colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧
記事のカテゴリー

news

女川と大島をつなぐ復興の魚。
手元から防災を訴える
「onagawa & oshima fish」

コロカルニュース

posted:2014.3.10   from:宮城県牡鹿郡女川町  genre:ものづくり / 活性化と創生

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Akiko Saito

齋藤あきこ

さいとう・あきこ●宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。

明日2014年3月11日、東日本大震災から3年を迎えます。
巨大地震と、それに伴う津波によって東日本の広大な範囲の
沿岸部に壊滅的な被害が及ぼされました。

被害はあまりに大きく、3年経った今でも復興は現在進行形です。
愛着のある地元で暮らしたいと願うひとたちと、
それを応援する人たちが力を合わせて今も知恵を出しながら頑張っています。

このかわいらしいキーホルダー「onagawa fish」は、
そうして被災地の復興を支援するプロジェクトのひとつ。
コロカルでも「東北マニュファクチュール・ストーリー」でご紹介しました。

舞台は日本有数の漁港である女川漁港を抱える宮城県牡鹿郡女川町。
木工品として成立する高クオリティを保ちながら、
被災した地元の主婦たちにも作れるように
製作工程を簡素化した、魚の形のキーホルダーです。

ストラップには魚のモチーフと「魚がたくさん女川に戻りますように」
という願いを込めたメッセージ“.onagawa(ドットオナガワ)”を刻印。
かわいらしいかたちと、手作業で作られたなめらかな手触りで人気になり、
製造が追いつかないほどになりました。

「onagawa fish」の発案者は、震災まで
地域活性化を生業としていた湯浅輝樹さん。
震災発生時、湯浅さんは家具職人の友人と共に家具修理の
ボランティアを開始。たくさんの修理の依頼が舞い込み、
ボランティアだったプロジェクトがいつのまにかビジネスに
なっていきました。震災時でも、仕事がある。その事実に
励まされた湯浅さんは、組織「小さな復興プロジェクト」を立ち上げ、
被災地のビジネス創出に携わるようになり、「onagawa fish」
を作ったんです。

「onagawa fish」がキーホルダーなのは、
「いつも手元に置いて、災害のことを思い出して欲しい」という
湯浅さんの願いが込められています。
それは東日本大震災だけのことではなく、
「いつでも災害が起こりえる」という意識を持って
ほしいということなんです。

Page 2

復興の絆、伊豆大島へ

そして2013年10月16日、東京都大島町の伊豆大島を
襲った台風26号による土石流災害。湯浅さんはこの災害をニュースで知り、
新たなキーホルダー、「oshima fish」を作りました。

キーホルダーはonagawa fishをベースに、
ストラップ部分には“oshima”のロゴを刻印。
使用する木の種類は伊豆大島産の椿と、桜、胡桃の3種類。
仕上げには伊豆大島産の椿オイルを塗り、
伊豆大島ならではのお魚さんが出来上がりました。

震災の風化の加速は予想をはるかに超えているのだと言います。
そして、湯浅さんの工房も現在彫刻機が壊れて
クラウドファウンディングで資金を募るなど、
乗り越えなければならないさまざまなことを抱えています。
それでも、湯浅さんを始めとする地元の方たちは、
新たな産業を産み出して、津波に負けない街づくり
をしたいと踏ん張っているのです。
活動の詳細については、下記Webサイトからご覧頂けます。

onagawa fish

「彫刻機が故障!女川町の復興を願う木工房でものづくりを続けたい」

oshima fish

Feature  特集記事&おすすめ記事

Tags  この記事のタグ