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posted:2022.12.14 from:秋田県秋田市 genre:アート・デザイン・建築
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writer profile
Haruna Sato
佐藤春菜
さとう・はるな●北海道出身。国内外の旅行ガイドブックを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より夫の仕事で拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。暮らしを豊かにしてくれる、旅やものづくりについて勉強の日々です。
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撮影:中島悠二
秋田市で、美術作家・臼井仁美さんによる展覧会
『やまは蔵、まちの原木、ケズリカケの木々』が開催されています。
主に「木」を作品の素材とし、
「人間の自然への眼差し」に焦点を当てた制作を行っている臼井さん。
本展覧会では、秋田の「まち」を「森」に見立て、
まちなかの蔵や家屋から借りられる(採集できる)家具や道具を探すところから
滞在制作はスタートしました。
「森」に見立てたまちから採集された家具や道具は、言わば「原木」。
展示されている作品には、これら「原木」に、
臼井さんによる「ケズリカケ」が施されています。
木の肌を、薄く細長く削り垂らす「ケズリカケ(削り掛け)」は、古く祭具などに施されてきたもので、
展示によれば、アイヌの祭具「イナウ」、彼岸花として供えられる「削り花」、
ドイツの工芸品「シュパンバウム」はじめ、台湾、ラオス、ハンガリー、フィンランドなど、
世界中に存在しているものなのだそう。
秋田という「森」から採集した木製品にケズリカケを施すことで、
家具や道具という役割の下にある立木であった時の姿が浮かび上がってきます。
こうした作品がひとつの場所ではなく、〈秋田市文化創造館〉、
〈交点〉、〈ココラボラトリー〉、〈高砂堂 本店〉、〈08COFFEE〉、〈PLAY+TOYS のはらむら〉と、
まちのあちこちに展示されているのが、本展覧会の魅力。
まるで森を歩き、立ち上がる木々を巡るようにまちを回遊する楽しさがあります。
カフェやギャラリー、和菓子店、おもちゃと遊びの専門店など、
展示場所のジャンルはさまざまですが、
それぞれの場所に息づいてきた原木の物語を体感しながらスポットを巡れば、
訪れたことのある場所にも新しい風景が見えてくるはずです。
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また、臼井さんは実際に秋田の「原木採取の現場」もリサーチ。
秋田の工芸品「樺細工」の材である山桜の樹皮と、
「太平箕」の材であるイタヤカエデの採集場所を、職人に案内してもらいました。
本展覧会の主催である秋田市文化創造館の1階コミュニティスペースでは、
「原木採取の現場」を訪問した際の記録が展示されているほか、
閉店してしまった店舗や一般の方から寄せられた原木に
ケズリカケを施した作品を間近に見ることができます。
ダイニングチェア、木べら、梯子など種類はさまざま。
ケズリカケの作品たちからも、臼井さんが持ち主との対話から書き記した文章からも、
見慣れた風景や暮らしに眠るまちの物語が浮かび上がってきます。
秋田市文化創造館では、2階も訪れてみてください。
天井には秋田市文化創造館の前身である〈旧秋田県立美術館(平野政吉美術館)〉から残された
曲げわっぱの装飾があり、そこにも作品を見ることができます。
会期は残りわずかですが、12月17日(土)にはギャラリートークを予定。
また、2023年3月には、記録冊子『やまは蔵、まちの原木、ケズリカケの木々』を制作予定です。
秋田でのリサーチの記録はもちろん、
展覧会後は持ち主の元に帰っていくケズリカケ作品たちの記録が1冊にまとめられます。
希望者への郵送も予定されているので、
秋田市文化創造館のホームページも引き続きチェックしてみてください。
information
展覧会『やまは蔵、まちの原木、ケズリカケの木々』
⽇時:2022年11⽉23⽇(⽔・祝)~12月18⽇(⽇) ※営業時間・営業日は会場により異なる
会場:秋⽥市⽂化創造館 、交点、ココラボラトリー、⾼砂堂 本店、08COFFEE、PLAY+TOYS のはらむら
観覧料:無料(※会場によってはワンドリンクの注文が必要)
Web:秋田市文化創造館
Web:記録冊子郵送希望申し込みフォーム ※郵送無料で、2023年3月を予定
*ギャラリートーク
日時:2022年12月17日(土)15:00~16:30
会場:秋⽥市⽂化創造館 1Fコミュニティスペース(秋⽥県秋⽥市千秋明徳町3-16)
参加料:無料
登壇:臼井仁美さん(美術作家)、⽯倉敏明さん(秋⽥公⽴美術⼤学准教授、芸術⼈類学者、神話学者)
web:ギャラリートーク申し込みフォーム
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