに見えない」、
「取材しながらカメラを撮るのが難しい」など、
普段の生活での気軽な撮影とは違った“取材”ならではの悩みが出てきた。

そんな悩みを聞いた津留崎の第一声。
「まずはしっかり脇を締めて撮影しましょう。
三脚でなくても、撮影する高さで固定するものがあればそれを使うのもいいですね」
と基本姿勢から説く。そこから、被写体の角度の話へ。
自ら撮影した食べ物を例にとる。
「寄った状態に引いた状態……ちょっと傾けて撮ってみたらどうでしょうか?
さらに、真上から撮ってみたら? どの角度がいいか360°撮ってみて、
自分の納得する角度を見つけましょう」
撮影する角度によって印象がまるで違う!
とスライドで見せていく津留崎のお手本の写真に、感嘆の声をあげる受講者たち。

「次は光の角度です。順光か逆光か、はたまた横から光を当てるサイド光か。
こんなにも印象が違います。おすすめはやや逆光ですかね」
津留崎はさらに続ける。
「小道具を入れるのもいいですね。料理のお皿にはカトラリーを入れてみたり、
皿の下に布を敷いたり。この布を敷くというワザは私もよく使うのですが、
飲食店の取材のときにはハンカチ大の布を持っておくと便利ですよ」
とプロの技術を惜しみなく伝えていく。受講者は熱心に話を聞きながらも、
早く実践に移りたいようでうずうずしている様子。

その後、人物撮影(特に写真撮られ慣れていない一般の人々に撮るとき)のポイントや、
光の位置によって見え方の違いや撮影者の主張があることを伝授し、いよいよ実践へ。

津留崎がセットした簡易スタジオで、受講者が1名ずつレクチャーを受けていく。
撮影セットには赤いふちのお皿に載ったハンバーグ。
「脇をしめて!」「ピント合わせて!」と津留崎はひとりひとりにコツを教える。
使う機材も経験も異なる受講者たちだが、特訓の成果はすぐに出たようだ。

(上)小川照美さん撮影、(下)清水三恵子さん撮影

実践その2は人物写真。
津留崎をモデルにみんなで撮影大会。ここでのポイントは「被写体とのコミュニケーション」。
声をかけ、リラックスさせてシャッターを押す。光の具合や、角度など、自由に撮ってみた。
津留崎の明るい性格もあいまって、撮影大会は大盛り上がり。
「先生〜! こっちのカメラみてください!」「いい笑顔ですよ!」と持ち上げられ、
津留崎もまんざらでもなさそうな……

そんな受講者が撮った津留崎の写真はこちら。

(左)水村和香さん撮影、(右)倉地 大さん撮影

こんなにも写真を撮るということに向き合った日はなかったのではないだろうか。
津留崎は「とにかくいろいろな方法を試して、たくさん枚数を撮ってください。
うまく撮れなくてもあきらめないでシャッターを切ることが大切です。
みなさんの記事と写真を楽しみにしています!」と結んだ。

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文章を書くって「生まれ持った才能」?

「文章を書くって“生まれ持った才能”ではないと私は思うんです。
書けば書くほど上達しますよ」というライター斎藤の言葉に、
少し和んだ空気が流れた。
さきほどのカメラ講座とは場所が変わり、
受講者のみなさんはパソコンの前に移動。メンバーに話を聞くと、
SNSやブログで松戸について発信した経験はあっても、
取材や記事制作はほぼ初めてとのこと。
すでに取材を終えた受講者からは「先日の取材で話が盛り上がりすぎて
話をあれこれとたくさん聞きすぎてしまって(笑)
実は今はそのまとめ方に悩んでいます」という意見も。
その他、テンポよく読める文章や、注目をあびる記事のつくり方など、
受講者からは記事の作成方法に関する多くの質問が寄せられた。

