焼酎工場の倉庫がコーヒー焙煎所へ。
日南市・飫肥城下町の〈塒珈琲〉と
〈PAAK DESIGN OFFICE〉

PAAK DESIGN vol.2

宮崎県日南市で建築デザイン、宿泊や物販など、幅広い手法で地域に関わる、
〈PAAK DESIGN〉鬼束準三さんの連載です。

今回は、日南市にあるスペシャルティコーヒー焙煎所〈塒(ねぐら)珈琲〉と、
同じ建物の2階にあるPAAK DESIGNの事務所がテーマです。
元焼酎工場の倉庫が店舗とオフィスへ。
PAAK DESIGNのビジョンについても紹介していきます。

父の開業への想い

このプロジェクトは、2015年にオープンした私の父の店の話です。
2012年、長年にわたって市役所で働いてきた父が
「早期退職して、コーヒーの焙煎所を始める」と言い始めました。
今後は毎月、東京にあるコーヒーのレジェンドの店に焙煎の勉強をしに行くからと。

〈塒珈琲〉を立ち上げた、私の父。

〈塒珈琲〉を立ち上げた、私の父。

2年間ほどそのお店に通い技術を身につけ、
その後はリノベーションして店舗をつくる話になっていきました。
物件は飫肥(おび)城下町にある、父の仲のいい後輩が所有していた元焼酎工場の倉庫。
父自身も若い頃に遊び慣れ親しんだ飫肥城下町に新しいお店を開くことで、
まちに対して恩返しをしたいとの思いがあり、
「それだったら協力したい」と物件を貸していただけることになったそうです。

別棟の元酒造の内観。現在は取り壊されて駐車場になっている。菌がついた柱や梁が印象的。

別棟の元酒造の内観。現在は取り壊されて駐車場になっている。菌がついた柱や梁が印象的。

1階のビフォー。元酒造の向かいに立っていた焼酎用の倉庫をコーヒー店にすることに。

1階のビフォー。元酒造の向かいに立っていた焼酎用の倉庫をコーヒー店にすることに。

当初から父は「厳選された豆で、風味特性を生かした焙煎のコーヒーを
まちの人に飲んでもらいたいし、コーヒーの本当の魅力を伝えていくお店にしたい」
と話していました。

いまでこそスペシャルティコーヒー店は地方のまちでも見かけるようになりましたが、
当時は宮崎県内にほとんどなく、私としては
「おもしろそうだけど、いままで行政の仕事しかしてこなかった父が
商売なんてできるのだろうか……」と少し不安に思っていました。

倉庫にあった焼酎の銘柄〈銀滴〉の看板。解体時に廃棄するのがもったいなく、いまでも大事に事務所に飾っている。

倉庫にあった焼酎の銘柄〈銀滴〉の看板。解体時に廃棄するのがもったいなく、いまでも大事に事務所に飾っている。

工事中。シャッターを開けると玄関もない、がらんどうの空間だったため、すべてを一からつくることに。

工事中。シャッターを開けると玄関もない、がらんどうの空間だったため、すべてを一からつくることに。

profile

鬼束準三 Junzo Onitsuka
おにつか・じゅんぞう●PAAK DESIGN株式会社代表取締役。1983年宮崎県日南市生まれ。大学進学とともに東京に移住し、大学院、設計事務所を経て、独立したのち、Uターンで故郷に帰る。商店街活性化のための取り組みをしていた〈油津応援団〉を経て、2017年、日南市の飫肥城下町にある建築デザイン事務所〈PAAK DESIGN〉を設立。地域資源を生かした循環型の仕組みをつくることを常日頃考えている。自転車いじりとコーラづくりが趣味。
https://paak-design.co.jp/

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