日本一のみかん産地を長年にわたって支える〈小林果園〉
日本一のみかんの故郷、八幡浜市向灘地区
“愛媛県産のフルーツ”と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるであろうフルーツ、みかん。
みかんの花は愛媛県の花とされ、1952年に制定された県旗にも描かれていて、
さらに愛媛県イメージアップキャラクター「みきゃん」のモチーフもみかんなのです。
柑橘王国として知られる愛媛県にとっても、
みかんは身近ながらも特別な思い入れのあるフルーツともいえる存在とも言えるでしょう。
そんな愛媛のみかんの中でも御三家と呼ばれているのが、西宇和地区で育てられている
〈日の丸みかん〉〈川上みかん〉〈真穴(まあな)みかん〉。
この御三家の中でも日の丸みかんは毎年のように“日本最高峰”の評価を得ているだけでなく、
初売りで日の丸みかんの単価が良かった年は
全国のみかんの単価も上がると言われているほど特別なみかんです。

見渡す限り広がる西宇和の海と、みかんがたわわに実った園地。風光明媚とは、まさにこの風景。
その産地となるのが愛媛県西端にある八幡浜市向灘地区。
海に囲まれた海岸部は典型的なリアス式海岸で、起伏の多い傾斜地が連なり、
平野部は極めて少ない地域です。
そして驚かされるのが、海を面した山々のほとんどが見事な段々畑になっていること。
「向灘の特徴は全面南向きで朝から晩まで日が照っていること。
その勾配が全部段々畑になっていて、さらに砂地で水はけがいい。
だから糖度があるのに酸味が少ないみかんが育つんです」と話すのは、
3代にわたり向灘地区でみかんの生産を続け、
日本一のみかん産地を長年にわたって支えてきた〈小林果園〉の小林聖知さん。

取材で訪れた10月下旬は「極早生(ごくわせ)」という品種のみかんの収穫時。実ったみかんを、ひとつひとつ手で収穫します。

みかん園に鳴り響く「パチン、パチン」というリズミカルな音。まず枝から実を収穫バサミで切り離し、すぐさまみかんに傷がつかないようヘタ部分を平らに切り落とす二度切りの作業がこの音の正体。
「みかんは日が当たれば当たるほど糖度が上がるんですよ。
よく“3つの太陽”と言うんですけど、
“お天道様の太陽”“宇和海からの反射光”“段々畑の石垣からの反射光”。
あと最近は、みかんづくりへの情熱が4つ目の太陽とも言われるんですけど、
この太陽によって甘くてコクのある、おいしいみかんが育つんです」

段々畑の石垣。100年以上も前に、この地でみかん栽培をはじめた先人たちが築いた歴史を物語ります。
現在では10もの園地を管理し、みかんを育てている小林さんですが、
彼がつくるみかんのもうひとつの特徴はその皮の薄さ。
「実際に皮をむいてもらったらわかるんですけど、もう薄い。
うちの子どもが3歳なんですけど、よそのみかんだったらひとりで皮をむけるのだけど、
うちのみかんだと実に指をつっこんでしまうから“皮がむけんので、もいでくれ”って言う。
それくらい違いがあるんですよ」