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ニューズドプロジェクト Part2 :
アップサイクルの理念が生み出す、
新しいビジネスの価値。

貝印 × colocal
ものづくりビジネスの
未来モデルを訪ねて。
vol.030

posted:2013.12.10  from:千葉県木更津市  genre:ものづくり

sponsored by 貝印

〈 この連載・企画は… 〉  「貝印 × colocal ものづくりビジネスの未来モデルを訪ねて。」は、
伊勢谷友介さんがパーソナリティをつとめ、谷崎テトラさんが構成作家をつとめる「KAI presents EARTH RADIO」と連携して、
日本国内、あるいはときに海外の、ものづくりに関わる未来型ビジネスモデルを展開する現場を訪ねていきます。

editor profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

photographer

Miho Noro

野呂美帆

仕事を生み出す廃材プロダクトの好サイクル。

廃材に付加価値をつけて新しい商品として蘇らせているニューズドプロジェクト。
その生産やパッケージングなどの多くを、
千葉県木更津市にあるNPO法人、地域作業所hanaに発注している。
hanaは障がい者が通いながらさまざまなことに従事する作業所で、
農作業や天然素材によるオリジナル石けんづくり、
フェアトレードショップの接客、製菓作業、メール便の配達などを行っている。
ひとを仕事に当てはめるのではなく、
利用者の職能に合わせた仕事づくりを目指しているので、
必然的に仕事の項目が多くなっている。

このhanaでは英字新聞によるエコバッグ=Newspaper bagを製作していた。
これをニューズドプロジェクトがアースデイで販売してみたところ、
3日間で1000枚が完売。
さらに東京デザイナーズウィーク2010で
オフィシャルバッグに、と提案したところ採用され、1万枚を製作した。

「Newspaper letter set」

Newspaper bagと同様につくられるNewspaper letter set。

これらのやりとりを通して、hanaとの関係性を深め、
仕事をどんどん発注することになった。

「hanaで作業してもらうには、という考えは常にあります」という
ニューズドプロジェクトの青山雄二さん。

「利用者の仕事が生まれるように配慮して
お仕事を発注してくれるのがうれしいです」と答えてくれたのは
hanaの指導員である初芝小百合さん。

青山雄二さんと初芝小百合さん

ニューズドプロジェクトの青山雄二さん(左)と地域作業所hanaの指導員である初芝小百合さん(右)。

アクリルのピアスを留める台紙は、すべてhanaの利用者による手作業だ。
英字新聞を1枚1枚切って、ラミネートに包み、
ピアスを設置するための穴をキリで開け、シールを貼る。
工場に発注してしまえば、きっと簡単に何百枚もできてしまうことだろう。
しかし、hanaでは手作業だ。hanaでの仕事が増えるならと、
積極的にこのような作業をニューズドプロジェクトは生み出し、発注する。

作業所には、バンダナを丁寧にたたんでいるひとがいる、
ボールペンに金具を取り付けているひとがいる、
ネイルチップにジェルコーティングしているひともいる。
作業内容は多岐にわたるようだ。

新聞バッグのマチを製作中

新聞バッグのマチを製作中。写真が上部にくるように工夫して新聞をカットしている。

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夏には、ニューズドプロジェクトのOEMとして、
セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」のバッグを製作した。
プリントの品質が製品基準を満たさなかったパタゴニアのトートバッグに、
新たにシルクプリントを施したリメイクバッグ。
このシルクプリントをhanaが担当した。
シルクプリントはhanaにとっても初めての作業だっが、
“できる仕事”がまたひとつ加わることになった。
夏の発売以来、好評で、3000枚の追加発注が入ったとか。

バンダナをきれいにたたんで、パッケージング

ユーズドのバンダナを洗い、アイロンをかけ、きれいにたたんで、パッケージング。すべてhanaで行っている。

印刷された羽根と金具とボールペンの芯

印刷された羽根と金具とボールペンの芯が送られてきて、すべてをアセンブリーしている。この後は、真空パックも。

近くにhanaとニューズドプロジェクトと共同で倉庫を借りており、
たくさんの廃材が保管されている。
月に何回かはスタッフが木更津を訪れているし、電話連絡は毎日のことだ。
密接にやりとりして、信頼度を高めている。
「製作上の工夫を現場から提案してくれます」と、
青山さんとしても勉強になっているようだ。
「誰かのために仕事をつくっていくというスタンスが、
一緒に仕事していてすごく気持ちいいんです」

「PETCHIN MAGNET」になる廃材

「PETCHIN MAGNET」になる廃材。箸の製造工程で切り落としてしまう端材がペッチンと呼ばれる。

大量のシートベルト

倉庫に大量のシートベルトを発見。これからどんな商品が生まれるのだろうか。

大量のミリタリーウェア

同様に大量のミリタリーウェアが。迷彩がきっと平和な商品になって生まれ変わるだろう。

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デザインを高めて、売れる商品をつくることに意味がある。

ニューズドのプロダクトの大きな特徴としては、
デザイン性が高いということがあげられる。
デザインディレクターにminnaを迎え、
廃材からイメージされるネガティブさがまったく感じられない
ポップな商品に生まれ変わっている。

「売れないと意味がない」と青山さんは言葉を強める。
「“廃材を使っているからいいでしょ”ではありません。
そうであろうとなかろうと、“欲しい”と思える商品になっていないといけません」

だからこそ、デザインディレクターを据えてまでも、
高いデザイン性やファッション性が必要となる。
売れない商品をつくっていては、
ゴミからゴミをつくっていることになってしまい、本末転倒。
またせっかくいい商品を開発できたとしても、生産ベースに乗せるのも難しい。
廃材という性質上、材料が出てくるのが安定的ではないからだ。

「やっていくからには、売り先を伸ばしたいし、
売れるほどhanaなども潤います。みんなが喜ぶ仕組みにはなっていると思います」
という青山さん。
売れていくあり方は、廃材を減らし、
ビジネスにもなる好循環を生み出していく。

3年前に1店舗の取り扱いからスタートしたが、
現在では130店舗まで伸びている。商品点数も25点ほどまで増えた。
周囲の状況も、確実に変わってきている。
「以前は誰かと組んでこんなことをやるなんて思ってなかったですし、
廃材でつくったプロダクトを一斉に集めるイベントをやるなんて
思わなかったです。動きやすくなっていることは確かです」

最近では、廃材を使ってクリエイターと一緒にプロダクトを製作できる
ワークショップもよく開催するようになったという。
企業のCSR事業として、
コンシューマと直接コミュニケーションできるツールと成りうるのだ。

「僕たちの考え方やプロダクトを好きなひとがいてくれるんだなと、
直接感じられるのでうれしいです」とイベントの意義を語る。

廃材に新しい価値を見出すアップサイクルという概念は、
新しいビジネス価値も生み出しているのだ。

information

map

NPO法人 地域作業所 hana

住所:千葉県木更津市文京6-4-4

Web:http://www.npo-cw.net/

information

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NPO法人 NEWSED PEOJECT

住所:東京都千代田区猿楽町2-1-14 A&Xビル4F

Web:http://newsed.jp/

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