連載
posted:2022.12.5 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
やってきました! 12月。
クリスマスに大晦日。
あー、今年も年末がみえてきましたね。
私たちにとって、11月から年末にかけては毎年大忙しのシーズン。
収穫や加工などの農作業もいつもより大変なうえに、イベント出店なども重なる時期。
お正月休みを夢見ながら、年末まで一気に駆け抜ける感じです。
まさに今、現在進行系で駆け抜け中(笑)!
今年は初挑戦のジンジャーIPAビールづくりにも取り組み、
そのお披露目イベントでもあり、生姜の収穫を喜び味わうお祭り
〈GINGER FES〉の準備も進めています(小豆島日記vol.306)。
そして私たちにとってこの時期の大切な仕事が、ジンジャーシロップづくりです。
〈HOMEMAKERS(ホームメイカーズ)〉のジンジャーシロップは
生姜を育てるところから始まります。
今年も春から生姜を育ててきました。
4月頃、普通に食べることもできる生姜を土の中に埋めます。
そうすると、生姜は自分が蓄えている栄養を糧に、まず地上に芽を出します。
茎を伸ばし、葉を広げ、太陽のエネルギーを得て成長に必要な栄養をつくりだし、
地中では最初に埋めた親となる生姜を核にして少しずつ大きくなっていきます。
私たちは、生姜が健やかに成長していくように、虫を取り除いたり、
強すぎる雑草を抜いたり、土を寄せてあげたりと
春、夏、秋にかけて約半年間、手入れし続けます。
収穫するのは10月頃。150グラムほどの親生姜はうまくいくと
10倍以上の2キログラムくらいまで大きくなることもあります。
私たちが生姜の栽培を始めたのは、小豆島に引っ越してきた翌年の2013年。
体の冷えが気になっていて、体を温める食材といえば生姜だ!
自分たちで育ててみたい!
と思ったものの、生姜栽培に関しての知識はゼロ。
でもとにかく育ててみようといろいろ調べて、種生姜を購入して土の中に埋めてみました。
おー、芽が出た! 茎が伸びてきた! と、何もかもが新鮮。
その頃は夫婦ふたりだけで農作業をしていて、まだ小さかった娘も一緒に草を抜いたり、
水やりをしたりしていました。ほんとに懐かしいなぁ。
初めての栽培でしたが、秋に無事に収穫することができました。
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今年で10年目の小豆島での生姜栽培。全体的に小ぶりでした。
降水量が少なかった以外にも、原因はいろいろあったと思います。
虫にやられてしまったり、思うように大きく育たなかったり。
うまくいかない年もあれば、豊作の年もあり、
まだまだ安定にはほど遠いですが、試しながら続けていこうと思っています。
11月下旬にすべての生姜の収穫を終え、ひとまずはほっとしています。
そして、この収穫したばかりの生姜で今年もジンジャーシロップをつくりました。
収穫したての生姜はみずみずしくてとってもいい香りなんです。
洗ってカットしていると部屋中に青りんごみたいな香りが広がります。
このフレッシュな生姜をそのまま詰め込みたくて、
収穫して数日中に洗って加工してシロップづくりを始めます。
この時期だからつくれる掘りあげたばかりの新生姜のジンジャーシロップ。
4年前からは、そのシーズンの最初の生姜でつくったシロップは
ラベルもスペシャルなものにして、今年も無事に生姜を収穫して
シロップをつくれたことをお祝いするようにしています。
季節はちょうど年末。
クリスマスも近いですし、ホリデイ気分が盛り上がるイラストに。
数年前の年末にアメリカに行ったとき、会う人会う人が
「Happy holiday!」
と挨拶していたのをよく覚えています。
知っている人同士だけじゃなくて、スーパーの店員さんと買い物客だったり、
バスの運転手さんと乗客だったり。みんなうれしそうですごく素敵だなぁと。
毎年年末につくるこのシロップにも私たちのそんな気持ちを込めています。
「ハッピーホリデイ! 今年もおつかれさまでした。
ホットジンジャーをいれて、温かで穏やかな冬のひとときをお過ごしください」と。
今年も残すところ1か月。
本格的な寒さがやってきます。
温かい飲みものを入れて、ほっとひと息する時間を大切にしつつ、
よき年末をお迎えくださいね。
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