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小さな無人島で
腹いっぱいのおもてなし!
〈やつしろ舟出浮き〉って?

NIPPON 47 Beer Spots&Scene!
全国、心地いいビールスポット
vol.026

posted:2016.6.29   from:熊本県八代市  genre:食・グルメ

sponsored by KIRIN

〈 この連載・企画は… 〉  その土地ならではの風土や気質、食文化など、地域の魅力を生かし
地元の人たちと一緒につくった特別なビール〈47都道府県の一番搾り〉。
コロカルでは、そのビールをおいしく飲める47都道府県のスポットをリサーチしました。
ビールを片手に、しあわせな時間! さあ、ビールのある旅はいかがですか?

writer profile

Yoko Yamauchi

山内陽子

やまうち・ようこ●企画と文章。熊本生まれ、熊本育ち、ちょっと放浪、熊本在住。地元を中心に、広告・広報の企画を手がけています。おいしいものが大好きで、お米、お水、お魚、お野菜、いろんなおいしいものにあふれている熊本から離れられません。

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撮影:門永欣也

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Supported by KIRIN

47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
熊本でコロカルが向かったのは、八代市にある小さな無人島。

江戸時代のお殿様も夢中になって遊んだ、舟出浮き

海もある、山もある、おいしいお米を育てる平野もある。
ちょっと大げさかもしれませんが「この土地はどんな食材も揃ってしまう」と
料理人に言わしめるほど、食に恵まれた土地、熊本県。
そんなおいしいものの宝庫、熊本の南西部にある八代市に
無人島でおいしい思いをたっぷり堪能できる海のレジャーがあります。
その名も、〈やつしろ舟出浮き(ふなでうき)〉。

漁船に乗って、八代海の伝統漁法を見学して、
無人島に上陸して海の幸を味わう、という趣向のもの。
その程度の前情報だったので、実際に体験してみると驚きの展開が待ち受けていました。
それは、後からのお楽しみ!
聞けば、好きな飲み物を持参さえすれば、手ぶらで参加できるとのこと。
さっそく、ビールを買い込んで船に乗り込みます。

ふだん漁で使われている船に乗せていただく〈やつしろ舟出浮き〉。海風がとっても心地いい。

海の男、生川啓さんの軽快な操舵(そうだ)さばきで海へ。穏やかな内海の八代海は、豊かな漁場。

今回の案内人は、舟出浮きの組合長である
生川啓(なまかわ さとし)さんと京子さんご夫妻。
やつしろ舟出浮きは、生川さんをはじめとする八代海で漁をしている漁師さんたちが
いまから約30年前に組織化した、いわゆる観光漁業。
漁船に観光客を乗せ、伝統漁を見学してもらうという取り組みで、
すべての船頭さんたちが同じやり方で統一し、商品化されたもの。
八代海で生川さんたちが先輩漁師さんたちから受け継いできたそうです。

そうやって、どんどん時代をさかのぼっていくと、
江戸時代、お殿様が夢中になって遊んでいた〈舟出浮き〉という
遊びにたどりついたといいます。
古い文献などにも舟出浮きの記述が確認され、
八代海に舟を出し、鉾(ほこ)突きや、投網(とあみ)で
お殿様が魚をとって楽しんだことが書かれていました。

江戸時代後期の御用絵師による絵の一部。蛤をとっている女性たちの後方に、小さく舟が。舟出浮きを描いたものと言われています。

まさに、生川さんたちの観光漁業は、お殿様も夢中になった舟出浮きそのもの!
そうやって、現在の〈やつしろ舟出浮き〉というネーミングが誕生したのです。
ちなみに、「出浮き」は、「海のピクニック」という意味があるそうです。

とれるかどうかは、運次第? 八代海の伝統漁法

漁協の港を出て、10分足らずで漁場に到着。
海底に刺し網を設置するカレイ網、
潮流に網を流すエビ流し網、タコツボ、ヒラメ網といった具合に
時期や区域によってとれる魚の種類も、漁法も変わります。
今回見学したのは、6月までが最盛期だったイカ籠漁。
あらかじめ海底にしかけておいた籠を、引きあげていく伝統漁です。

海に浮かぶ赤い旗と、黒い旗のあいだに、イカ籠がしかけられています。

「ここんとこ、不漁だけんねぇ」と言いながら、籠を引きあげていく生川さん。この籠がいくつもしかけられており、籠にはしかけの笹がついています。

この籠には残念ながら何も入っていませんでしたが、生川さんが何やら手に取り見せてくれたのは……。

イカの卵! イカ籠漁は、笹でつくったしかけにイカが卵を産みにやってくる。それを捕獲する、というもの。

こちらは、籠にかかっていたカサゴの赤ちゃん。熊本では「がらかぶ」と呼ばれています(この後、すぐにリリース)。

漁師さんがふだん使っている船で、ふだん通りの漁を見学しながら
漁師さんの話を聞くことができるのが、このやつしろ舟出浮きの魅力。
「イカが入っとらんかったら、ごめんね~。
30年前に始めた頃は、籠をしかけたら大漁。
いろんな魚がとれよったけど、最近はとれる漁が減ったもんな~」
と熊本弁でつぶやきながら、次から次へと籠をあげていく生川さん。

ほかの籠からは立派なイカが次々と!

