odekake
posted:2016.2.16 from:沖縄県那覇市 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
editors
沖縄CLIP
沖縄クリップは、沖縄の隠れた魅力や新しい情報を、沖縄在住のフォトライターが中心となって美しい写真とともに世界に発信し、沖縄の観光産業に貢献するという目的のプロジェクトです。沖縄が大好きな皆さまとさまざまなかたちでコラボレーションし、ともにつくりあげる新しいかたちの観光情報メディアを目指しています。
編集長 セソコマサユキ
http://okinawaclip.com/
writer profile
NOBUYA FUKUDA
福田展也
2001年に沖縄に移住。趣味はサーフィンと琉球空手。雑貨のバイヤー、地産地消商品やエコプロダクツの商品企画・商品開発の仕事を東京周辺で経験したのち、沖縄で手仕事にチャレンジ。紆余曲折を経てマーケティングやブランディング、事業企画立案などの仕事の傍ら、編集やライティングの仕事をしている。
http://okinawaclip.com/ja/detail/812
「あのへんって、おもしろい店が増えているよね」
那覇の人気スポット、牧志公設市場周辺は
情報感度の高い地元の人たちの間で、近頃注目されている場所である。
2014年の大晦日に牧志公設市場の入口脇にオープンした
〈OKINAWA GROCERY〉(オキナワグロサリー)もおもしろい店のひとつだ。
おもしろい理由のひとつは、隣近所にある店のユニークさだ。
例えば、右隣の鰹節屋さんでは、おばさんが店番をしながら
せっせと島らっきょうの皮をむいている。
左隣のお茶屋さんでは、商売っ気のないおじさんが
通り行く人を眺めつつ、ゆったりと時間を過ごしている。
はたまた斜め向かいの古本屋さんでは、生活の匂いが漂う市場の中で
美術や文学系の古本たちが輝いている。
OKINAWA GROCERYは、そんなチャンプルー的世界観に満ちた
環境のなかでひときわ異彩を放っている、おしゃれなグロサリーストアだ。
おもしろい理由のふたつめは、とっても小さなマイクロショップだということ。
わずか3坪ほどのスペースに、沖縄で健やかに育った野菜や果物、
沖縄でつくられた調味料や加工食品がところ狭しと並んでいる。
見るからに健康そうな、赤味がかったオレンジ色をした
大紅(おおべに、タンジェリンオレンジの一種)や
丸ごとかじりたくなる緑の葉っぱつきにんじん。
八重岳の緋寒桜のような、ピンクに染まったカブの仲間たち。
ていねいに育てられた元気な野菜たちのほか、
ピクルスやブレンドされたスパイス、ジンジャーシロップ、
最近注目を集めているコーディアル(ハーブやスパイスや果物などを
漬け込んだシロップ。ヨーロッパの家庭で昔から親しまれてきたもの)や
離島で栽培された米を使用した麺など、日もちのいい商品も揃っている。
おもしろい理由の3つめは、歩んできた人生もライフスタイルも異なる、
ふたりの男女が共同経営している店だというところ。
小宮有二(こみやゆうじ)さんは、チベットやネパールの雑貨の並行輸入、
日系物流企業の中国現地採用社員、ギターの売買や演奏活動などの仕事に携わり、
自由な人生を歩んできた。
沖縄で名の通ったライブハウス〈groove〉で仕事をしたときのおつき合いが
いまの仕事にも生かされているそうだ。
もうひとりは、むつみ橋通りと浮島通りが交わるあたりで〈Cafeプラヌラ〉という
紅茶とロールケーキがおいしいカフェを経営する戌亥近江(いぬいちかえ)さん。
戌亥さんは、食に向き合う人々やその取り組みを見つめ、
命のつながりをていねいに描いた大林千茱萸(ちぐみ)監督の
ドキュメンタリー映画『百年ごはん』の沖縄上映会を主催した方でもある。
そんなふたりの接点になったのは“人と人をつなぐいいもの”だった。
この店のショップカードには、ローリング・ストーンズの『Let It Bleed』という曲の
“What pleasant company!”(なんていい仲間たち!/なんていいご縁・会社なの!)
という言葉が添えられている。
これは、小宮さんがOKINAWA GROCERYの
デザインを担当する藤田俊次さんに相談し、選んだものだ。
小宮さんは1年ほどドイツに滞在し、クリスマスイブに親友の実家を訪ねたとき、
家族同士でギフトを贈る習慣や、相手が心から喜びそうな贈りものを選ぶ様子を見て、
その人間関係のあり方をとても新鮮でいいものに感じたという。
一方、戌亥さんは、『百年ごはん』を通じて知り合った
ていねいにものづくりをしている人たちと話すなかで
“育てたりつくったりしたものを大事に売りたい”という熱い気持ちに触れたという。
「だからこそ、そのていねいさが伝わるお店にしていきたいんです」
そう語る戌亥さんが目指しているのは“みんなが幸せになれる店”だそうだ。
沖縄に住んでいる人も遊びに来る人も、つくり手も使い手も、
贈る人も贈られる人も、みんなが喜びを分かちあうお店。
“人と人をつなぐいいもの”が集められた小さなグロサリー。
ふたりがつながってきたいろんな人の支えを受けながら
きっと大きく育っていくのだろう。
※電話番号を「070-5278-5995」から「098-866-1699」へ修正いたしました。(2017年6月20日 10:20)
information
OKINAWA GROCERY
住所:沖縄県那覇市松尾2-10-1 那覇市立公設市場外回り
TEL:098-866-1699
営業時間:11:00~19:00
定休日:不定休
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