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しなやかで軽い、画期的な竹細工「てんごや 竹スツール」。福岡県八女市の竹に、新しい需要を。

特集・木のある暮らし × コロカルニュース

posted:2015.4.11   from:福岡県八女市  genre:ものづくり / アート・デザイン・建築 / 買い物・お取り寄せ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  「木のある暮らし Life with Wood」からのニュースです。
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writer profile

Akiko Saito

齋藤あきこ

さいとう・あきこ●宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。

福岡県八女市にある「竹工房てんごや」。
こちらで作られている、八女市の竹を使ったスツール
「竹スツール」は、生産が追いつかないほどの大人気商品。
普通であれば固いイメージである竹の椅子を、
しなやかな椅子に変えた特別な椅子なんです。
デザインは、てんごやのご主人、染谷明さん。
独特の編み方によって、竹特有のしなりがやさしく体に
フィットする、軽くて座り心地のよいスツールです。

染谷さんはもともと、千葉県の出身。
鹿児島の口永良部島に移り住み、
そこで「てんご」=「竹かご」を作り始めたのが
この道に進むきっかけでした。

プラスチック製品の需要が増えるにつれ、
生産量が減ってしまった竹細工。
この竹細工に新しいかたちと需要を与えようと考えた
結果に出来たのが、この「竹スツール」。
竹編みの技術も、染谷さんが考え出したもの。
腰を下ろすと座面がお尻にフィットし、底の接地部分には
ゴムが編み込められていて床面の保護と滑り止めになっています。

横から見たフォルムもステキ

コロカルでは、竹編みのスツールが生まれたきっかけや
竹を使ったものづくりの可能性について
染谷さんにお話をお伺いしました。

ー竹編みのスツールを作ったきっかけは?
「竹細工は遠き昔より今日まで、いわゆる「カゴモノ」ばかりを作ってきました。
その結果、竹カゴ=竹細工というイメージが定着したんです。
衰退の一途をたどる竹細工の復活・再生は、まずこのイメージを
打開することから始めようと考えて「てんごや」を立ち上げました」

ー「竹編みの椅子」はどうやって生まれたんでしょうか?
「骨組みを使わずに、編むだけで作る方法を考案して
椅子を発表したのは12年前です。
当時の竹編み椅子は、カゴの作り方をベースに底組からの展開を変える方式。
まず座面を組み、背もたれから胴を編んで本体を作ります。
それとは別にもうひとつカゴを作って座面の下に入れ込み(これが補強になります)、
本体と合体して出来上がるというもの。
しかしこの作り方だと形の自由がきかず、デザインすることができませんでした」

こちらは経年した竹編みの椅子。現在は受注生産品となっています

ーかなりの苦労があったんですね。
「そこで椅子以外にも応用できる形の竹細工を、と考えたのが第二弾。
椅子にかかる体重を支えるために、末広がりの円筒形を内側に作り、
デザインする本体を外側につくるという方法に辿り着いたんです。
それを椅子にするため、一体構造になるように、
連続して内側から外側へと編んでいき、底を回って合体することで
補強いらずで復元力もある「竹編みスツール」が出来たんです」

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染谷さん独自の編み方。設計図を作って技術を広めようとされているそうです

ー竹を使ったものづくりにはどのような可能性を感じますか?
「植物としての竹は、栽培に手間がいらず、植えてから2年も経てば利用可能。
10メートルの長さがあっても、一人で運べるほど軽いので持ち運びも容易です。
素材としては、軽く、弾力があり、程よい硬さもあり、割り・剥ぎも簡単なので
あらゆる方面に利用されています。しかし湿気が多いとカビが生えやすいなどの弱点もあります」

ーその弱点はどう克服するんですか?
「たとえば、明治時代に作られた鉄橋を取り壊してみたら、
鉄筋コンクリートで作られる橋ゲタの鉄筋部分が
竹で代用されていたことがありました。それほどの強度があるんです。
竹カゴの表面に和紙を貼って漆を塗った「ランタイ漆器」
は100年経っても使えるものだったりします。
これらに共通しているのは「竹を空気に触れさせない」
ということ。それにより、長期間の使用に耐えます。
竹編みのものを芯にして、他の素材で貼り合わせると、
新素材のようなものになるんですね」

ーいろいろなものが出来そうですね。
「家も作れるし、舟も作れます。いま試作すべく準備をしていて、
来年工房を移転するので、それ以降に作ってみようと思っています」

「てんごや」さんのプロダクトは、塗料を使っていないので、
使っていくうちに、あめ色に変化するのも魅力のひとつ。
伝統工芸だけでなく、新しいものを作って、
竹の需要を生み出したいと染谷さんは願っているそうです。
現在「竹のスツール」は受注生産品となっています。
詳しくは「うなぎの寝床」Webサイトにて。

■竹工房てんごや

住所:福岡県八女市本町219‐2

TEL:0943-24-5405

■「うなぎの寝床

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