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writer profile
Mae Kakizaki
柿崎真英
かきざき・まえ●ライター。宮城県仙台市出身。2019年よりフリーランスライターとして、東京を拠点に活動中。月刊誌やニュースサイト編集者としてのバックグラウンドを活かして、Webメディアや雑誌などに寄稿を行う。
大分県の恵みが詰まった食品や雑貨をおしゃれなパッケージで包んだ
“新ご当地商品”が誕生しました。
由布市で収穫された野菜・果物を使ったピクルスや、
日田市で長い歴史を持つ醤油蔵が新開発した辛味のあるポン酢など、その数10品。
そのどれもが開発の過程でサステナブルな要素を取り入れるとともに、
手にとりやすいサイズでつくられています。
これらの商品は、県産品をより多くの人に購入してもらえるよう、
多様化する消費者ニーズなどに対応しながら価値を高めることなどを目的にした、
大分県の取り組みから生まれました。
今回、持続可能性(サステナビリティ)に配慮した取り組みを展開する
県内事業者の中から選ばれた10社が、プロジェクトチームとともに
商品をリブランディングまたは開発しました。
プロジェクトチームには、別府市に拠点を置く
〈Yamaide Art Office〉の⼭出淳也さん(ブランディングディレクター)、
〈TIMELESS〉の永⽥宙郷さん(クリエイティブディレクター)、
〈Yamaide Art Office〉の中村優花さん(プロジェクトマネージャー)らが
名を連ねています。
そんな大分の魅力あふれる商品を詳しく紹介します。
中津市で1893(明治26)年から日本茶専門店を営む
〈丹羽茶舗〉が新たに生み出したのは、カカオ豆の種皮であるカカオハスクや、
地元の果樹園でとれた柑橘の皮などを使用した3種のフレーバーティー。
同店は、2011年に家業を継いだ丹羽真一さんに代替わりして以降、
商品のロゴやパッケージの刷新、喫茶室のオープンなど、
時代に合わせてお茶の文化をより身近に感じてもらえるよう、
かたちを変えながら営業を行っています。
今回の取り組みでも、同じ中津市にある〈HARU CHOCOLATE(ハルチョコレート)〉が
チョコレートの製造時に使用しないカカオハスクをカカオ煎茶に、
また〈おはら果樹園firm〉のオリジナル柑橘「マコポン」の皮を和紅茶に、
そして大分市の〈ヤドカリカンパニー〉がつくった無農薬のショウガをほうじ茶にと、
地元の素材や人々をつなげて地域循環をつくりながら、
新たなお茶の文化を発信しています。
豊後水道に隣接していることから水産業が盛んな佐伯(さいき)市で、
卸事業などを営む〈柳井商店〉は、
ひれ酒として楽しめる〈ふぐひれ〉をリブランディング。
手に取りやすい2枚入りのミニサイズとなって、
パッケージも愛らしいふぐの形に生まれ変わりました。
1980年頃の創業当時、佐伯市内にふぐを加工できる事業者がいなかったことから、
先代がふぐの加工を始めた同社。
毒のある内臓以外、身はもちろん、皮やひれまで食べることができるふぐを
「より親しみのあるものにして、ふぐを通して福を広げたい」という想いで、
2代目の柳井太一さんは新たな商品開発にも取り組んでいます。
西日本を代表するニラの産地である大分県。
大分市の〈LogStyle〉は、そんなニラの茎を活用した
〈ニラ醤油〉を製造・販売しています。
大分土産としても人気の高い、このニラ醤油シリーズに新しく仲間入りしたのは、
アミノ酸の一種である「GABA(ギャバ)」を加えた〈ギャバ入りニラ醤油〉。
大分県産の麦焼酎〈いいちこ〉の製造過程でできる、
大麦の搾りかすから偶然発見されたGABAを使用しています。
今回、〈LogStyle〉の時松秀豊史さんが機能特化型の新商品の開発に挑戦したことで、
味、栄養がさらに豊かになったアップサイクル調味料が誕生しました。
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三隈川が流れ、水資源が豊富なことで知られる日田市で
1859年に創業した〈マルマタしょう油〉は、新感覚のポン酢を開発。
地域の資源や魅力も一緒に伝えていきたいという想いから生まれた〈⽢ぽん酢〉を
リパッケージした〈⽢ぽん〉と、新商品となる〈⾟ぽん〉の少量サイズが登場しました。
九州醤油のように甘みと旨みの強さが特徴の⽢ぽんには、
大分県の特産品である生かぼすを使用。
「しゃぶしゃぶや寄せ鍋などのつけダレに合いますよ」と専務の合原紗恵子さん。
一方、辛めが好みの人に向けて新登場した⾟ぽんは、
甘ぽんにラー油やトウガラシを加え、辛味と旨みの絶妙なバランスが楽しめます。
水産業が盛んな佐伯市で受け継がれてきた郷土調味料「ごまだし」は、
焼いた魚と調味料を混ぜた万能だし。
佐伯の郷土料理として知られる「ごまだしうどん」のように、
だし代わりとしてはもちろん、アンチョビ代わりにパスタにも使えるなど、
多様な味わい方が楽しめます。
