連載
posted:2024.2.26 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島のなかでもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
「小豆島の廃校になった小学校を改装して農村ホテル〈NOTEL〉をつくります!」
と、この小豆島日記で宣言したのが2023年7月。
あれから半年が過ぎました。
たくさんの方から反響をいただき、廃校になった学校建築など
使われなくなった公共建築物をこれからどうしていくのか、
多くの人たちが注目していることなんだなとあらためて感じています。
さて、気になるのは「NOTELはいつオープンするの?」ということかと。
2024年2月現在、どんな感じでNOTELオープンにむけて
工事を進めているのかをお伝えしようと思います。
まず、これまでの動きを整理しておくと、
【2019年10月】
以前から気になっていた廃校になった旧大鐸(おおぬで)小学校の
建物利用について土庄町役場に連絡して、建物内部を初めて見学。
使わせてもらえるのか相談したものの、ほかの用途で利用予定があるため
借りることはできず。
このあと世の中はコロナ禍となり、何も変わらないまま約3年経過……。
【2022年7月】
再び役場に問い合わせ、こんなかたちで使いたい! とプレゼンしに行く。
何度か話し合い、建物を借りられることに。
週に1回のペースで集まり、打ち合わせを重ね、事業計画の作成、
会社の立ち上げ準備、建物の改修設計、補助金申請などを進める。
【2023年3月】
NOTELを運用していくための会社「肥土山ランドスケープ合同会社」を、
肥土山(ひとやま)地区で暮らすメンバー5人で設立。
【2023年4月】
土庄町と建物の賃貸契約をかわす。これで正式に建物を使えるように!
事業計画、資金計画を何度も練り直して、実現できるプランに落とし込んでいく作業を
粛々と進めながら、少しずつ掃除や撤去作業を進める。
【2024年1月】
小さくおためしオープン! 第一回『NOTEL軒下市』を開催してみる。
という流れでここまできています。
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具体的に動き出したのが2022年7月頃、そこからの1年半、
ひとつずつひとつずつ進めてきて、ようやく本格的な工事を始めるところまできました。
法人を立ち上げるのも初めて、銀行からお金を借りるのも初めて、
何千万円という規模の初期投資をするのも初めて。
ほとんどのことが初めてで、わからないことばかりで、
そのたびにいろんな人に相談しながら進めてきましたが、やっぱり時間ってかかりますね。
すんなりとはいかないものです(汗)。
でも、やったことがない私たちだからこそ、その都度考えて相談して、
自分たちがいいと思う方法で実行していく。
思うように進まずにひりひりと焦るときもありますが、
積み重ねて確実に進んでいる感じがします。
それが楽しくもある。新しいことを知れる喜びと挑戦するワクワクと。
2024年1月からは、建物1階の軒下エリアで『NOTEL軒下市』を実験的に開いています。
コンセプトは「小さくおためしオープン!」
まだホテルのオープンは先ですが、この場所に人が来てもらうとどんなことが起こるか、
小さく試しながらつくりあげていこうと、工事をしていない建物外の
軒下スペースで開催しました。
1回目の軒下市は、野菜や卵などを販売しました。
想像していたよりもたくさんの友人や知人が来てくれてとてもうれしかったです。
ここに人が集うということが、一気にリアルになりました。
それと同時に、車で来る場合の案内表示の必要性、駐車場の問題などがよくわかりました。
1回目を振り返り、入口の案内看板などを設置し、2回目は野菜や卵販売の軒下市に加えて、
NOTELオープンにむけて作業を一緒にしてみませんか? の日として
開いてみることにしました。
ここでともに時間を過ごすことを楽しめたらいいなという思いから。
島の友人や知人、島外から来てくださったご家族もいて、
たった3時間でしたが、コンクリートブロックの撤去、布張り椅子の掃除、
厨房器具の掃除などどんどん進んでいきました。
たくさんの人が集まったときのパワーってすごい!
NOTELの本格的な建物内装工事はこれから進んでいきます。
オープン目標は2024年6月。
場をつくりこんでいくと同時に、ともに働いてくれる人の調整やwebサイトの構築、
仕組みづくりなど、まだまだやることてんこ盛りです。
これまでと同じようにひとつずつつくりあげていきます。
小さく試して、調整しながら。
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