連載
posted:2016.10.4 from:富山県氷見市 genre:食・グルメ
sponsored by KIRIN
〈 この連載・企画は… 〉
その土地ならではの風土や気質、食文化など、地域の魅力を生かし
地元の人たちと一緒につくった特別なビール〈47都道府県の一番搾り〉。
コロカルでは、そのビールをおいしく飲める47都道府県のスポットをリサーチしました。
ビールを片手に、しあわせな時間! さあ、ビールのある旅はいかがですか?
writer profile
Tomohiro Okusa
大草朋宏
おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。
photographer profile
Rui Izuchi
出地瑠以
いずち・るい●写真家。1983年福井生まれ。東京とハワイでの活動を経て、現在は大阪・福井を拠点に活動中。〈Flat〉という文化創造塾の運営メンバー。また結婚式を創るユニット〈HOPES〉のメンバーでもある。
http://www.cocoon-photo.com/
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47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
富山でコロカルが向かったのは、寒ブリなどの魚介類が有名な氷見。
特に手の込んだ調理法ではないけれど、すっごくおいしそうに見えるのが漁師飯。
豪快なつくり方&食べ方に憧れてしまうものです。
各地方に伝わる漁師飯がありますが、魚のまち、富山の氷見にももちろんあります。
その名は〈かぶす汁〉。
「かぶす」とは、もともと氷見の漁師の言葉で「分け前」という意味です。
漁師たちが漁の合間や漁のあとに、その「かぶす」でつくったみそ汁を
かぶす汁といいます。
地域おこし協力隊として氷見に赴任した左座進介さんは、
現役の東京海洋大学大学院の学生でもあり、
調査フィールドとして氷見の漁業の研究をしています。
そのなかでかぶす汁に出会いました。
初めて漁師の作業小屋である「番屋」でかぶす汁を食べたとき
「これはうまい!と思った」と言います。
「漁師さんはみんなおにぎりを持参してかぶす汁を食べています。
最近ではあまりつくられなくなったようですが、
僕がよくお世話になっている漁師さんはいつも食べていますね」
さっそく、左座さんにかぶす汁をつくってもらいました。
当日用意されていた魚は、カワハギ、メジナ、ホウボウ、カナド、ユメカサゴ、
マエソ、ミシマオコゼ、ヒイラギ、ハタハタ、キジハタ、シロギス、イシダイ。
シーズンではないので氷見名物の寒ブリやホタルイカ、紅ズワイガニなどはありません。
しかし、シーズンであってもそのような魚は入りません。
かぶす汁に使われるのは小さな魚ばかり。
「ある特定の魚が入ったものを、かぶす汁というわけではありません。
いろいろな魚を使います。しかもサイズの小さい魚や一匹ものなど、
市場に卸さない魚なのです。つまり“お金にならない”魚たちなんです」
本来ならば捨ててしまうような魚を、自分たちで大切にいただくということ。
それが「分け前」である「かぶす」なのです。
つくり方はそう難しくありません。まずはウロコをとり、頭を落とします。
そしてこの頭は使いません。
「アラ汁ではないんです。アラからだしはとりません。
頭を入れるとなると、エラをとらないといけません。
それが手間だったのではないでしょうか。
大きな魚だったら頭を割って入れていたかもしれませんね」
船の上や番屋で、余った魚でパパッと簡単につくるということ。
だからウロコは取りますが、ひと口大などに小さく切ることもしません。
そして内蔵を除いた魚をお湯が沸いた鍋に投入。お酒も入れて臭みをとります。
最初に出たアクだけ取りながら、10分ほど煮て、味噌を溶き入れたら完成。
だしは一切入れないし、野菜も最後にお好みでネギを入れるくらい。
かぶす汁はすごくシンプルなのです。
「重要なのは魚の鮮度。前日とれた魚でつくっても全然おいしくありません。
新鮮だからこそ、ほとんど味つけをしなくてもおいしいのです」
さっそくいただきます。アラを入れていないからでしょうか。
これだけたくさん魚が入っているのにさっぱりとしています。
でも魚は朝とれた新鮮なものなので、身はプリップリ。
ただし魚そのままなので、小骨との格闘が始まります。
「かぶす汁を食べていると、みんな無言になるんですよね。
骨をしゃぶっている感じも僕は好きなんです。
漁師のなかには、汁から身だけを取り出して食べる人もいます。
お酒のおつまみですね。逆に汁だけほしいって人もいますよ。
おつまみにも、おかずにもなって、結構、万能選手なんです」
本当の漁師がつくるかぶす汁はもう少し塩辛いそう。汗を流したあとだからでしょう。
でも、ビールにもばっちり合いそうです。
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氷見の漁は定置網漁が中心。
定置網漁とは、網を固定して仕掛けておいて、そこに入った魚をとる漁法のこと。
特定の魚を狙っているわけではなく、良くも悪くも何でもとれます。
そのなかで雑魚と呼ばれる市場価値の高くない、小さな魚もとれるからこそ、
かぶす汁が氷見特有の料理となっていたのです。
「小さな魚は手間がかかるだけで、決しておいしくないわけではありません。
かつてはおばあちゃんたちが、そのような小さな魚も干したりして
商品にしていたのですが、最近では手のかかることはやらなくなってしまいました。
本当に捨てられるか、二束三文の値段しかつかないのです」
かぶす汁は、その日の「かぶす」をつかった料理です。
だから毎日使う魚も違うし、つまりは味も違います。
漁がなかった日は「かぶす」自体もありません。
氷見の漁とともにある食文化が、かぶす汁なのです。
漁港近くの食堂をはじめ、氷見のまちには、
かぶす汁が食べられる飲食店がたくさんあります。
単なる「魚のみそ汁」とは違う氷見特有のかぶす汁を堪能するには、
やはり氷見という地で食べてみたいものです。ぜひ!
名古屋工場製造
※本商品は名古屋工場での製造ですが、富山のお客様と共に富山ならではの味わいをつくりあげたため、「富山づくり」としています。
問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00~17:00土日祝除く)
ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。のんだあとはリサイクル。
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一般社団法人 氷見観光協会
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