酒どころ、東広島市西条の 伝承料理。蔵人達が 仕事の合間に食べていた、 日本酒の鍋〈美酒鍋〉とは?
本格的に寒くなってくると、
あったかい鍋が恋しくなります。
本日ご紹介するのは、東広島市西条町に伝わる〈美酒鍋(びしゅなべ)〉です。
その名の通り、美酒を使った鍋。
灘、伏見と並ぶ酒どころと知られている西条町で、
その昔、杜氏のもとで酒造りに取り組む蔵人達が、
仕事の合間に、まかないとしてささっと作って食べていた鍋料理。
繊細な舌が必要とされる蔵人さんたちの
きき酒に影響が出ないように、
味付けには砂糖・醤油を使いません。
あっさりとした風味が特徴の、シンプルな鍋料理です。
それだけに、良い酒、良い素材が勝負どころ。

今回は、西条にあるレストラン〈佛蘭西屋(フランス屋)〉におじゃま。
こちらは西条の老舗の蔵元〈賀茂鶴〉直営のレストラン。
〈賀茂鶴〉のお酒はもちろん、日本酒の仕込み水を使った料理が楽しめます
それではさっそく、美酒鍋をいただいてみましょう。

こちらが材料。
野菜は、白菜、玉ねぎ、長ねぎ、ピーマンのほか、
こんにゃく、シイタケも。
そしてお肉は、豚肉、鶏肉、砂ずりが基本。
そこに日本酒、にんにく、塩、コショウの調味料を加えていきます。

まず、鍋を温め、油をひいたら、
にんにくのスライスを入れます。
香りが出たら豚バラ肉を入れて炒め、
清酒を投入。

美酒を投入!
続いて鶏肉を入れ、砂ずりを入れ、
野菜、こんにゃく、シイタケなどを入れます。
美酒鍋において、具材の入れすぎは厳禁。
鍋底が見えなくなるくらいでやめておきましょう。
塩、コショウを適量入れて味付けをし、さらに炒めます。

具材に火が通ったら、清酒をたっぷり入れてください。
試食して味が薄かったら塩、コショウを、濃ければ清酒を加えてみましょう。
野菜がしんなりしたら完成です。煮込んではいけません。
もしもっと食べたくなったら、
中身を全部食べた後に、もう一度最初から作るのが〈美酒鍋〉のルール。

できあがり!
ちなみにもともとこの鍋は、〈びしょ鍋〉と呼ばれていました。
作業服がビショビショになることが多いことから、
かつて蔵人さんたちのことを〈びしょ〉と呼んでいて、
その蔵人さんが食べることから〈びしょ鍋〉と呼ばれるようになったのがその語源。
それが転じて、現在では〈美酒(びしゅ)〉と語呂の良い呼び名になっているんだそうです。
ぜひご家庭でも試してみてください。
■佛蘭西屋
住所:広島県東広島市西条本町9-11
TEL 082-422-8008
写真:津留崎徹花