連載
posted:2013.9.9 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/
9月に入り、少し落ち着いた小豆島。
ここしばらく、瀬戸内国際芸術祭や関連するイベントのことばかり書いていたので、
ここでちょっと私たちの暮らしのことを書こうかと。
小豆島に引越してきてから、10か月が経ちました。
気づけば、もうすぐ1年。
あっという間なんだけど、いろいろなことがありすぎて
引っ越してきたのがずっと昔のように感じます。
私たちは、こっちに来てからいわゆる“サラリーマン”をしてません。
自分たちで仕事をつくっていこう、
生きること自体を働くことにしよう、そんな思いで移住。
日々考えながら迷いながら、いまは自分たちが思い描いている生き方を
実現できるよう、ひとつずつ組み立てている感じです。
そのひとつであり、私たちの暮らしのベースでもあるのが「農業」。
引っ越してからすぐに見よう見まねで畑を耕し、
苗を植え、草をむしり、肥料をあげて、収穫。
とにかくやってみています。
6月からは少しずつ育てた野菜を販売。
旬の野菜を詰めあわせたセットの宅配販売。
マルシェに出店して販売。
島のお店に直接販売。
など、まだまだ本当に小さな売上ですが、いろいろな方法を試しています。
そういうふうにひとつずつ自分たちでやってみることで、
いろいろなことがリアルにわかってくる。
良いことも悪いことも。
野菜は本当に単価が安い、というのを改めて実感。
それこそ汗水たらして育てたきゅうり3本、200円。
それを1000セット売っても20万円。
経費を引けば、利益は本当に少ない。
価格的にも保存期間的にも生野菜の販売だけでは成り立たない、
ジャムやシロップなどに加工して販売したらどうだろ。
加工する場所、販売の許可が必要じゃないかな。
考えることもやることもてんこ盛り。
果たしてこの生き方は成り立つのか。
壮大な挑戦だなとよく思います(笑)。
ここで移住のリアルな話をひとつ。
私たちの暮らしはもちろんまだ赤字です。
移住するまでに貯めた貯蓄を切り崩して生活している状態。
亡くなった祖父の家で暮らしているので家賃ゼロ、それでも日々お金が出ていく。
貯えにも限りがあるわけで。
タイムリミットまでになんとか暮らしを成り立たせねば(笑)。
さて、秋冬野菜の苗作りと収穫に行かないと。
Feature 特集記事&おすすめ記事