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posted:2024.5.31 from:滋賀県近江市 genre:アート・デザイン・建築
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writer profile
Hiroko Shimokawa
シモカワヒロコ
しもかわ・ひろこ●岐阜県岐阜市出身。タウン誌の編集者を経て、現在は名古屋を拠点に活動するフリーランスライター・編集者。幼少期から「ローカル」を感じる店や人が好きで、大学ではまちづくり・都市政策を研究していた。
近年続々とオープンしているホテルの一種「ブティックホテル」。
その新たな施設が、2024年4月にオープンしました。
場所は、滋賀県東近江市にあるほんまち商店街の一角。
その名も、〈ほんまちホテル〉です。
かつて地元でオーダースーツの紳士服店として愛されていた店舗をリノベーション。
館内には、ふたつの客室とラウンジカフェを備えています。
〈ほんまちホテル〉の特徴は、大きくふたつ。
まず、リノベーション時に見つかった家具を地元のアーティストがリメイクして
館内で利用していること。そして客室とは別に、リノベーションしている最中に出てきた
古道具を展示する「コレクション部屋」があることです。
コレクション部屋に並ぶ品々で特に印象的なのは、壁に描かれた馬の絵。
ホテルにリノベーションした紳士服店の経営者一家に画家がおり、
その人が描いたものをそのまま残しています。
ほかにもトルソーや当時のポスターなど、珍しいものや古いものが多々並んでいます。
〈ほんまちホテル〉で用意しているプランは6つ。
素泊まりや朝食つきのプランのほか、レンタルバイクを借りられたり、
近所の銭湯の入浴券やオリジナルタオルがついたりするプランまで、バラエティ豊かです。もちろん、どのプランも“おひとりさま”での利用OKです。
レンタルバイクつきプランは、EV(電動)バイクが借りられます。
自転車感覚で乗ることができ、市内の散策にも便利。
カラーも好きなものを選べるため、お気に入りを探してみてください。
朝食付きプランでは、ホテル1階のラウンジカフェで
東近江市産の食材をたっぷり使ったメニューを味わえます。
旬を感じる品々に、ほっと癒やされること必至。
まだ知らない地域の味にも、出合えるかもしれません。
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〈ほんまちホテル〉は、「商店街が今後も、長く愛される場所になるように」
との思いから誕生しました。
〈ほんまちホテル〉があるほんまち商店街ができたのは、1967年のこと。
伊勢神宮と多賀大社とを結ぶ御代参街道沿いに位置しているとあって、
当時は地元を代表する商店街として多くの人々で賑わっていました。
しかし時代の流れには逆らえず、いつしかシャッター街となってしまったのです。
〈ほんまちホテル〉となった紳士服店も例に漏れず、約20年前に倒産。
活用方法もなく、長らく空き物件のままとなっていました。
そこで立ち上がったのが、〈ほんまちホテル〉オーナーの栗田豊一さん。
もともと市の職員として働いており、商店街に魅力を感じていたことが
開業のきっかけとなりました。
ほんまち商店街には、唯一無二の存在感を放つ店舗が並んでいます。
オリジナルのデニムづくりに励むアーティストの店舗兼工房に、
地域でここだけの銭湯、かつて太宰治の愛人が下宿していたといわれている薬局、
ヴォーリズ建築の建物を生かした複合施設など、知れば知るほど興味深く、
ユニークな店ばかりです。
また〈ほんまちホテル〉は、ゲストハウスでもコンセプトホテルでもなく
「ブティックホテル」と謳っているのも特徴です。
ブティックホテルというとラグジュアリーで、高価格帯の施設が多いイメージがあるもの。
しかしそれだけではなく「地域の文化や歴史を大切に守りつつ、
人々や文化の交流の場ともなる施設である」というコンセプトもあります。
〈ほんまちホテル〉も、そうした精神を持つホテルになりたいという願いから
「ブティックホテル」としての再出発を決めたそうです。
ホテルの建物が元紳士服店(ブティック)だということも、
「ブティックホテル」と称している理由のひとつだとか。
ホテルを拠点に、市内をぐるりと散策しても良し。
あえて素泊まりを選んで、ディープな商店街での食事や交流を楽しむも良し。
泊まることが目的になるホテルがまたひとつ、誕生しました。
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