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写真家・在本彌生の旅の記録
夏の道央エリアへ
時空を超えて|Page 2

おでかけコロカル|北海道・道央編

Page 2

1 時の流れを見つめる旅

夏の道央を巡った。
この地にいた間、時を大きくまたいで旅をしていた。
自然の力が長い長い時間をかけてつくり上げたもの、
この土地で古代から育まれてきたもの、
人が生きていく上でより便利な生活のため育まれたもの、
それらが時代を経て変化していった様、
そして変わらず残るさまをたくさん見た。

しかも、続縄文時代、或はもっと前から
現在までと、その時間の幅がとてつもなく広い。
北海道が広いのは本当によくよくわかって来たが、
土地の見せる歴史の姿が、人間の棲むようになる前の
時代にまでさかのぼるのがとてもおもしろい。

人の手が作った土器、矢じり、などの道具は
すでに今の道具とさほど変わらない形だ。
素敵なデザインでちょっとほしくなったりする。
特大サイズのアンモナイトの化石が、
ごろごろ見つかる三笠市は、遠い昔海の底だったことを
我々に示してくれる。大地の下、山の層の中から
時代のかけらが顔をのぞかせるなんてミステリアスで楽しい。
フゴッペ洞窟の刻画、ストーンサークル、
登別地獄谷の煙、モエレ沼公園の三角形の山、
喫茶店のテーブルの落書き、炭坑住宅の赤い屋根……
そんなものに遭遇すると、自然と興味をそそられて、
近づいてこの眼で確かめたくなる。

遠い昔、近い昔に、生き物としての私たちの記憶のなかに、
それらが確かに刻まれ引き継がれて来たからだろう。
それらと対峙したいつかの光景を、
私たちが思い出すからなのだろう。
日本の国の中で、こんな時間の旅を楽しめるのはうれしい。