県内一の水揚げ漁獲高を誇る佐伯市の漁師町・鶴見で活動する
〈漁村女性グループめばる〉は、
そんな〈ごまだし〉を漁師の妻たちが手づくりで製造しています。
今回のプロジェクトでは、ごまだしをより手軽に楽しめるよう、
瓶での販売からソフトパウチの食べきりサイズにリパッケージ。
「漁師の奥さんたちが新鮮な魚を丁寧に下処理し、
その旨みを最大限生かしていることが大きなポイントです」と、
代表取締役の小谷晃文さんは魅力をアピールします。
由布市で37年続く温泉宿〈草庵秋桜(そうあんこすもす)〉の
ピクルス専門店〈四季工房〉がつくる〈由布院ピクルス〉。
その特徴は、工房から車で約30分、半径30キロメートル圏内の
“ご近所”で収穫された野菜や果物が使われていることです。
野菜のピクルスはベースに橙酢、穀物酢、白ワインを、
フルーツのピクルスはりんご酢を使うことで、
まろやかな酸味と素材本来の色みを長期間保つことができると言います。
今回、パッケージのリニューアルとともに商品名も一新。
商品名に「由布院」と地名をつけることで、そのエリアを背負うことになると考えた、
代表取締役社長の太田慎太郎さんは、
人やモノが行き交うハブ的な役割を担うこの地域同様、
生産者と消費者をつなぐ存在を目指しています。
風光明媚な景色が称えられる耶馬溪(やばけい)で有名な
中津市に拠点を置く〈久恒山林(ひさつねさんりん)〉は、
お休み前の寝具や空間に使うミストスプレーを開発。
〈FOREST MIST 青の霧〉という商品名は、
遠くの山を見たときに景色が青く見える「ブルーヘイズ」という現象から
名づけられています。
同社の植村由布子さんによると、
「フィトンチッドという植物の発散する香り成分が、
光に反射して青く見える」のだそう。
耶馬溪での林業から出る間伐材を使用し、
森づくりから植物採集、蒸留所での抽出、充填やラベルの貼付まで、
すべてが手作業でつくられる商品で、森の空気を感じてみては。
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国東(くにさき)半島の沖合に浮かぶ姫島で、
2015年から姫島産の食材を使った加工品を生産・販売する〈おおいた姫島〉は、
車えびや天然のあおさなどを贅沢に使った〈車えびかりんとう〉をリブランディング。
食べきりやすい量に内容量を変更し、パッケージデザインの刷新を行いました。
美しい自然に恵まれていながらも、人口減少によって
これまで培ってきた産業が衰退しつつあるという姫島。
事業を拡大することで安心して暮らせる環境を整えたいという想いのもと、
代表取締役の小岩直和さんは活動を続けています。
臼杵(うすき)市の銘菓として知られる「臼杵煎餅」。
その製造元で、創業100年を超える老舗〈後藤製菓〉から登場したのは、
せんべいの間に小倉あんをサンドし、
従来の固い「臼杵煎餅」をやわらかくアレンジした〈うすきさんど〉。
20年にわたって愛されてきた〈うすきせんべい生さんど〉の
商品名とパッケージをリニューアルして、新たに生まれた商品です。
今回のプロジェクトで、5代目の後藤亮馬さんは商品の根本のあり方まで見直し、
100年以上続く企業として、人や企業、地元の素材など
さまざまなものを“さんど”していきたいという想いを込めています。
乾(ほし)しいたけの生産量が全国の半分を占める大分県。
臼杵市にある〈王将椎茸〉が扱うしいたけは、無農薬の原木での自然栽培が基本で、
森の循環を維持する一翼を担っています。
「しいたけ読本」では、そんなしいたけの知られざる世界を詳しく紹介。
しいたけの種類や栄養素から、セットの乾しいたけスライスを使った簡単レシピ、
乾しいたけの可能性に挑戦した実験結果まで、さまざまな切り口で魅力を伝えています。
さらに、通常水で5時間以上戻す必要がある乾しいたけに対して、
30分~1時間程度と最小限の時間で戻せて、栄養や味はそのままという
乾しいたけスライスのおいしさと便利さも実際に体験できます。
「乾しいたけの入門としては、もってこい。
ぜひ一度、生しいたけとの違いを体感してもらいたいですね」と、
入社34年の藤原光春さんもおすすめする商品です。
今回紹介した商品はすべて、公式オンラインショップ
〈GIFTs from OITA〉で購入できます。
また、一部の商品は大分県内にある
以下のお店でも買うことができますよ(2024年6月末日現在)。
空の駅 旅人(国東市・大分空港内)
Oita Made(大分市)
トキハわさだタウン(大分市)
トキハ別府店(別府市)
ベップカンパニー(別府市)
※予告なく販売内容が変更される可能性あり。
大分土産の新定番としても注目を集めそうな商品。
ぜひ実際に手に取ってみてはいかがでしょうか?
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GIFTs from OITA
Web:GIFTs from OITA
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