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posted:2016.7.12 from:全国 genre:暮らしと移住
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writer profile
Yu Miyakoshi
宮越裕生
みやこし・ゆう●神奈川県出身。大学で絵を学んだ後、ギャラリーや事務の仕事をへて2011年よりライターに。アートや旅、食などについて書いています。音楽好きだけど音痴。リリカルに生きるべく精進するまいにちです。
編集者のセソコマサユキさんが
札幌、山梨、岐阜、岡山、山口、福岡、沖縄へ移住した人たちのもとを訪ね
一冊の本〈あたらしい移住のカタチ〉にまとめました。
本を開くと、1ページ目にはまっ青な水平線と空が広がります。
そこに書かれているのは、2012年に沖縄へ移住したセソコさんの思い。
そうこの本は、移住をした著者が、移住者の視点で取材をした本なんです。
登場するのは文筆家・編集者の服部みれいさん、
〈くらすこと〉主宰の藤田ゆみさん、〈山角〉店主、内藤亜希子さん、
〈ココホレジャパン〉主宰の浅井克英さん、靴職人の池間貴幸さんなどなど。
移住の動機は、みなさんさまざま。
それぞれの暮らしを築くまでのエピソード読んでいると、
本当に移住したくなってきてしまいます。
「日々の食べ物を友だちでまかなえるのはかなり嬉しいです。
牡蠣を漁師さんから直接買えるとか、そういうのって
値段的なことだけじゃなくて安心やありがたみがあって、
スーパーで買うのとは価値観が違う気がします。
まわりには、ほかにも大工さんとか温泉宿とかいろんなことをやっている人がいて。
自分が30代、40代になって子どもができたときに、
豊かさや、目指している未来はなんとなく一緒っていう人たちが近くにいるのが
本当に面白いです」(〈ココホレジャパン〉主宰、浅井克俊さん)
「失った物はあるけれど、それ以上に得たものもある。
何が好きかといわれれば、料理をつくって人に出すこと。
そういう場所をつくりたいと思っているし、
そのすぐそばに子どもたちが学んでいるような場所があったら素敵だし、
そのまたそばに畑があったら嬉しいし」(主婦、根本きこさん)
楽しい話だけではなく、大変だったこと、厳しいことも伝えてくれます。
「雨も雪も多いし、いろいろ大変ではあるけれど、
それ以上に自然がもたらしてくれる、稲をはじめとした恵みがあります。
収入的には以前より少なくなったし、冬は雪で強制的に外で働けないのが辛くもあります」
(〈蒜山耕藝〉主宰、高谷裕治さん)
「田舎に行ったらのんびり、なんていうのはほとんど幻想だ。
ただ、それが仕事に追われているのではなくて、暮らしのこともしている、
というのがこれまでとの大きな違い」(セソコマサユキさん)
Page 2
この本に登場する人たちの仕事は、
イラストレーター、デザイナー、本屋、靴職人、農家など。
もし本気で移住を考えている方なら「どうやって仕事をみつけたの?」
「自営業じゃないと移住できないの?」と思うかもしれません。
この本では、仕事の探し方や新しい働き方についてもふれています。
ほとんどの移住者に共通しているのが、自分で仕事を選び、
人生を切り開いてきたということ。
働き方を考え直したいという方にも、何かヒントがあるかもしれません。
最終章は、セソコさん自身の移住ストーリー。
「移住の理由を端的にいってしまえば、『仕事や暮らしの環境を変えたかったから』。
将来、自分がどんな暮らしをしていきたいかと考えたときに、
仕事だけではなく、家族との時間をもっと大切にしていきたいと思ったのだ。
だからといって、仕事へかけるエネルギーを減らそうということではもちろんない。
自分が何を豊かだと思うか、どこに幸せを感じるかを
把握しておくことはとても大切で、ぼくにとってはそれが、
家族と過ごす時間であり、その時間を増やしていくことだった」(セソコさん)
そんなセソコさんのまなざしは、するどくも温かい。
この本に出てくるどの暮らしにも、
まん中には「家族」のようなものがある気がします。
各人の暮らしを紹介するとともに
年表や具体的な手順も掲載されているので、
移住までのステップを現実的にイメージできるのもうれしい。
知っておくべき制度などを記した移住の手引きや、
パン屋〈タルマーリー〉の店主、渡邉格さんら9名に
移住して良かったこと、大変だったことなどを尋ねたアンケートも掲載しています。
いま移住が気になっているという方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
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あたらしい移住のカタチ
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