ここからは斎藤の講義。
一般のニュース記事とコロカルのような記事の違いについてや、
ウェブで読みやすい文章の組み立て方などの説明をし、
実際に斎藤が「松戸の桜まつり」をテーマに記事を1本書きおろしてきた。
松戸市民にとっては恒例行事。
もちろん受講者である市民ライターのみなさんもよく知るまつりを今回はテーマに選んだ。
斎藤は自身が書いた記事を細かく分析していく。
タイトル/見出し/本文/インフォメーション(URL)という
大まかな構成の話から、基礎情報から入る文章の書き方や、
改行や段落をうまく利用すること、文章の長さ、最後のまとめ方などを解説した。
そして、ウェブで読ませる記事ってそもそもなんだ? という斎藤ならではの考えを、
体験を交えて述べていく。メディアの特色を捉えた文体を考えるならば、
「まつどやさしい暮らしラボ」はどんな文章になるのか。
受講者ひとりひとりの中にある
「まつどやさしい暮らしラボ」にふさわしい文章のかたちが描けたところで、
実践に移っていく。

ここでひとりひとりにお菓子が配られる。
松戸駅西口に店を構える老舗和菓子店「峰月」
「松戸白宇宙かぼちゃどらやき」と「松戸白宇宙かぼちゃパイ」だ。
斎藤はこの講座の前に「峰月」へ行き、取材を行ってきた。
そこで得た写真と情報を元に、みなで記事を作成していくのだ。
受講者の多くはこのかぼちゃどらやきとかぼちゃパイのことをよく知っており、
斎藤の情報にどんどん上書きがされていく。
これには斎藤も「みなさん、さすが市民ライターですね。
松戸のこと本当に詳しいですね……!」と舌を巻いたようだ。

松戸の新名物「松戸白宇宙かぼちゃどらやき」。甘過ぎないかぼちゃあんと、ホイップされたクリームが絶妙。

配られたどらやきを目で見て観察し、匂いを嗅いだり、割ったり、味わってみたりして、
生の情報を得ながら即興で文章を書いて行く。
悩んでいたり手が止まっている人に対しては、斎藤がフォローに入ったり、
受講者同士で相談し、50分後、個性豊かな文章ができあがった。

その後、みんなで発表会。
スライドに映し出された文章に対して斎藤がその場でコメントしていくのだが、
想像以上にいい文章が並ぶ。
特に、タイトルや見出しにぐっと惹かれるものが多く、
言葉のセンスの良さに一同多いに盛り上がったのだった。
書き終えての感想を受講者に聞くと、
「“おいしい”という言葉を使わずにいかにおいしさを伝えるかが大変だった」
と苦労があったのだと言うが、のびのびと記事の制作をしていたのが印象的だった。
ひとつのどらやきを語るとしても、
ひとりひとり見る角度や味の感想がこれほどまで違うのだということを実感してもらい、
改めて文章を書く面白さ、大変さ、達成感を噛み締めてもらったところで、
5時間にもわたるコロカルの講座は無事幕を閉じた。

〜後日談〜
終了後、参加者が感想を寄せてくれたのでその一部を紹介する。

・「感性」も大事だけれども、「理論」も大事だと気づいた。
・「日記」と「記事」はまったくの別物だとわかった。
・ 初めて研修や講座で寝なかった!
・ すべてが即役に立つ、あっという間の5時間でした。

それを聞いて、講師のふたりもホッとひと安心!
こうしてコロカルのエッセンスを注入し、パワーアップした、
「まつどやさしい暮らしラボ」。その成果を、ぜひみなさんの目で確認してほしい。

まつどやさしい暮らしラボ

いま、みんなにとって「やさしい暮らし」って、なんなんだろう。
子育て、仕事、遊び、学び、食、住まい、交通、…
生活のことや街のこと、みんなで、あらためて考えてみたい。
そんな気持ちではじまった、ちょっと変わったラボです。
http://matsudo-yasashii-labo.jp/

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