連載
posted:2020.2.24 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
今年もあっという間に2か月が過ぎようとしてる。
もうすぐひな祭り。はっ、娘のひな人形を飾らないと……(汗)。
季節はどんどん変わっていきます。
あー、ほんとに日々が過ぎていくのは早い。
最近、あらためて大切に思っていることがあります。
それは「つくる」こと。
みそを仕込んだり、ジャムをつくったり、お菓子を焼いたり。
それから棚をつくったり、家族写真のアルバムをつくったり。
自分の手で何かをつくることをもっとしたいという思いがふつふつと湧いてます。
何かをつくるって時間と手間がかかるので、「よいしょ」がいります。
いまは何でも安く買える時代。
近所のスーパーやドラッグストアーに行けば、
おいしそうで安いお菓子や加工品が何種類も並んでます。
家具や洋服も手頃な値段でたくさん売られてます。
自分でつくるよりも安く、それもつくるという手間をかけずに
手に入れることができてしまう。
なので、ついついできあがってるものを買ってしまうんですよね。
でもなんかそれって違う。
そもそもうちの屋号は〈HOMEMAKERS〉!
かつてアメリカで主婦のことを“HOMEMAKER”と呼んだ時代がありました。
家でいろいろつくるのが仕事という意味です。
食べ物、洋服、家具、家など身の回りのモノをいろいろつくる。
そんな暮らしに必要なものを自分たちの手でつくる生活が送れたら、
きっと人生は豊かになるだろう。
そんな気持ちを胸に2013年6月、
夫婦でHOMEMAKERS(ホームメイカーズ)を立ち上げました。
もちろんいまもその気持ちは変わってないし、食べ物や身の回りのものなど、
できるだけ自分たちの手でつくっています。
ただ、最近はやらないといけない仕事(経理だったり、発注管理だったり)が増えて、
つくることを楽しむ機会が減ってしまった気がします。
時間に追われず、ただ目の前の「つくる」ことを楽しみたい。
それがいま感じていることです。
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たとえば久々にマフィンでも焼こうかなと思ったとき、
レシピを探して、材料を集めて、量を測って……と想像すると、
「あー、面倒くさいなぁ」と思ってしまうかもしれないですが、
そういうとき、誰かと一緒だとなんだかんだと進んでいきます。
この前は、家で暇そうにしていた娘を誘って一緒に抹茶マフィンを焼きました。
子どもは測ったり混ぜたりするのが案外好きで、
さっさと計量して混ぜてカップに入れて焼いて、あっという間にできました。
一緒につくる時間も楽しいし、そのあと食べるのもおいしくて幸せ。
そうそう、この冬は身近な仲間を誘って「生姜仕事」を一緒にしました。
紅生姜、生姜の甘酢漬け、生姜ジャム、蒸し生姜!
ひとりだったらこんなに一気につくれないですが、
みんなで分担して、朝から夕方までわいわいと作業。
切ったり、混ぜたり、並べて干したり。
やっぱりつくるって楽しいなぁ。
最近は、そのときつくった生姜ジャムがおいしくて、
久々に納屋から引っ張り出してきたホームベーカリーでパンを焼いて、
生姜ジャムをたっぷり塗って食べてます。
あ、ホームベーカリーはもう15年ほど前に結婚祝にいただいたもので、
久々に使ったらこんなにも簡単にパンが焼けるんだと驚いています。
家族や仲間、誰かを誘って一緒につくる。
教えてもらったり、一緒に調べたり、手分けして作業したり。
「つくる」が楽しくなります。
あ、もちろんひとりで黙々とする作業もいいんですけどね。
ひとりでがんばれないときには誰かと一緒に。
さて、次は何をつくろうかな。甘夏のマーマレードもいいな。
もうすぐよもぎの新芽もでてくるから、よもぎ餅もつくってみたい。
季節の手づくり仕事を楽しみたい。
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