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問題発言ばかりが話題になっていた人がアメリカの大統領に決まり、
世界がこれからどのように変わっていくのかを誰もが考えてしまったその日、
僕は東京の家で荷物をまとめていました。
わが家はこれからどのように変わっていくのかを考えながら。
というのも、その翌日に三重県津市美杉町にある、
とりあえず借りることになったまだ見ぬ物件の確認、
その家主さんとの顔合わせに行くことになっていたのです。
とりあえずと言うのは、その物件は3か月住んでみて
気に入ったら長く住むもよし、3か月の間にほかにいい物件が見つかれば
そこに移るもよしと、移住先探しをしているわが家にとっては
願ってもない条件で貸してくれる話になっていたからです。
そして、その物件確認、家主さんとの顔合わせを済ませたら
美杉での移住生活が始まる予定です。
とりあえずではあるので(仮)移住生活とでもしておきましょうか……。
では、その(仮)移住生活の舞台となる物件に行きつくまでの
話を振り返ってみます。
以前にも美杉のとある物件に心惹かれていたのですが(詳しくはこちら)
その後、物件を内見したところ、想像以上に傷みが激しく、
補修に相当な手間と費用がかかることがわかりました。
そして、その物件価格と補修の費用を考えると
どうにも予算との折り合いがつかない。
熱くなった気持ちをおさえて一旦保留にしました。
そして、美杉と条件が近い周辺地域、奈良や和歌山も含め
紀伊半島は移住先としてどうかとあらためて検討しました。
旅をしたなかにも魅力的な土地はあったのですが、
美杉であったような
魅力的な人とつながっていく感じ(連載4回目/5回目参照)が得られず、
どの土地も移住を考えるまでには至りませんでした。
もちろん、わが家にとっては美杉がたまたまそうであっただけで、
ほかの土地で魅力的な人たちとつながっていく場合もあるのかと思います。
でも、そのたまたまの縁というのはとても大切なことと思いますし、
だからこそ、わが家は美杉に運命を感じてしまうのかもしれません。
例えば、その旅で、美杉以外ではどうにもつながらないなあと
感じる出来事がありました。
美杉からほど近いまちのある農家民宿に泊まったときのこと。
移住の相談に乗ってくれるという情報もあったので、
女将さんにあれやこれやと相談してみました。
移住して米や野菜を自給自足する生活を目指したいと話すと、
「未経験での自給自足? 自給自足ってそんな甘くないですよ、
わかってます? 無計画なこと言ってないで東京で生活してたほうが
いいんじゃない? 考え直したら?」
と、つながるどころかお説教をいただいてしまいました。
未経験から自給自足的な生活を始めた方の話はよく目にするのですが、
もちろん、その陰にはすごい苦労があるのかと思います。
甘い話ではないんだとあらためて身が引き締まります。
ただ、未経験でも見切り発車でも思い切ってスタートをきらないと、
生活を変えることなんてできない、いつまで経っても動けない、
そう考えて移住を決めた僕としては、そんな意見もあるのは
当たり前だとは考えていました。
とは言っても、かなり手厳しく言われたもので結構、
凹んでしまいました……。