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いよいよ移住生活がスタート?
仮住まい物件が見つかるまで|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.006

Page 3

美杉でつながる人の縁

そんな説教ショックで傷心の旅の最後に、美杉の中で行ったことのなかった
太郎生(たろお)という地域に行きました。
そして、不思議と美杉ではつながっていくのです。

美杉のほかの地域から太郎生へは奈良県の御杖(みつえ)村を抜けて行く。美杉はとても広く、端から端まで車で30分以上かかるのです。

そこに〈たろっと三国屋〉という、太郎生の住民の方々が運営している
農家民宿があり、何かしらの情報が得られそうかなと訪ねてみました。
そして、説教ショックから立ち直っていない僕は、少なからず
びびりながらもスタッフの方々に移住の話を相談してみました……。

廃業した老舗旅館を地域住民で再生し農家民宿にした〈たろっと三国屋〉。食事だけでも利用できます。

スタッフでもある地域の方々たちは温かく話を聞いてくれて、
さらには近くにある〈丸八〉という酒屋さんが
この地域の空き家の情報たくさん持っているので
相談に行ったらいいよと教えてくれました。

皆さんの温かさで説教ショックがだんだんと癒されてきました……。

そして、訪ねた酒屋、丸八さん。

丸八さんに入ると、昔はどのまちにもこんな温かい雰囲気の酒屋さんがあったよなあと懐かしくなります。

見るからにやさしい感じのご主人と奥さまが出迎えてくれます。
すでにたろっと三国屋の方が連絡をしてくれていて
話が伝わっていました(ありがたいです)。

そして、営業中にもかかわらず移住を考えているという僕たちの話に
熱心に耳を傾けてくれました。
「地域としても若い人たちに来てほしいから、
いくつか心当たりのある家があるから当たってみるね」と。

奥さまがあちらこちらに電話をかけてくれ、
いろいろと情報を集めてくれたのです。

突然やってきて何ひとつ身分を証明したわけでもない僕らのために
なんて親切なんだろう……。
その頃には説教ショックから完全に立ち直って
移住に向けて気合い全開でした!(単純……)

奥さまと地元の方との電話でのやりとりを聞いていると、
本当に丁寧にで、地域の人の信頼が厚いのもうなずけました。
何件かあたってくれたあとで、「では、見に行きましょうか」と。

そして、いくつか物件を案内していただき、
店に戻ってからまたいろいろと話をしました。

そんなこんなであまりに居心地がよくて随分と長い時間滞在していました。
娘が退屈そうにしているとお菓子をくれたり、
さらには別れ際にはお土産まで頂いてしまったり……。
その温かさに涙がちょちょぎれてしまいます。
こんな風に人に親切をできる人になりたい! 
と生き方を考えさせられるほどでした。

お父さん!お母さん! ありがとう~! 涙!(撮影:津留崎徹花)

そんな太郎生にじっくりと滞在したいという思いもあったのですが、
翌日に東京で予定があったので後ろ髪を引かれる思いで
太郎生を後にしました。

そして、その太郎生での出来事を、美杉で仲よくさせていただいている
沓沢夫妻に伝えたところ、なんと丸八さんのご主人、奥さまのお孫さんと
沓沢家の長男が同級生で親友だったなんていうサプライズもありました。

このように、どうにも美杉ではつながってしまうわが家なのです。

そんなこともあり、この旅を終えてからは、これだけ縁がつながっていく
美杉に住んでみたい。とりあえずの仮住まいでもあれば住んでみて、
住みながら美杉の中でじっくり物件を探してみよう! と決意したのです。

そして、この仮住まいという考えに至るには、
旅をしながら物件を探すという当初考えていた方法だと、
宿に泊まる滞在費もかさむし、車中泊だと夜は寒くなってきたし
疲労もハンパない……という事情もありました。
(娘も最初は旅や車中泊を喜んでいたのですが、さすがに飽きてしまい
宿がいいとか東京に戻りたいと言い出す始末……)

そして、美杉の中で物件を徹底的に探すのであれば、
仮住まいがベストだとなったわけです。