menu
記事のカテゴリー

初夏の伊豆下田が
アジサイと金目鯛で賑わう理由。
「観光のまち」で暮らすということ|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.039

Page 3

下田の代表的な食材「金目鯛」

そして、アジサイとともに6月の下田を盛り上げるのが、
下田港が水揚げ高日本一を誇る「金目鯛」。

一年中とれる魚ですが、もっとも脂がのるのが産卵直前の6月。
その時期に合わせて6月1日から30日まで〈きんめ祭り〉が開催され、
「ふるまいキンメ寿司」などのイベントで観光客を楽しませてくれます。

下田に暮らし始めて1年以上が経ちますが、
金目鯛がわが家の日常の食卓にのることはほとんどありません。
大きいものになると1尾2000円以上、日常の食材としては値が張りすぎます。

でも、友人知人が下田を訪ねてきてくれたとき、
そんな非日常の食材「金目鯛」が活躍するのです。
金目鯛といえば、まずは煮付け。

下田の飲食店の食レポをする「下田食べ部」にお誘いいただき活動しております。先日は千葉に住む兄が下田に来た際に一緒に食べた「金目鯛の煮付け」の食レポを投稿しました。

そして、干物も美味。

絶品干物を炭火で焼いて食べさせてくれる人気店〈ひもの万宝〉にて金目鯛の干物をいただく。東京の友人とも何度も足を運んでいて、皆さん本当に喜んでくれます。下田へお越しの際は是非~。わが家からは徒歩圏内なのでビール飲めちゃうのがたまりません……。

来客時に、その土地ならではの食材や
それをおいしく食べさせてくれる店がある。
これは、移住するまではその必要性すら考えていませんでしたが、
いまではとてもありがたいことと感じています。

そして、アジサイに続き金目鯛についても、
なぜ下田で金目鯛? という疑問が……。
こちらもちょいと調べてみました。

その名の通り金色の目、そして赤い魚体という華やかな色合いの金目鯛。
「鯛」と名づけられているものの、実は鯛ではないそうです。
深海魚のため捕獲できるようになったのは明治以降、
食用として一般的になったのは戦後のことといいます。

当初は価値はあまり見出されていなかったそうですが、
船の保冷技術などの進歩で新鮮なものが届けられるようになった
40年ほど前から高級魚としての地位が確立。
関東東沖から小笠原諸島、沖縄までの太平洋沿岸で漁獲されています。

深海魚のため一般的には漁場が遠いのですが、
伊豆は沖に出るとすぐに深海という地形的なアドバンテージがあり、
その中でも水揚げ量日本一を誇る下田は
「キンメのまち」というイメージができていったそうです。

そんな下田では漁場や漁法により
「地キンメ」「沖キンメ」と呼び方が変わってきました。
「地キンメ」は近海でとる鮮度のいいもの。
夜中に出てその日の昼過ぎに戻ってくるそうです。
大型漁船で沖に出て、1週間ほどの漁をして
大量にとってくるのが「沖キンメ」。

地キンメは鮮度が命、ということで、ほとんどが地元で消費されていて、
ほかの地域に出回る金目鯛は沖キンメがほとんどだそうです。
地キンメはこの地でしか味わえないご当地グルメといえます。

〈きんめ祭り〉開催中は市場でのセリなども見学可能です。

こうした四季折々に行われるまちのイベントは、
日々の暮らしに彩りをそえてくれています。

下田最大の祭典〈黒船祭り〉は毎年5月に開催。3日間の祭りの幕開けは花火大会です。多くの人で賑わうのですが、殺人的な混み具合の東京の花火大会と比べたらかわいいもの。のんびりと花火を楽しめます。もう東京の花火大会には行けません……。

冒頭にも書いたように、東京ではできない
「自然と近い暮らし」をしたいと移住しました。
移住してから養蜂場で働き始め米づくりを始め
そして家の庭でも少しずつ野菜を育てています。

しばらく手をつけられずにいた庭に作物を。

こうした暮らしをしながらも、
「観光のまち」らしい季節ごとのイベントや祭り、
また、この土地ならではの食材を楽しむこともできるのです。

最近は仕事も遊びも下田周辺で過ごしています。
移住前には、気分転換したくなり休日には遠出をしていたことを考えると、
随分と暮らしが変わりました。

休みの日、家族や友人たちと田んぼへ。田植えから1か月、稲もだいぶたくましくなってきました。子どもたちにとっても田んぼは絶好の遊び場。

梅雨も明け、いよいよ下田一番の観光シーズン「夏」がやってきました。
いま、あらためて「観光のまち」で暮らすことにわくわくしています。