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writer profile
Riho Nakamori
中森りほ
なかもり・りほ●東京生まれ東京在住のフリーライター/編集者。仕事やプライベートで月に1回以上、地方や海外へ。各地のおいしい食べ物やお酒、素敵なホテルや旅館を発掘するのが趣味。好きな番組は『ブラタモリ』『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』。
宮城県東松島市を拠点に、
いちご、キュウリ、ミニトマトの生産を行う〈イグナルファーム〉。
この事業は東日本大震災後の2011年12月、若手被災農業者4人で立ちあげられました。
家も家族も農地も全てを失い、悲しみに包まれる日々の中で
「もうこれ以下はない。農業だけは取り戻してやる。それならやってみっぺ」
と心に決め、これまで農業を通して地域を、未来を”良くする”ことを目標に
突き進んできた若手農家たちです。
イグナルファームのミニトマトは、肥料に松島湾より採水した海水を使用しています。
日本三景のひとつである松島湾の海水は、宮城県が誇る蔵王山脈よりミネラル豊富な
雪解け水が長い年月を掛け、北上川・吉田川・鳴瀬川より約200キロメートルの距離を
通過しながら松島湾内へと流れ込み、そのミネラル豊富な水が牡蠣・海苔の
養殖業米つくりを担ってきました。
つまり、はるか昔より宮城県の食を支えて来たミネラル豊富な水が
松島湾内に流れ込んで出来た海水なのです。
この松島湾の海水を使うことによって、糖度の高いミニトマトが出来上がります。
〈イグナルファーム〉のミニトマトは定期的に糖度を計る調査を行うなど、
徹底した品質調査を行い、樹で完熟させてから収穫されます。
ところがミニトマトの生産を主とする〈イグナルファーム大郷〉を設立し、
生産を開始してから2年が経過した令和元年、台風19号の影響で近くにある
吉田川が氾濫し、濁流がミニトマトハウスに押し寄せてきたのです。
その後、行政の力も借りながら、令和2年の3月にミニトマトハウスを
復旧させることに成功しました。
しかしその喜びも束の間、令和4年に発生した大雨洪水被害でミニトマトの苗木3万本が
全滅し、ビニールハウスが再び壊滅状態に陥ってしまいます。
その後イグナルファームではミニトマトの出荷がいまだに叶っていません。
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イグナルファームは、創業時から最も意識してきたことがあります。
それは、若手農家の育成と雇用の創出です。
イグナルファームでは次世代農業者を育成するため、そして次世代の会社後継者を
育成するために「野菜を作り人を育てる人になれ!」をコンセプトに、これまでの
生産感覚ではなく、あらゆるデータを駆使し人材育成を行っています。
時代の変化を鋭く汲み取りながら、人の成長=地域の発展を実現させるべく、
次世代の踏み台になり農業に取り組んでいます。
そして、生きることとは食べることだけではなく「学ぶ」「営む」「育む」「繋ぐ」こと
だと考えています。
次の世代へといま、知恵や知識のバトンをつないで新たな未来を切り開き、
新たな価値を生み出す人づくりを行って、すべてが良くなるように願いを込めています。
そんな日本の未来の農業のために、宮城の復興のために、東松島の活性化のために、
ミニトマトハウスの再建を実現させるべく、イグナルファームは今回〈Makuake〉にて
クラウドファンディングを実施しています。
再建するミニトマトハウスは、すでに2回洪水被害を受けている場所に
また建てるのではなく、宮城県東松島市または、石巻市河北町にある
使われていないビニールハウスを修繕する予定です。
今回のクラウドファンディングのリターンには、ミニトマトやトマトの海苔佃煮、
イチゴジャム、イチゴアイスや冷凍イチゴなどの商品のほか、
農業ツアーなどの体験系リターンもラインナップ。
東松島の「いぐなる」ものを食べて、ミニトマトハウス再建を応援したいところです。
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