廃墟ビルをリノベーション。
家賃収入を生み、商店街の新しい拠点
〈マルイチビル〉へ

勝亦丸山建築計画 vol.2

静岡・東京の2拠点で、建築設計、自治体や大学との取り組み、
都内のシェアハウスの運営などの活動をする
〈勝亦丸山建築計画〉の勝亦優祐さんの連載です。

vol.1でお送りした静岡県富士市でのイベント「商店街占拠」に続き、
同じく富士市の中心市街地の吉原商店街にあるビルの改修プロジェクトをお送りします。

富士市の中心市街地の吉原商店街

まちの真ん中に取り残されたコンクリートの建物群

静岡県富士市の吉原商店街には、約700メートルにわたり一直線に
コンクリートの4階建てほどの建物が並んでいる。
火事が起きやすい中心市街地の不燃化のため、
約50年前に国が建て替え整備を後押しした時期に、一気に建て替えが行われた。
歩道上には、商店街組合によって設置、維持されているアーケードがあり、
雨の日には重宝する。

東海道の14番目の宿場町「吉原宿」として栄えたまちで、
木造の古い建物や蔵はコンクリートの建物の後ろに
曳家(建築物をそのままの状態で移動する建築工法)されたので、
通りからは見えなくなっている。
車で移動している地元の人は知らない人も多いだろう。

後ろに控えている木造の建物も気になるが、
私は経年変化したコンクリートという素材の風合いがなんとも好きだ。
もちろん耐震などの安全性や現代の建築基準法に合わせた
改修の必要性などの課題はある。

まちで一番ヤバいビルが立ち上がる

マルイチビル改修前

吉原商店街の立体駐車場で行ったイベント「商店街占拠」の1回目が終わった頃、
立体駐車場のオーナー佐野荘一さんと商店街のビルを見て回っていた。
商店街の表通りに面する築50年ほどの
4階建て(改修前は屋上の倉庫部分を含めると5階建て、
今回の工事で5階部分は減築し、4階建てになった)の廃墟ビル
〈マルイチビル〉は、商店街にある建物の中でも最もひどい状態だった。

中はカビだらけで、窓は割れ、サッシはサビ落ち、
落下の危険性もあるため針金でグルグル巻きの状態。
増築されたであろう屋上の倉庫には「助けて……」と言わんばかりに
傷んだダルマが顔を覗かせていた。

1階の元飲食店。

1階の元飲食店。

1階の元割烹旅館。

1階の元割烹旅館。

「マルイチビル、どう思う?」と佐野さん。
壊れた天井のスキマからは、型枠の木の模様が転写されているコンクリートが見える。
そんな素材としてのコンクリートに魅力を感じて、
「僕は好きです。コンクリートがかっこいいし、
一番ヤバいところから手をつけるのはいいっすね」と回答した。
「よし、やるか」と佐野さんの決意を皮切りに、このプロジェクトは立ち上がった。

writer profile

勝亦優祐 Yusuke Katsumata
かつまた・ゆうすけ●〈勝亦丸山建築計画〉代表取締役。1987年静岡県富士市生まれ。工学院大学大学院工学研究科(木下庸子研究室)修了。静岡県富士市と東京都北区の2拠点で、建築、インテリア、家具、プロダクトデザイン、都市リサーチ、地域資源を生かした事業開発等の活動を行っている。
http://katsumaru-arc.com/

Recommend 注目のコンテンツ

Special 関連サイト

What's New 最新記事