STUDY 自然エネルギー100%シナリオ
長期的なエネルギーのビジョン
大量のエネルギーを消費する現在の社会や経済では、
そのエネルギーのほとんどを
将来は持続不可能な化石燃料(石炭、石油、天然ガス等)に依存しています。
特に日本はその化石燃料のほぼ全てを海外に依存しており、
エネルギー自給率は5%程度に過ぎません。
この化石燃料の削減とエネルギー自給率向上を主な目的に導入されてきた原子力発電も、
安全性や核廃棄物などの問題から大きな見直しを迫られています。
日本では、今まさにエネルギー政策全体の大幅な見直しが求められているのです。
エネルギー消費を抑制し、持続不可能な化石燃料と原子力をできるだけ減らし、
持続可能な自然エネルギーを増やすエネルギー政策が、
世界的にも求められるようになっています。
この持続可能なエネルギー政策を実現する重要な方法として、
エネルギーの消費量を抜本的に減らす省エネルギーと共に
本格的な自然エネルギーの利用があります。
この本格的な自然エネルギーの利用を考える際に重要になるのが、
将来のあるべき姿を考える長期的なエネルギーのビジョンです。
そこで、2050年頃までの長期的なエネルギーのビジョンとして、
さまざまな「自然エネルギー100%シナリオ」が提案されています。
例えば、2011年2月には国際環境NGOであるWWFより
自然エネルギー100%の世界シナリオ
「エネルギー・レポート~2050年までに自然エネルギー100%:
The Energy Report – 100% Renewable Energy by 2050」[1]が発表されました。
この世界シナリオでは、
2050年までに世界のエネルギー需要をすべて自然エネルギーで供給することが
経済的にも技術的にも可能であるという研究の成果が示されています。
日本が自然エネルギー100%へ転換するには、
まず、2020年や2030年など、その中期的な自然エネルギーの導入目標を定める必要があります。
日本では電力について現在およそ10%の自然エネルギー比率(大規模水力発電を含む)ですが、
これからの10年程度で30%以上に高めるという政策的な目標であれば、
実質的に自然エネルギーの導入で先行する欧州各国に匹敵する政策目標となります。
欧州各国では2020年までの自然エネルギー導入目標を定めています。
日本は今後、従来の中央集中型のエネルギーシステムを見直し、
省エネルギーや自然エネルギーを中心とする分散型のエネルギーシステムに転換し、
震災復興の柱とするだけでなく、
電力安定供給・エネルギー自給率・温暖化対策を柱とする
大胆かつ戦略的なエネルギーシフトをめざす必要があります。
環境エネルギー政策研究所(ISEP)が大震災後に発表した
「3.11後のエネルギー戦略ペーパー」では、
中長期的に自然エネルギーを2020年頃には電力の30%以上とし、
さらに2050年頃までには自然エネルギー100%をめざすことを、提言しています。
電力だけではなく、エネルギーシステム全体を分散型に転換し、
熱利用や輸送燃料を含めたエネルギーの効率的な利用を進めることも重要です。
導入する自然エネルギーの種類としては、
日本国内での豊富な導入ポテンシャルなどを考慮して、
電力ではこれまでご紹介してきた太陽光発電、風力発電、地熱発電、小水力発電、
バイオマス発電などそれぞれの地域の特性に合わせて導入することを想定しています。

中長期的なエネルギーシフト(電力)のイメージ(ISEP,2011)