たまにカニが入っていることも。

イカ籠のしかけのこと、八代海でとれる魚のこと、昔の漁の話など、
いろんなことを教えてくれました。
なかでも、いちばん興味をそそられたのは、
イカ籠の漁は、モテるメスが漁を左右する、ということ。
「よかメスが入っとる籠には、よかオスのイカが入っとる。
イカの好みはわからんけどね」と、生川さん。

「これが、モテモテのメス」! 1匹のメスのイカに、大きな2匹のオスイカ。

1時間ほど、船上で漁を見学。籠があがるたびに、一喜一憂。
見ているだけなのに、あっという間に時間は過ぎます。
この1時間での漁の成果は、イカが10匹超。
不漁といわれた割には、まずまずといったところ。
漁が終わったら、無人島に上陸して海の幸三昧。
もしかして、イカ三昧?

こだわりの強い熊本の人たちとつくった
〈キリン一番搾り 熊本づくり〉

仲間を大事にし、「肥後もっこす」といわれる、頑固でこだわりの強い熊本の人たち。そんな地元の人たちとつくった〈キリン一番搾り 熊本づくり〉とは?

キリン一番搾り 熊本づくりとは? →

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いよいよ無人島に上陸。ここからが本番!?

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無人島で待ち受けているのは、最大級のおもてなし

漁場からすぐのところにある、小さな無人島〈中島(なかのしま)〉。
無人島という言葉の響きから、なんにもない、
岩がゴツゴツした島を想像していましたが、「夢人島」だったのですね。
休憩できる東屋があり、トイレもきれいに整備されています。

無人島に到着するなり、生川さんご夫婦は、
「そこらへんで、ゆっくりしとって」と、なにやら準備を始めました。
しばらくすると、次から次にお料理が。

やつしろ舟出浮きのメインイベント、漁師さんによる漁師飯のふるまい。
とれた魚だけでなく、当日の朝から京子さんが準備したという
魚を中心とした料理がテーブルの上に並べられます。
さっそく、持ち込んだビールで、カンパーイ!

八代近海でとれた海の幸づくしの漁師飯をつまみに、真昼間のビールは最高のごちそう!

すべて地のものでつくったという漁師飯。
素材の新鮮さ、おいしさを、ダイレクトに味わえる漁師さんのおもてなし料理です。
刺身盛り、エビの浜焼き、茹でガニ、かき揚げ、さらに季節限定のしらすの釜揚げや、
高級魚のハモの唐揚げなんかも、ど~んっと並べられました。
お刺身はプリプリだし、タコの唐揚げもやわらかく、
しらすはご飯にのっけてかきこみます。
素朴な料理ながらも、とっても贅沢!
無人島というシチュエーションも手伝って、どんどん食とビールが進みます。

食べて、食べて、食べて……食べているのに、
なぜか目の前の料理が減っていかない不思議な現象が!?
ふと、横を見ると、食べているそばから、
どんどん新しい料理を追加していく京子さんの姿。
ついには、食べるスピードが追いつかずに、テーブルの上いっぱいに料理が!

テーブルに乗りきらずに、はみ出していました! 全部、京子さんが朝からつくったものだとか。新鮮な素材に素朴な味つけ、おいしいのは言わずもがな。

「とにかく、漁師飯は、大ざっぱで量が多いとです。
食べきらんくらいたくさんの料理でもてなすのが、漁師飯ですね。
お腹いっぱいになって、残ったものを持って帰ってもらうのが喜び(笑)。
もし、大食いのお客さんが、準備したものを全部平らげそうになったら
それでも追加できるように準備しとるよ。
これまで、全部食べきった人はおらんね(笑)」と、
仕上げにタコ飯と味噌汁を取り分けながら話す京子さん。

どんだけ食べても、料理が減らない!
これがやつしろ舟出浮きを体験して、いちばんの驚き。
漁を体験して、海の幸を味わうだけでなく
漁師さんの精一杯のおもてなしが、もれなくついてくる
とっておきの海のレジャーなのです。
さらに驚くことに、この日の漁でとれたイカは、参加者へのお土産品に!

やつしろ舟出浮きを案内していただいた生川さんご夫妻。ありがとうございます、おいしかったです。

これだけのご馳走を準備していただいたご夫婦に
「よければ、いっしょに飲みませんか」とお誘いしたら
「そりゃいかん、あんたたちを港まで連れて帰らんと!」

そうでした、ここは無人島。
漁師さんは、家に帰ってカンパイ、ですね。

今回飲んだのは、
地元の人と一緒につくった
〈キリン一番搾り 熊本づくり〉

仲間たちが集まって、うまかもんを楽しむのにぴったりの〈キリン一番搾り 熊本づくり〉。熊本県産米と九州産麦芽を使用し、熊本特有の濃い味の料理にも合うよう、すっきりと飲みやすい味わいに仕上げました。

キリン一番搾り 熊本づくりってどんなビール? →

※一番搾り 熊本づくりは、熊本の誇りを込めてつくった、熊本だけの味わいです。

問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00~17:00土日祝除く) 
ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。

information

やつしろ舟出浮き

実施期間:4月~11月

料金:5名まで30000円(税別、1名追加ごとに5000円。子ども料金あり)

お申し込み・お問い合わせ:0965-35-6627(八代市観光物産案内所)

*希望日の1週間前までに要予約

八代観光ポータルサイト きなっせやつしろ

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