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posted:2016.3.22 from:全国 genre:食・グルメ
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writer profile
Ichico Enomoto
榎本市子
えのもと・いちこ●エディター/ライター。東京都国分寺市出身。テレビ誌編集を経て、映画、美術、カルチャーを中心に編集・執筆。出張や旅行ではその土地のおいしいものを食べるのが何よりも楽しみ。
旅やお菓子にまつわる著書も多い甲斐みのりさんの新刊『地元パン手帖』。
この本ではたくさんの“地元パン”が紹介されています。
各地を旅してその土地ならではのお菓子を探し回るうちに、
その土地土地のパンにも関心を持つようになったという甲斐さん。
パン屋さんにも和洋のお菓子や、お菓子の類とも言えるパンが並び、
いわゆる“菓子パン”という概念は日本独自のものではないかと甲斐さんは書いています。
たしかに、フランスのパン屋さんにパン・オ・ショコラはあっても、
こんなに多様な菓子パンはないでしょう。
またその背景には、地域色の強いパンを扱うパン屋さんの多くが、
昭和20~30年代に創業し、学校給食を手がけてきた歴史がある、とも指摘します。
ここで扱うパン屋さんは、そんな風に、
戦後から地元の食を支えてきたパン屋さんなのです。
本はいくつかのテーマに分けて、地元パンを紹介しています。
「種類別採集」という章では、クリーム系パンやメロンパン、コッペパン系など、
種類別にさまざまなパンを紹介。
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「パン?お菓子? 甘い採集」という章では、
パンというよりお菓子に近い甘いパンの数々を紹介。
あんパンやカステラパン、ようかんパンなど、
日本人は昔から甘いパンが大好きなんですね。
「ご当地比べ採集」という章では、石川発祥の“頭脳パン”や
福島発祥の“クリームボックス”など、地域独特のパンを紹介。
そのほか「いい顔揃いのパン屋さん」というコーナーでは、
パンの名前やパッケージ、お店の佇まいがすてきなパン屋さんをお店ごとに紹介。
お店のロゴやパン袋、キャラクターのコーナーにも心ときめきます。
こうして全国のパンをただ眺めるだけでも楽しいですが、
ところどころに挟まれる「パンの旅」というコラムでは、
パンの文化や歴史に触れていて、それもおもしろいのです。
特に最後のコラムで、日本のパンの原点として
銀座の〈木村屋總本店〉の歴史が紹介されていますが、
木村屋名物のあんぱんがなぜ“酒種”あんぱんなのか、
好きでたまに買って食べていた筆者もその歴史を初めて知り、
なるほど、とうなずきました。
巻末には都道府県別の索引もあり、地元パンのガイドとしても充実の1冊。
これを手にしたら、甲斐さんのように、
旅先ですてきな地元パンを探して食べてみたくなることうけ合いです。
また、本の刊行記念イベントも随時行われています。
詳しくは甲斐みのりさんのHPのイベント情報からどうぞ。
information
地元パン手帖
著者:甲斐みのり
出版社:グラフィック社
価格:1500円(税抜)
著者プロフィール:
甲斐みのり●文筆家。旅、散歩、お菓子、手みやげ、クラシックホテルや建築など、女性が好み憧れるモノやコトを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。『甘く、かわいく、おいしいお菓子』『お菓子の旅』(共に主婦の友社)、『気持ちが伝わる おいしい贈りもの』(大和書房)、『東海道新幹線 各駅停車の旅』『電車でめぐる富士山の旅』(共にウェッジ)、『はじめましての郷土玩具』(グラフィック社)、『京都おやつ旅』(PHP研究所)など著書多数。
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