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ミツバチとヤギによる
「循環型農園」とは?
地域が幸せになる耕作放棄地再生計画|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.061

Page 2

「ミツバチの楽園」の前に立ちはだかる問題

いもので、伊豆下田に移住して知り合った
養蜂家・高橋鉄兵さんの営む〈高橋養蜂〉を手伝い始めて
1年半が経とうとしています。

当初、鉄兵さんと僕がまず取り組んだことは、
獣害がひどく、荒れてしまった山の中の耕作放棄地となっていた農地を
ミツバチが安心して飛び回ることができる農園に再生することでした。

ミツバチには「花を受粉させる」という、
生態系や人間の食糧生産にとって重要な役割があり、
そんなミツバチがさまざまな環境的要因により減少している、
と知った彼の夢が「ミツバチの楽園」をつくることだったのです
詳しくはこちら)。
この農地の再生は彼の考える「ミツバチの楽園」への第一歩ともいえます。

耕作放棄地となっていた山の中の農園

耕作放棄地となっていた山の中の農園。各地で問題になっている獣害被害の深刻さを目の当たりにしました。

半年ほどかけて、枯れた木を片づけ、獣たちに荒らされた農地を整備して、
そして農地の周りを大きく獣害対策の柵で囲いました。

獣害対策用の柵の設置作業

山あり谷ありのルートに柵を設置するのは簡単ではありませんでした。高橋養蜂を支援してくれる方々の協力もあり完成。

ちょうど1年前に完成したその柵のおかげで
鹿や猪が入ってこなくなりました。獣害対策の柵は成功です。
ここに蜜源となるレモンやお茶の木、菜の花やひまわりなど、
季節ごとの花を植えました。

季節ごとの花を植えました

「ミツバチの楽園」へ一歩近づいたことがうれしかったその頃、
とても困った問題が起きました。

それは「元気すぎる草」という問題です。

実は、柵を設置するまでは、この土地は草が育たないのか? 
というほどに土があらわになった土地でした。
それが、柵を設置して鹿が入ってこなくなった途端に……。

下田の里山。草が育たないエリアも

右側が柵の外側。相変わらず草が育っていません。
以前は周辺の土地がすべてこのような状況でした。
対して、左側の柵の内側。どんどんどんどん草が育ちます。

季節は初夏。もっとも草の勢いがある時期です。
あっという間に植えたお茶の苗が見えなくなるほどに草が伸びます。
草が育たないのではなく、生えてくる草を
鹿がきれいに食べつくしていたのだということに気づきました。

そして、鹿を排除するということでこれだけ生態系に影響がある、
それほどに自然界が絶妙なバランスで成り立っていることを
実感しました。

と、感心してる間に苗が埋まってしまう……。
ミツバチたちのための農園なので除草剤は撒けません。
なので、草刈り機を振り回す。
おかげさまで移住するまで触ったことのなかった草刈り機も
だいぶ使いこなせるようになってきました。でも草刈りは終わらない。