連載
posted:2020.5.25 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
私たち〈HOMEMAKERS〉は、毎週金曜日と土曜日の週2日、
自宅の一部をカフェとして開いています。
畑で収穫した野菜でつくるサラダ&カレーライス、季節の果物・野菜が主役のデザート。
私たちの大好きなコーヒーはもちろん、自家製シロップを使ったジンジャーエールや
柑橘ソーダなどのドリンクをご用意してます。
居心地のいい空間で、おいしいコーヒーが飲めて、
おいしいごはんが食べられて、いい時間を共に過ごせる。
そんな場所をつくりたいという思いで、2014年2月22日にオープン。
全16席の小さなカフェです。
毎年12月中旬から2月中旬までの2か月は冬季休業期間としてお休みしていますが、
それ以外は何か特別な理由がない限り、週2日営業し続けてきました。
気づけば6年以上、そうやって毎週金、土曜日はカフェを開いてきました。
それが私たちにとっての当たり前の日々でした。
その当たり前の日々が変わってしまったのが4月上旬。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4月3日からカフェは臨時休業していて、
すでに約2か月経ちました。
カフェは休んでいますが、畑作業はいつもどおり忙しく、むしろいつもより忙しい。
というのもありがたいことに個人のお客様からの野菜や加工品のご注文が多く、
栽培する野菜の量を増やし、収穫・出荷作業も増えている状況です。
Page 2
そんななか、全国に発令されていた緊急事態宣言が解除され、
いろいろな活動が少しずつ再開しています。
小豆島でも観光施設や飲食店など少しずつ営業再開されていくようです。
ずっと休校だった小中学校も、来週より短縮授業ですが登校再開です。
さて、私たちはどうしようか。
結論から書くと、HOMEMAKERSカフェの営業はもうしばらく、
少なくとも6月いっぱいは臨時休業というかたちでお休みすることにしました。
いろいろと話し合い、考えた結果です。
ひとつめの理由としては、いまは野菜の栽培、出荷に注力したいということ。
先にも書きましたが、4月中旬頃よりオンラインストアでの
野菜や加工品のご注文が増えています。
小売店や飲食店向けの業務用の売上が9割減のいまのうちにとって、
それは本当にありがたいことです。
今後また少しずつ状況は変わっていくと思いますが、
いまは私たちの野菜を必要としてくださる個人のお客様に応えられるように、
とにかくたくさん野菜を育ててお届けしたいという思いが強いです。
ふたつめの理由は、HOMEMAKERSカフェは
不特定多数の人に向けた飲食店というより、
お客さん同士が話したり出会いを楽しむ場だから。
うちには、近所のお母さんたち、島の友人たち、
島の外から来てくれる人たちなどいろいろな方が来てくれますが、
みなさん初対面でも話をしたり、ここでの出会いがきっかけで
新たなつながりが生まれたりします。
私たち自身もそれを楽しみにしていますし、
それがうちのカフェのいいところだと思っています。
もともと少ない席数をさらに減らして、
パーテーションを設置し、人と人との距離を保ち、
出会いやコミュニケーションを遠ざけるようにしないといけない、
それはまさにうちがしたいと思っていることの逆。
それならいままでの形態にこだわらず、もう少し違うかたちで再開できないか。
いまはまだそのかたちを模索中です。
そして最後に、いまはカフェを再開しても経営的に厳しいというのも正直あります。
うちのカフェには島の中の人、外の人が半々くらいで来てくれます。
島の外の人たちが遊びに来てくれるようになるには
もうしばらく時間がかかるのかなと考えています。
いつも来てくださる近所の方や島の友人、知り合いのために
場所を開けるというのも考えたのですが、自分たちが力を注げる範囲は限られていて、
いまはカフェを営業できないという判断です。
国や自治体から大きなガイドラインはでているけれど、
最終的には自分たちの判断でどうするかを決めるしかない状況。
私たちはここで書いたような理由でもうしばらくカフェを休業することにしたけれど、
もちろんカフェという場を近いうちに再開したいと思っているし、
経営的なことも含めて考え続けなきゃと思っています。
いつになったらまた小豆島にたくさんの人が遊びに来てくれるようになるのか。
いままでと同じようにカフェを開ける日がやってくるのか。
もしかしたら、もう同じようにはできないのか。
いまは想像するしかなくて、とにかく状況をみながら
どうするか判断していく日々が続きそうです。
information
HOMEMAKERS
Feature 特集記事&おすすめ記事